算命学余話 #U66「安楽死の事例」/バックナンバー
前回の余話#U65では三分法から人生全体を論じるに当たって、最近安楽死を断行した米国人女性に対する客観的評価を試みてみましたが、この人の生年月日が公開されていたので、今回は実際に宿命を算出して具体的な人物像とその最後の選択に至る道のりを探ってみます。
前回の内容からしてお判りのとおり、私はこの女性に対する否定的な見解を隠しておりませんが、その原因は安楽死したからではなく、それを事前に公表しネットで宣伝したからです。何という自己顕示力の強さでしょう。自分の命と引き換えにホームラン宣言をしたのです。だから「この人は調舒星があったかどうかは知らないけれども責任感の強い星の影響が見られる」と述べたのです。
責任感の強い星とは云わずと知れた名誉星のことですから、これは同時に名誉欲の強い人物である可能性も高いという婉曲表現でありました。会ったこともない死者を鑑定もせずにけなすのはさすがに気が引けるので明言はしませんでしたが、今回宿命を見たところ案の定、功名心やプライドの高さを示す星々と、それを素直に活かせない要因が発見できたので、判りやすい鑑定事例としていくつかポイントを解説してみます。また干合についても興味深い結果が出ましたので、合わせて考察します。
死者を足蹴にするようではありますが、当ブログの閲覧者は自殺相を抱える調舒星の持ち主が多いのか、この種のテーマの関心が高いので、今回の命式はいい事例になるのです。なにしろ明らかに自殺したのに人体図には調舒星が見当たらないのですから。調舒星があったら即自殺だと考えている人にはその勘違いを解くカギになるかもしれないので、敢えて死者には敬意を示しつつも命式を解剖させて頂きます。きっと世の中の役に立ちますのでお許し下さい。合掌。
まず最初に、名誉を欲しがる星についてざっと総論を述べます。十大主星では車騎星と牽牛星が筆頭ですが、これらは同時に攻撃星つまり働く意欲の強い星でもあり、その功労が確かにあったなら名誉は求めなくとも自然についてきます。そういう意味で、必ずしも理由ない名誉欲を意味しているわけではないことは押さえておくべきです。
働いた分だけ褒められるのは当然のことです。問題は働きもせずに褒められようとする場合であり、それは車騎星・牽牛星が正常に稼働していない姿であるので、鑑定者は一体何が障害になっているのかを探すのが仕事となります。大抵は名誉星と相剋関係にある守備星や伝達星の影響や中殺を疑うと、大体当たっています。
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