千人伝(二百六十六人目~二百七十人目)
二百六十六人目 緑鬼
みどりおに、は木々に囲まれた森の中で暮らすうちに緑色に染まっていった人であった。巨漢であったために、人と思われず緑の鬼と勘違いされてしまい、本人もそのまま人から離れて暮らし続けた。
緑鬼は森の中にあるものを食べて過ごした。森に迷って行き倒れた人間がいたら、自分と同じように緑色に染まるのではないかと、しばらく一緒に暮らしたりしたが、誰も緑鬼のようにはなれずに去っていった。
森が焼かれてしまった時、緑鬼は焼け焦げた木々に合わせて黒く染まった。すぐに緑色