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こがたんを引けない友達の話

時は2022年4月28日24時40分。
私は月ノ美兎委員長の配信を聞きながら、「あー明日祝日かー!三連休じゃん!」と気持ちよく微睡んでいたのですが、突然委員長の声が途切れ沈黙の暗闇が目の前に広がりました。
そして「あれ?」と不審に思う間もなく

「テテレテレレン! テテレテレレン!」

……お判りでしょうか。 そう、お馴染みのLINEの着信音ですね。
【恐怖】の二文字でございます。
普段は休日着信オフにしている私ですが、ごみ収集があるためオンにしていた折の不幸な事故であります。
こんな時間に電話をかけてくる馬鹿野郎はヤツしかいません。というか私の友達の中で配慮のない人間はヤツしかおりません。

実際のやり取り

正直言って殺意が芽生えましたが、大音量で着信音を浴びせられた私の心臓はフルスロットルで稼働してしまっており、目もバチクソ冴えておりましたので、一言文句でも言ってやろうかなと電話に出ました。ここから何が起こるとも知らずに。

夜中に電話をかけてきたこの野郎をK君としますが、K君はこの時バイト終わりすぐだったそうです。こんなことする暇があるなら風呂でもはいれよと言いたいところですが今更感が強いので何も申しません。無駄でございます。
こんな時間に何の用だてめえ。と私がお尋ね申し上げましたところ、K君は

「○○が彼女出来たって! めっちゃうれしい!」

忘れていましたが、彼と私が会話する際に「用件」とか「伝えたいこと」とかは存在しません。「どうでもいいこと」をどうでもいいとき、とりわけ自分の都合の良いときに勝手に話すという奇行のみがそこにあるのです。夜中だろうが関係ありません。時間の概念などないのです。これが世間の普通なのかはわかりませんが、普通だったら嫌だなと思う次第でございます。
さて、その後もどうでもいいコトを延々と喋り続け(この時点で眠気が死んでいます)、時刻は午前1時半ころ。ついにこの話の本題に突入してしまいました。

アイドルマスター・シャイニーカラーズ

私が昔書いた記事を読んでいたK君は、シャニマスを若干認知しておりました。もちろん私が透の担当Pであることも。

私はよしておけばいいのに「Kもシャニやろうよ」と深夜特有のイカレた頭でもって宣っていたのです。渋るKにしつこく迫る私。形勢が逆転していますね。
とうとうKは折れ、シャニマスをインストールし、どのアイドルを育成するかという時点にまでやってきました。そして彼は「このアイドルにする!」と、さながらポケ〇ンを初めて選ぶ少年のごとく宣言いたしました。
「月岡恋鐘でいくわ!」
そして冒頭のタイトルに戻ります。
これはK君が、好きなアイドルが出るまで何回でも引けるという「運命の再会ガシャ」で、こがたんを引けない話であります。

彼は三峰のことを「サンポウ」、樋口円香のことを「オケグチ マルコウ」と読むやばいやつでしたが何故かこがたんのフルネームだけは一撃で読めていました。とてもやばいです。ちなみに彼は文系です。
喜び勇んでアイドルのチュートリアルを終え、ついにガシャを引く場面となります。この時点で午前2時43分です。シャニマスのガシャを祝日の明朝に始める大学生なんてそうそういないのではないでしょうか。というかいてほしくありませんね。
結論から申し上げますと、正確に言えばK君はSSRこがたん(P)を一度引いています。引いているのですが、彼が狙っていたのはそれらではなく「ばりうまかブルース」のこがたんであったため、「もうここまで来たら引き下がれねえ」状態にあったのです。

ばりうまかブルース 月岡恋鐘


うちのリボンは恋結び 月岡恋鐘

──……こがたんSSR「うちのリボンは恋結び」が、我々の最後に見たこがたんの姿でした。

ここからが地獄でございます。
夏葉・三峰・凛世・樹里……の四人がまー出るわ出るわで、凛世に至っては二枚抜きが当たり前に発生し、「おめー杜野だろ、おい杜野じゃねえか」と凛世のことをまるで知らなかったKが、さながら同級生のごとく「杜野」呼びし始めていました。

 凛世「バチ……ギレ……でございます……。」

「サンポウ! サンポウだよ!! サンポウが来たら杜野が来るんだわ!」
「有栖川あああああああ!!!」
聞く人が聞いたら横っ面をぶん殴るであろう声を彼は叫び続けました。
しかしそれほどまでに月岡さんはやって来ず、彼も精神的に追い詰められていたのです。しかも、こがたんの前に恒常では一枚しかない透が二回ほどやってくる始末。

 透「え、やば。こんな時間まで引いてんの。なんかすごいね」

みたいなノリで覗きに来たんだろうなあという感慨深さがありました。
透、助けてくれ。

「ごめん三峰、サンポウって言ってごめんなさい。だからちょっと大人しくしてて、もういいから、大丈夫だから。もうサンポウって言わないから、ごめんなさい三峰頼む」

ご覧ください。来てほしくなくて嘆願するユーザーの図です。
悲しすぎます。
意を決してのn度目の挑戦。


実際のガシャ結果

「結局サンポウじゃねーーーーか!!!」


流石は三峰、空気を完璧に読んでいます。
期待を裏切りません。私は腹がよじれるほど笑っていました。
おまえもう三峰と凛世のPでいいじゃん。

その後も引き続けましたがこがたんは現れず、
「風呂入りたい……もうやめたい……」という許しを請う声を聞きながら一時間ほどさらに引き続け、午前4時54分。もう朝ですね。
流石に私も寝たくなってきたので、どっちが言ったか休憩しようという鶴の一声によりお開きと相成ったのでした。
空が明らんでいくのを見ながら、シャニマスのガシャ配信を見るのは何とも言えない心境でございました。切ない感覚と申しますか。
「やっぱり引けないときは引けないんだね。そういうときもあるんだね。」
「軽い気持ちで始めちゃうと取り返しつかなくなることってあるんだね。」と、彼は三峰と凛世から学んだのではないでしょうか。

私はすっかり春めいた清々しい風を感じながら、ごみ袋を片手に、そんなことを思ったのでした。





追記4/29 21:23)その後も引き続けていたようで、十時間ほどの執念の末ようやく恋鐘がやってきたとのこと。マジでよかったです。
本当におめでとう。

喜びのスクショ


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