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禍福は糾える縄の如し

ここのところ、私はついていない。
シャワーの件を始め、その他もろもろ。
お天気の悪さも影響して、気が滅入ることが多かった。

そんな折、ピコンと私の携帯が鳴った。

取り上げて見てみると、そこにはSMSが一通。

こんにちは!元〇〇の塚原(仮名)です。
この電話生きてますか?

アヤシイ・・・。

怪しい以外の何物でもない。

というのも、私は以前SMSに来たメッセージにうっかり返事をしてしまって
とても後悔したことがあるのだ。
そのメッセージの内容とは、

お久しぶり!元気?たまには食事でも行きませんか?

みたいな内容だった。

まず差出人がわからなかった。
少なくとも、電話番号を登録している相手ではなかった。
でも、相手が電話番号を変えたのかもしれない、と思って

ごめんなさい。どなたかわからなくて。

というような返信をしたと思う。

以降、その電話番号からメッセージが来ることはなかった。
単純にメッセージを送る相手を間違えたのかもしれないと思ったが
ふと気になってネットで調べてみると、全く同じ文章の詐欺メールが出回っているということを見つけた。

ああ~、失敗した!

そう思ったけれど、運よくその後なしのつぶてだったので事なきを得たのだった。

前置きが長くなったが、その日に来た「こんにちは塚原」のメッセージ(上記参照)も、そんな経験があったので、私は相当疑り深く読んだのであった。

しかし、よく考えてみると、元○○は私が新卒で入った会社であり、
”塚原”という苗字は鈴木や田中のようによくある苗字ではなく
聞き覚えがあった。
というより、かなり親しくさせていただいていた先輩の名であった。

私が就職活動をしたのは、いわゆるバブル崩壊後の「就職氷河期」という時代である。

そんな最中であったので、自宅から電車で5駅ぐらいのらくらく通勤ができる地元の企業から内定をもらうと私はすぐに決めてしまった。

その会社は面接をしてくださった偉い人から社員の方たちまで、みなさんフレンドリーで、とても感じがよかったのだ。

でも30年近く経ったいまだから告白するけれど、その会社に決めた一番の理由は、実は社員旅行にハワイに行くということだった。それは今でも親には内緒にしているけど(笑)

今考えれば、もうちょっとよく考えろよー、自分!と思うのだが、この選択が当時も含め、30年近く経った今でも本当によかったと思うのだ。

私は謎の「塚原」にメッセージを返した。

塚原さん・・・ですか?おひさしぶりです。みずたまです。

ドキドキしながら、返信した。
もしこれが詐欺だったら、かなりの私の個人情報を得ていることになる。

すぐにメッセージは返ってきた。

よかった、繋がった!みずたま、元気?この前青島と飲んで久しぶりにみんなで会わない?という話になったんだよ。どうかな?

はあ~、よかった。
本物の「塚原」らしい。いやもとい、塚原”先輩”らしい。
ちなみに「青島(仮名)」とは私の同期の男の子の名前だ。
ああ、もう男の”子”じゃないか。
お互いいいオジサン、オバサンの年齢だ💦

この新卒で入った会社は、私の直観通りとても”人”に恵まれた会社であった。同期から先輩、上司までみんなとても仲がよかった。
当時の記憶がぱあっと頭の中に蘇る。

ごはんやカラオケに行ったりはもちろん、夏にはテニスやキャンプ、冬にはスキー、そうそう川に魚釣りにも行ったことがあったっけ。
ルアーの糸がこんがらがって、全然釣れなかった(笑)

悩みがあれば深夜遅くまで親身に話を聞いてくれたり、仕事で帰りが遅くなったら周り道をしてまで家に送ってくれたりもしたっけな。

そう、そんな大学のサークルのような会社だったのである。
本当に本当に楽しい時間だった。
男性が多い会社であったので、”女子”というだけで私を含めて大事にされていたのかもしれない。

私は長女なので、”兄”という存在にとても憧れがあったのだが、
この会社に入って、たくさんの”兄”に囲まれ、妹感を満喫したのである。

結婚や出産で退職した後も、特に仲の良かった一部の先輩方とはお付き合いがあり、
今も時々ごはんに行ったり、飲みには行ったりしていたのだが
塚原”先輩”とコンタクトを取るのは、もう10年以上ぶりぐらいのことであった。

すごくすごく嬉しくて、一通のメッセージで一挙に30年前に引き戻された感覚になった。

もちろん、行きたいです!ご連絡ありがとうございます。

その後、ラインを交換し、近況などよもやま話をした。
嬉しかった。

久しぶりに、他の先輩方ともラインのやり取りをし、塚原先輩企画の飲み会で会おうと約束をした。

禍福は糾える縄の如し。

嫌なこともあれば、良いこともある。
どちらも長くは続かない。
でも今は嬉しかったことにちょっとだけ浮かれてもいいかな?と自分に許可を出す。

私は早速美容院にまつげパーマの予約を入れた(笑)
”兄”達は果たして私のまつ毛に気づいてくれるだろうか。






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