たとえ書いた文章が読まれなくても、書き残したことに意味がある
「書くこと」にはどんな意味があるのか。
ものを書いたり、編集したり仕事に就いて、ずっと言葉と向き合っていると、そんな気持ちがぽつぽつと湧き上がってきて、水面に波紋を作るくらいには広がってきた。
「書く」とは「言葉にする」行為だ。
言葉は人を他の動物と分ける要素の一つで、僕らが意識的に扱えるものだ。言葉とは、抽象的であれ具体的であれ、何か一つのカテゴリーに名前をつけて分類する道具にあたる。言葉には世の中のふわふわとしたものの角をまわりをなぞって輪郭を作る力を持っている。言