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シロクマ文芸部参加作

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note内企画「シロクマ文芸部」参加記事のまとめです。
運営しているクリエイター

#SF小説

「風待ちロマン」#シロクマ文芸部

 風車が止まったので鍋で煮込んでいたシチューが冷えてしまったの、と妻が言った。この町の動…

泥辺五郎
2か月前
24

「馬糞症にまぎれて」#シロクマ文芸部

 春と風の取り合わせが花粉症という前時代の病気を思い出させる。しかし現代に花は咲かない。…

泥辺五郎
3か月前
21

「うるう秒に生まれて」#シロクマ文芸部

※実際の「うるう秒」は閏月には設定されません。  閏年、閏月、閏秒に生まれた僕は、四年に…

泥辺五郎
3か月前
51

「最後の日傘」#シロクマ文芸部

 最後の日傘の話をしよう。  最後の日常の話をしよう。  最後の日々をこうして記しておこう…

泥辺五郎
5か月前
12

「球根」改 #シロクマ文芸部

 ヒマワリへの道を歩く。花の名前はなかなか覚えられないが、ヒマワリくらいは花と名前が一致…

泥辺五郎
10か月前
20

「鍵穴から覗き込んでくる一般相対性理論」#シロクマ文芸部

 消えた鍵穴は覗けない。慣れないミステリー小説を書いている最中、主人公に「誰もいないはず…

泥辺五郎
11か月前
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「街クジラ・オフィスカラス・人混みネズミ・家イモムシ」#シロクマ文芸部

 街クジラ化した青年は、人間であった時の意識のままで、恋人の住むアパートへと向かい、築八十年の木造建築を大破させた。幸い住人たちは、遠くから吠えながら進んでくる街クジラに気付き避難を済ませていたので、怪我人はない。  変わり果てた姿になろうと、街クジラに青年の面影を見出した恋人は、手の代わりに巨大なヒレに身体を寄せ、なるべく人の少ない道を通って、遠い遠い海へと向かう旅を始めようとした。旅の途中で捕獲された街クジラの顛末についてここでは省略する。  オフィスカラスは高層ビルの