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いまさら聞けないDX!ここでこっそり解説。


DXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用して企業の競争力を高める取り組みです。2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、人々の生活を良い方向に変えるテクノロジーと定義されています。

一方、日本の経済産業省は2018年に、企業がデータとデジタル技術を活用して事業やビジネスモデル、組織などを変革し、競争優位性を確立することとDXを定義しました。DXが注目され始めたのは2019年頃からです。きっかけの1つは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で、日本企業のレガシーシステムの問題点を指摘し、DXの必要性を訴えたことです。

レポートでは、2025年以降最大で年間12兆円の経済損失が生じると予測する一方、DXが実現できれば2030年に130兆円超のGDP押し上げ効果があるとしています。DXを支える技術としては、ビッグデータ、AI、5G、VR・AR、クラウドサービスなどが挙げられます。

特にデータの活用が重要で、デジタイゼーション(アナログデータのデジタル化)、デジタライゼーション(デジタル技術によるビジネスプロセスの改善)を通じて、DXにつなげていくことが求められます。DXのメリットとしては、業務効率化によるコスト削減や利益率向上、顧客価値の創出による新たな収益基盤の確立などが期待できます。

一方、大規模な投資が必要で費用対効果が不透明なこと、レガシーシステムの問題、全社的な取り組みの難しさなどがデメリットや課題として指摘されています。DXは幅広い概念で市場規模の算出は難しいですが、2030年に国内で2兆3,687億円に達すると予測する調査もあります。政府もDX推進指標の策定などDXを後押ししており、今後ますます重要性が高まるでしょう。

企業は自社の課題に向き合い、デジタル技術を適切に活用しながら、変革を進めていくことが求められます。

DXのメリットは?

DXのメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

業務効率化によるコスト削減と生産性向上

DXにより、レガシーシステムから脱却し、時代に即したシステム環境を構築することで、システム維持費用や運用・保守の工数を削減できます。また、RPAやSaaSの活用により業務を自動化・効率化し、生産性を大幅に向上させることができます。例えば、ニトリホールディングスは、ブロックチェーンを利用した物流システムを導入し、サプライチェーン全体で納期短縮を実現。さらに、提携運送会社のドライバースキルを把握し最適な人員配置を行うことで、専門知識が必要な商品の配送難を解消しました。その結果、コロナ禍でも売上増加を達成しています。

新たな価値創出による収益基盤の確立

DXにより、顧客中心の発想で事業やサービスを変革し、ユーザー体験(UX)を向上させることで、新たな価値を創出し、収益基盤を確立することができます。Netflixは、ストリーミング配信へのビジネスモデル変換と、ビッグデータを活用したオリジナル作品の制作により、2016年までに130カ国に拡大。顧客の興味に合ったコンテンツを持続的に提供できるようになり、大きな成功を収めました。

データ活用による意思決定の迅速化・最適化

DXの中核であるデータ活用により、業務プロセスの最適化や顧客体験の強化、ビジネスモデルの改革など、様々な価値創出が可能になります。データに基づく迅速かつ的確な意思決定により、変化の激しい時代に対応できます。みずほフィナンシャルグループは、あらゆる業務領域でデジタル技術を活用し、予測不可能な環境変化に応じて「金融を巡る新たな価値」を創造することを目指しています。

働き方改革の推進

DXにより、場所や時間に縛られない柔軟な働き方を実現できます。テレワークの導入やペーパーレス化などにより、従業員の生産性と満足度の向上につながります。以上のように、DXの導入により、コスト削減、新たな価値創出、意思決定の最適化、働き方改革など、様々なメリットを得ることができます。DXは一朝一夕には実現できませんが、トップのコミットメントの下、全社一丸となって取り組むことで、大きな成果を上げることができるでしょう。

本におけるDX化の実情。実際はどうなの?

DX化の必要性は認識されているが、進捗は遅れ気味

経済産業省の「DXレポート」で2025年の崖が指摘されるなど、日本企業のDXの必要性は広く認識されるようになりました。しかし、実際のDX化の進捗は欧米と比べて遅れているのが実情です。IDC Japanの調査では、日本企業の約40%がDXの効果を実感できていないと回答しています。DXへの投資意欲はあるものの、レガシーシステムの存在や人材不足などの課題により、思うように進められていないのが現状だと言えます。

業界によってDX化の進捗度合いに差がある

業界によってDX化の進捗度合いには差があります。金融業や情報通信業など、もともとITへの投資が活発だった業界ではDXも比較的進んでいます。一方、製造業や建設業、医療・介護など、これまでデジタル化が遅れていた業界では、DXへの取り組みもこれからという企業が多いのが実情です。

大企業とスタートアップ企業の協業が進む

大企業単独でのDX化は難しいため、AIやビッグデータ分析などの技術を持つスタートアップ企業との協業が活発化しています。事業会社がスタートアップに出資したり、オープンイノベーションプログラムを実施するなど、外部リソースを活用したDX化の動きが加速しています。

政府もDX化を後押し

日本政府もDX推進に力を入れ始めています。デジタル庁の発足やデジタル社会形成基本法の制定など、DX化に向けた法整備が進んでいます。経済産業省は「DX認定制度」を創設し、一定の基準を満たした企業を認定する取り組みも始めました。今後、政府主導のDX化促進策が企業の取り組みを後押ししていくと期待されます。以上のように、日本でもDXの必要性は広く認識され、徐々に取り組みが進み始めていますが、欧米と比べるとまだ道半ばの状況だと言えるでしょう。レガシーシステムの刷新や人材育成、マインドチェンジなど、克服すべき課題は多いのが実情です。デジタル競争に乗り遅れないためにも、日本企業はスピード感を持ってDXを推進していく必要があります。

DX化への課題

レガシーシステムの存在

多くの日本企業は旧式の基幹業務システム、いわゆるレガシーシステムを利用しています。人手不足、技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化によりその内部がブラックボックス化しているため、運用から維持まで困難な状況に置かれています。既存システムから新しいシステムへの移行の難しさ
レガシーシステムから新しいシステムへの移行が非常に困難で、なかなか導入まで踏み切れないことが課題です。部分的にしか刷新できず、さらにシステムが複雑になってしまうリスクもあります。DXを全社に広げられない
多くの企業がDXをスローガンとして掲げるようになりますが、結局、特定の部署や業務だけで終わってしまい、単なるデジタイゼーションやデジタライゼーションに留まってしまうケースが散見されます。会社全体に影響を及ぼすような大きな取り組みには、非常に大きな労力と困難が伴います。費用対

効果の不透明さ

DXの導入には大規模な投資が必要ですが、その効果が実感できるまでに時間がかかる場合もあり、費用対効果が不透明なことが課題となっています。IDC Japanの調査では、DXの効果を実感していない企業は4割にのぼります。DXを推進するためには、これらの課題を一つ一つ乗り越えていく必要があります。経営層から現場まで一丸となって取り組み、小さな成功体験を積み重ねながら、全社的なDXの実現を目指すことが肝要だと言えるでしょう。

DXの成功事例

娯楽・エンタメ: Netflixの事例

Netflixは1998年にDVDレンタルサービスを開始し、2007年からストリーミング配信サービスに移行しました。ビッグデータを活用したオリジナル作品の制作により、2016年までに130カ国に拡大。ストリーミング配信へのビジネスモデル変換とデータ活用で、ユーザーの興味に合ったコンテンツを持続的に提供できるようになりました。

金融: みずほフィナンシャルグループの事例

みずほは2019年に「次世代金融への転換」を掲げ、デジタル技術を活用したコンサルティング中心の次世代店舗展開やペーパーレス化、法人顧客へのデジタル戦略提案など、あらゆる業務でデジタル化を進め、新たな価値創造を目指しています。

農業: 株式会社Kalm 角山の事例

同社は搾乳ロボット8台を導入し、大規模酪農経営での省力化と効率的な飼養管理を実現。ロボットと連動した個体の成分分析により、疾病や繁殖管理も可能になり、作業効率と繁殖効率の向上を図りました。

教育: ベネッセ「ミライシード」の事例

生徒のアンケート回答から学習意欲や苦手分野を分析し、結果データに基づき教師に授業方法を助言。授業を通じた学習意欲の変化や理解度を測定し、次の授業で改善することで、児童の苦手分野の可視化とオンライン教育の強化を実現しています。

物流: ニトリホールディングスの事例

同社はブロックチェーンを利用し、物流情報を電子化。サプライチェーン全体で納期短縮を図るとともに、提携運送会社のドライバースキルを把握し、専門知識が必要な商品の配送難を解消。DXにより、コロナ禍でも売上増加を達成しました。以上のように、業界や企業によってDXの取り組み方は様々ですが、デジタル技術とデータを活用し、ビジネスモデルや業務プロセスを変革することで、新たな価値創出や競争力強化を実現している点が共通しています。日本企業もDXにスピード感を持って取り組むことが求められます。

DXを成功させるために企業が行った具体的な行動

DXを成功させるために企業が行った具体的なステップとしては、以下のようなものが挙げられます。

経営トップのコミットメントとリーダーシップ

DXの推進には経営トップの強いコミットメントとリーダーシップが不可欠です。みずほフィナンシャルグループでは、経営計画で「次世代金融への転換」を掲げ、トップ主導でDXを進めています。トップ自らがDXの必要性を強く認識し、リーダーシップを発揮することが重要です。

全社的な取り組み体制の構築

DXはIT部門だけでなく、事業部門や管理部門など全社一丸となって推進する必要があります。部分最適ではなく全体最適を目指し、組織の壁を越えて連携することが求められます。小さな成功体験を積み重ね、成果を数字で示しながら、経営層から現場まで巻き込んでいくことが肝要です。

課題の特定と優先順位付け

自社の業務プロセスを把握し、デジタル化の余地がある課題を特定することから始めます。その上で、競争力の源泉となる課題から優先的に解決していきます。課題をリストアップし、優先順位を付けた上で、計画的に取り組むことが重要です。

データ活用を前提としたシステム構築

従来のシステムは機能重視で複雑化していましたが、DXではデータ活用を前提に、ユーザー視点でシンプルなシステムを構築します。データをどう活用するかを見据えた上で、UXの向上とビジネス効果を両立するシステム開発が求められます。

外部リソースの活用

自社に不足するスキルは、スタートアップ企業など外部リソースを活用することも有効です。オープンイノベーションの発想で、外部パートナーとの協業により、スピーディーにDXを推進することができます。

小さく早い成功体験の積み重ね

DXは一朝一夕には実現できません。まずは小規模な施策から着手し、成功体験を積み重ねながら、対象範囲を広げていくことが肝要です。トライ&エラーを繰り返しながら、PDCAサイクルを回していくことが重要です。

DXの成果

DXの導入により企業が得た具体的な成果としては、以下のようなものが挙げられます。

業務効率化によるコスト削減と生産性向上

DXにより、レガシーシステムから脱却し、時代に即したシステム環境を構築することで、システム維持費用や運用・保守の工数を削減できます。また、RPAやSaaSの活用により業務を自動化・効率化し、生産性を大幅に向上させることができます。例えば、ニトリホールディングスは、ブロックチェーンを利用した物流システムを導入し、サプライチェーン全体で納期短縮を実現。さらに、提携運送会社のドライバースキルを把握し最適な人員配置を行うことで、専門知識が必要な商品の配送難を解消しました。その結果、コロナ禍でも売上増加を達成しています。

新たな価値創出による収益基盤の確立

DXにより、顧客中心の発想で事業やサービスを変革し、ユーザー体験(UX)を向上させることで、新たな価値を創出し、収益基盤を確立することができます。Netflixは、ストリーミング配信へのビジネスモデル変換と、ビッグデータを活用したオリジナル作品の制作により、2016年までに130カ国に拡大。顧客の興味に合ったコンテンツを持続的に提供できるようになり、大きな成功を収めました。

データ活用による意思決定の迅速化・最適化

DXの中核であるデータ活用により、業務プロセスの最適化や顧客体験の強化、ビジネスモデルの改革など、様々な価値創出が可能になります。データに基づく迅速かつ的確な意思決定により、変化の激しい時代に対応できます。みずほフィナンシャルグループは、あらゆる業務領域でデジタル技術を活用し、予測不可能な環境変化に応じて「金融を巡る新たな価値」を創造することを目指しています。

働き方改革の推進

DXにより、場所や時間に縛られない柔軟な働き方を実現できます。テレワークの導入やペーパーレス化などにより、従業員の生産性と満足度の向上につながります。以上のように、DXの導入により、コスト削減、新たな価値創出、意思決定の最適化、働き方改革など、様々なメリットを得ることができます。DXは一朝一夕には実現できませんが、トップのコミットメントの下、全社一丸となって取り組むことで、大きな成果を上げることができるでしょう。

まとめ

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用して企業の競争力を高める取り組みですが、その定義や各社の取り組みにはばらつきがあるのが実情です。他社の事例を参考にしつつも、自社の課題に真摯に向き合い、適材適所でデジタル技術を活用していくことが肝要だと言えるでしょう。DXを成功に導くためのポイントをまとめると以下のようになります。

経営トップのコミットメントとリーダーシップ

DXはトップダウンで進めることが不可欠です。経営トップ自らがDXの必要性を認識し、強力なリーダーシップを発揮することが求められます。

全社的な取り組み体制の構築

DXはIT部門だけでなく、事業部門や管理部門など全社一丸となって推進する必要があります。部分最適ではなく全体最適を目指し、組織の壁を越えて連携することが重要です。

データ活用を前提としたシステム構築

従来のシステムは機能重視でしたが、DXではデータ活用を前提に、ユーザー視点でシンプルなシステムを構築します。データをどう活用するかを見据えた上で、UXとビジネス効果を両立するシステム開発が求められます。

外部リソースの活用

自社に不足するスキルは、スタートアップ企業など外部リソースを活用することも有効です。オープンイノベーションの発想で、外部パートナーとの協業によりスピーディーにDXを推進することができます。

小さな成功体験の積み重ね

DXは一朝一夕には実現できません。まずは小規模な施策から着手し、成功体験を積み重ねながら、対象範囲を広げていくことが肝要です。トライ&エラーを繰り返しながら、PDCAサイクルを回していくことが重要です。DXは大変な取り組みで、浸透するまでには試行錯誤が必要不可欠です。一方で、クラウドサービスやSaaSの普及により、比較的安価に小さくDXを始められる環境が整ってきました。この記事を契機に、デジタイゼーションやデジタライゼーションの小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。DXは企業の未来を切り拓く鍵となるはずです。