いつかおばあちゃんになるあなたへ…サッチーに幸あれ

家族介護における虐待者の一位は実の息子だというデータがあります。もちろん全てではありません。実の息子さんでもお婿さんでも温かい手でお世話をなさっている家族はたくさんいます。

ただ、現実問題として男性でも女性でも、仕事を持つ方がたった一人で要介護の親の世話をするのは想像以上に大変なことだと思います。


サチさんは90代。独身の息子さんと二人暮らし。息子さんは就労があり、多忙で日中独居。本意でなくともお世話が行き届かない、そんな切ないやるせないケース。

サチさんはかなり認知症が進行しており、時々季節にそぐわない服装で徘徊していたところ深夜や早朝に道端で転倒することもあり、近所の方が役所へSOS発信してくれて介護サービス利用へと繋がりました。

デイサービスというものは昔はなかったのでこの年代の方には馴染みがありません。デイサービスと契約をして利用することになった、と説明しても理解、記憶できない疾患の方からしたら、突然知らない人が訪ねて来て知らないところへ連れ出され、自由に外へ出られないし帰らせてもらえないわけです。

利用開始してしばらくは家に帰してちょうだいとばかり言っていました。デイサービスあるあるだと思います。

回数を重ね、利用曜日も増えた頃、今度は「家に帰さないで」「帰りたくない」とおっしゃるようになりました。家ではお一人の時間が長く辛いとのこと。

家に送った際も、別れ際に手をギュッと握られるのでその場から離れ難かったりします。

いつしかスタッフ間では「サッチー」の愛称で呼ばれるようになりました。(営業中や対御本人では使いません)


その後しばらくしてサチさんは無事グループホームの入所が決まりました。

こういう時、利用者様とスタッフの間でお別れの挨拶を交わすチャンスがないことも多いです。

皆もちろん寂しいのですが、サチさんの状況を思い出すと

「サッチー、良かったね」

「もう寂しい想いをしなくていいんだね」

「サッチーが来たばかりの頃は…」

等、なんとなくしんみりと想い出を語り合ったりして…サッチーが現在幸せでありますように。

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