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さみしい夜にはペンを持て|私のイチオシ本

Dot.代表の安東です。
2024年は「私のイチオシ本」と題して、Dot.所属メンバー有志によるリレーコラムを連載中です。

今回ご紹介するのはこの一冊です。


テキストと文章の違い

最近、「文章を書くこと」に向き合っています。
いまさら?という思いもある一方で、実はこれって自分にとってとっても大事なことなのではないかと感じていたりもするわけです。

もともと、テキストを書くことは嫌いではありません。
それどころか、むしろ得意な方だと思っていました。
でも、実はそれはかなり恥ずかしい勘違いだったという事実に、ここ最近気が尽かされたのです。

企画書をつくる。
台本を書く。
ナレーション原稿を用意する。
提案書にまとめる。
報告書を作成する。

どれもがこれまでのキャリアのなかで散々やってきた業務です。
思考をまとめ、分かりやすく整理し、説得力のある順番に並べる。

業務どころか、大学生の頃から、なんなら高校入試の小論文の頃から、四半世紀近くもやってきたことでした。
好きも得意も超えて、いまでは息をするのと同じくらいのレベルでこなしているような気がします。

ただ、これはあくまで「理解させる」ための文章構成でした。
そこには情緒も感情も、人間らしさなどはひとつもないのです。

恥ずかしながら、自分の文章には温度がないという事実に、この本を読むことで気が尽かされたわけです。
わざわざ冒頭で「文章」ではなく「テキスト」と表記した理由でもあります。

文章とは、他者が読んでいて感情が揺り動かされるもの、その振り幅は個々人だとしても、少なからず何かしら心に訴えかけるものがあるのだと思います。
それは企画書や提案書とはまた違った「文章力」だったわけです。

だから、私は文章が書けない。

誰がレポートや提案書をプライベートの時間を使ってまで読むでしょうか?
いや、まぁ研究職の方や、それが好きだという方も中にはいるとは思います。
でも、本当に人が読みたい本は、体温を感じ、共感し、時にそれがまるで自分ごとかのように錯覚する、そんな文章なのだと思います。

そこには文章テクニックは必要ありません。
起承転結やテニオハよりもはるかに大切な、「感情の変遷」が描かれていることが重要なのだと、この本を読むことで気付かされます。

例えば、「楽しい」を表現するボキャブラリーなら数多く思いつくことができます。
愉快、痛快、どきどき、ウキウキ、心踊る、明るい気分、テンションがあがる、高揚する、ワクワクする・・・

でも、これらはあくまで「テキスト」でしかないわけです。

ここに表現者のリアルな感情が乗って初めて、他人が共感する「文章」として成立するのです。

なんだ、そんなこと?

と思ったあなたはきっと良い文章が書ける人だと思います。

私にとって、感情を乗せた文章を紡ぎ出すことはとても難しい。
息をするように企画書や報告書を作成できる一方で、感情を乗せた文章を書くことは水中で息をするようなもの。
間違いなく、溺れます。

さみしい夜にはペンを持て

*商品リンクはAmazonアソシエイトを利用しています。

この著書では、私のような「文章」を書くのが苦手な人のために、かなり細かくその方法論を説明してくれています。

物語になぞらえてハウトゥーが入ってくるので、単なる「テキスト」ではないし、「お勉強」でもない。
まさに感情の言語化を質量のある文章で教えてくれます。

やり方はシンプルで、まずは日記を10日間書き続けるという「約束」から始まります。
主人公を通してその変化を追体験できるのはとても面白く、何より、「文章を書きたい」と思わせてくれます。

私は何かを始める時、頭での理解からスタートさせることが多いのですが、この本は心での理解からスタートさせてくれる稀有な存在となりました。

まぁ、だからといっていきなりそんな感情が盛り盛りな文章なんて書けるわけもなく、ひとまずテキストの羅列から始めてみることにしています。

さて、私の文章がどれくらい成長するのか?
それとも結局変わらないのか?
それはこのリレーコラムの成り行きで判断いただけたらと思います。


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