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千人伝

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様々な人の評伝「千人伝」シリーズのまとめマガジン
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2024年2月の記事一覧

千人伝(二百二十一人目〜二百二十五人目)※入院中反映

二百二十一人目 脳脊髄液減少症 脳脊髄液減少症は、脳を浮かべる脊髄液が減ってしまっていたため、骨に脳が当たるなどして、激しい頭痛やめまいや吐き気などを起こし続けていた。液が漏れて減ってしまった原因は不明であった。縦の動きが辛いため、しゃがんだり立ち上がったりを繰り返すと、まともに立っていられないくらいの頭痛に襲われた。 脳脊髄液減少症はどのような頭痛薬も効かなくなった際に病院を訪ね、即入院となった。頭をなるべく持ち上げないようにして安静を命じられた。脳脊髄液減少症は本を読

千人伝(二百三十六人目〜二百四十人目)

二百三十六人目 捜索 捜索の趣味は捜索であった。行方知れずとなった人や物を捜索しては見つけていった。見つける人や物を見つけ尽くした後は、捜索対象を創作した。架空の行方不明者の詳細なプロフィールを作り上げた。ありもしない失せ物を完成させた。 捜索の創作した創作物の完成度があまりに高かったため、実在するのと変わらなくなってしまった。捜索より先にそれらを発見してしまう者まで現れた。 捜索は他の者に自分の創作した捜索対象を捜索されまいと、創作ペースをあげた。しかし創作活動が忙し

千人伝(二百三十一人目〜二百三十五人目)

二百三十一人目 外界 外界は外界を認めなかった。病院で生まれ育ち、外に出たことのなかった外界は、窓から見える外の景色を現実だとは言いたくなかった。ある日、陽の光が眩しいからと、自分の視点より下の窓を紙で塞いだ。本当は外で動く健常な人間の姿を見たくなかったためだった。  外界が外の景色に触れなくなってから、病院に入院する患者は増えた。外では戦争だとか爆撃だとかテロだとかがこれまでにない頻度で起こっているらしかった。病院の中は安全だったので、外界は外に出られない病の持ち主では

千人伝(二百二十六人目〜二百三十人目)

※入院治療中のため、サポート絶賛受け付けています。 二百二十六人目 病院怪談 病院怪談は怪談を人に聞かせることで生計を立てている怪談師であった。ふとしたことから入院するはめになり、この機会に病院での怖い話を集めようと思い立った。 しかし看護婦に聞き取りをしても「ありません」「知りません」の一点張りで、めぼしい話は集まらなかった。病院怪談は看護師たちは何かを隠しているのに違いないと考え、夜中にこっそりと病室を抜け出して病棟内を探索することにした。地面を這うように移動して、