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新年早々2023年中日ドラゴンズの展望を考える

 新年あけましておめでとうございます、ドリーです。

 今年の中日ドラゴンズの展望を書こうかなーと思っていたらとても140字で収まりそうにないのでnoteに書くことにしました!今年は選手の入退団も多く、考えないといけないポイントが多いので、しっかり見ていきましょう。

1.投手

2022年オフの中日ドラゴンズ投手入退団一覧

 投手は今オフに6枠入れ替わり、数としてはプラスマイナス0です。退団した選手は2軍でイニングを食うことが主な仕事になっていて1軍では頭打ちになっていたので、良い入れ替えになりました。やはり期待したいのは楽天から移籍してきた涌井秀章です。年齢は37歳で昨年は不運な故障もありましたが、ストレートをはじめとした一部球種の平均球速を3~4キロ上昇させており、フライが多いことから本拠地が広い中日では適応しやすく、まだ活躍が期待できます。練習熱心な選手であることから、周囲への相乗効果も期待できる良い補強になったと思います。砂田毅樹は中継ぎでアクセントのような働きを求められることになるでしょう。まずはストレートとスライダーの質を戻すところからです。50登板以上を3回達成している投手ですが、30~40登板が目標になると思います。本拠地と守備力の違いで成績が跳ねてほしいです。

涌井秀章の各球種年度別データ
2023年の中日ドラゴンズ投手戦力マップ

 全体を見てみると、先発は数が揃うようになりました。大野雄大、柳裕也、小笠原慎之介、高橋宏斗、松葉貴大は昨年に続いて1年を通しての活躍が期待され、そこに涌井も加わります。柳は自分の形を見失わないことが重要です。中6日で回りそうな高橋宏はカットボールを進化させられるかが今後も活躍できるかの鍵だと思います。上田洸太朗や勝野昌慶もいます。そうなると、ドラフト1位の仲地礼亜や投手2年目で先発転向が検討される根尾昂を2軍からプロのリズムに慣れさせることもでき、彼らの1軍昇格を後半戦からでも良くなります。ただし、これは怪我人や極端な成績不振がいない前提での話です。彼らに続いて期待されるのが変化球の強化に取り組む鈴木博志、2020年に先発2番手として活躍した福谷浩司、トミー・ジョン手術から復帰する梅津晃大です。鈴木はフェニックスリーグで好投していたのもあり、ローテの谷間に入ってくるかもしれません。

 中継ぎは勝ちパターンは計算できるとしても、枚数に不安を抱えます。準勝ちパターンは藤嶋健人と祖父江大輔で、ロドリゲスとマルティネスがキューバ代表でチームから離脱した場合は重要な役割になってきます。祖父江は加齢の衰えからか緩やかに成績を落としているため、山本拓実、森博人、砂田が準勝ちパターンに入れるように成長しなければなりません。谷元圭介はデータを見ても良くなったり悪くなったりと予想がつきづらいですが、次世代を担う投手が出てくる方が良いのは間違いないです。田島慎二も球質の悪化で空振りが取れなくなっているので不安です。
 こうなると、先発の中継ぎ転向も考えられます。例えば、速球派でフォークも安定して良い勝野や梅津は中継ぎで序列の高い起用ができるかもしれません。また、橋本侑樹も変化球の精度や制球といった課題が多いですが、先発中継ぎ関係なく化ける可能性は秘めています。昨年2軍でも少し中継ぎをやった福谷も再転向を考えることになるかもしれません。

 2軍に目を向けると、先発は1軍から漏れた投手が中心になると予測できます。ドラフト3位の森山暁生が段階を踏んで途中から先発する可能性もあります。支配下登録復帰を果たした福島章太はシーズン途中の1軍昇格になりそうです。ストレートの威力はありますが、変化球の精度に課題がある以上、焦らせることはできません。中継ぎはサイドスローに転向した岡田俊哉、昨年2軍でも3試合の登板に終わった近藤廉、2年目の石森大誠がいるくらいで、残りは育成選手に期待するくらいです。新人の松山晋也は角度があり、フォークが武器の投手なので制球に苦しまなければ早く出てくるかもしれません。秋季キャンプで落合英二ヘッド兼投手コーチから期待された竹内龍臣は、1軍で通用するにはもう少し出力を上げなければならないと思います。そこがクリアできれば支配下登録も見えてくるでしょう。あとは育ってこないのに2人体制に減らした2軍投手コーチの力量次第ですね…。

 あとは秋季キャンプで投手全体が取り組んだシュート習得は、策に溺れすぎない程度に使ってほしいです。

 投手を纏めると、
◎先発のコマが揃ってきて試合は作りやすくなっている、若手の蓋もできる
○勝ちパターンは故障さえなければ盤石
△中継ぎの枚数に不安
△2軍からの突き上げの弱さは改善されるのか?

といったところです。

2.野手

2022年オフの中日ドラゴンズ野手入退団一覧

 野手は今オフ大きく動きました。平田良介やアリエル・マルティネスが退団し、手始めにドラフトで内野手を5人(育成含む)を指名。11月には今季クリーンアップを打った阿部寿樹と昨年まで5年連続規定打席到達の京田陽太をトレードで放出。続いてアルモンテの復帰と内外野守れるカリステを獲得発表したと思えば、それに加えてMLB通算41本塁打のアキーノも入団しました。現役ドラフトではスラッガーの細川成也を指名し、捕手が足りなくなったと見るや加藤匠馬を無償トレードで1年半ぶりに復帰させる怒涛のオフを過ごしました。
 ここまで動くと大きく陣容が変わっているので、全体を見てから新入団選手も見ていきましょう。

2022年セ・リーグ状況別の打撃成績

 野手全体として、得点力不足を改善しないといけないです。他球団との大きな差は得点圏で長打を打てるか、強い打球を打てるか。強い打球を打てなければヒットは減りますし、長打がなかったらなかなかランナーは還ってきません。いつまでも「逆方向にコンパクト」を続けているようでは変わりません。
 昨年の立浪和義監督のコメントを読むと、配球を読めと言いながら割り切りの見逃し三振は許されず、追い込まれたら全球種対応でストレートは流し打ちかファウル、ランナーが得点圏にいたら駆け引きなくライト方向狙いで、クリーンアップであっても最低限の進塁打でOKという状態でした。他球団よりも引っ張った打球も強い打球も少なかったら得点が増えるわけがありません。打撃練習から逆方向を狙っているようでは速球が打てなくても納得です。全投球の4割を占めるストレートを打てなければ打撃成績が上がらないのも納得です(勿論これが首脳陣だけのせいではありません)。

2022年セ・リーグ各球種の得点貢献
2022年セ・リーグゾーン別のスイング率とコンタクト率

 データを見ても当てることはできるので、三振を許せるかがカギになるのではないかと思います。追い込まれた後やランナーがいる時こそバットに当てることを優先する傾向にあるので、それが強い打球にならなければいけません。

2023年の中日ドラゴンズ野手戦力マップ

 ポジション別に見ていきましょう

2-1.捕手

 木下拓哉が正捕手…のはず。西山秀二バッテリーコーチが片岡篤史2軍監督のYoutubeで猛批判を繰り広げたのが今年の起用の伏線にならないといいですが…。まぁ木下で耐えられないなら中村悠平(ヤクルト)や梅野隆太郎(阪神)のような他球団の正捕手獲得しない限りは無理なので木下がメインで使われることは変わらないと思います。秋季キャンプも北谷組にいたため、期待は高いはずです。多少配球がおかしいところがあってもその他の能力が群を抜いているため、正捕手交代とまではいかないと思います。個人的にはずっとストレートを続けるような余程悪いリードをしていない限りはリードを捕手の最優先事項のように考えるのは如何なものかと思います。打撃は小手先の技術で崩れたものを戻さなければなりません。
 とはいえ木下は体力が課題で、そもそも現代野球では正捕手のスタメンは120試合程度が望ましいところです。2番手捕手の筆頭候補は石橋康太ですが、手術明けで開幕は厳しく、肝心の捕手としての能力もフレーミングが1年目より下手になっており(首脳陣は何教えてるの?)、打撃は長打のあるフリースインガーから小技もできる打者に改造するという難易度の高いことに挑戦しています。2軍では期待できる打撃成績を残しているので、そろそろ初本塁打が見たいです。石橋に次ぐのは大野奨太と復帰した加藤匠馬。大野奨はアクセントになる配球、加藤匠は強肩による盗塁抑止が期待されますが、守備で木下に大きく劣るところをいかに埋められるかが2番手として起用されるかにかかってくると思います。
 石橋の離脱でフェニックスリーグで捕手としての出場機会を増やした味谷大誠と新人の山浅龍之介は2軍で出場機会を分け合ってほしいです。郡司裕也は外野やファーストが中心になるそうですが、捕手も多少やるべきでは?

2-2.内野手

 一塁手はビシエドが中心です。引っ張り方向の打球が減っていることが懸念点です。他の選手を起用する前になぜ重要な場面で打てないかをしっかり考えるべきではないでしょうか。あれだけ言われておきながらwRC+(打撃貢献を指数化し、100が平均)は136あり、リーグ6位です。ビシエドが離脱したり大不振だった場合は一塁に挑戦するアルモンテ、若手の鵜飼航丞が起用されると見ています。レビーラは素材の良さはわかったので確実性を磨きたいです。

 阿部が抜けた二塁手は新人の村松開人、田中幹也、福永裕基が中心になります。立浪監督は福永を直接視察していないので、キャンプで一気に評価を上げる可能性があります。村松は打撃は立浪監督好みで守備がもう少し良くなれば使いやすくなるでしょう。田中は守備と走塁は即戦力でまずは代走や守備固めから始まり、体力と打撃を見てからスタメンで使うことになると思います。昨季後半戦にセカンドで起用された溝脇隼人や石垣雅海は打撃が良くならないとチャンスはかなり減ります。特に石垣は似たようなタイプの打者が増えてきて、パワーでは負けている印象があります。確実性を上げないと厳しい立場に追い込まれます。また、育成3位指名の樋口正修は代走、守備固め要員として期待され、2軍で様々なポジションで経験を積ませたいです。

 三塁手は開幕は高橋周平が起用されるとして、その後は石川昂弥との争いになります。そこに他の選手が割って入れると良いですが、なかなか厳しいと思います。このサード争いの結果によっては高橋周がセカンドを守る可能性はあると思います。例えば2人とも打撃が好調だったら、もしくは二塁争いが低調だったらそうするしかないと判断されるかもしれません。新加入のカリステは三塁が中心になるでしょう。内外野守れる触れ込みですが、これまでそんなに二遊間守っていないので、守備に大きな期待はかけたくないです。

 遊撃手は土田龍空を使うしかありません。守備は安心して見れますが、打撃は今のままでは厳しいです。この1年でどこまで成長できるか。先述の通り村松は守備に不安、田中は体力と打撃に不安があります。もしも土田が故障した時はどうするのでしょうか…。新人の濱将乃介はまずは遊撃挑戦を希望していますが、守備が粗く、外野との併用が考えられます。

2-3.外野手

 左翼大島洋平、中堅岡林勇希、右翼アキーノの布陣がかなり有力です。岡林は昨年守備が大きく成長し、ついに大島の代わりにセンターを守らせることができる選手が出てきました。打撃は率を伸ばしつつ、5年計画くらいで長打もそれなりに打てる選手になってほしいです。まずは二塁打、三塁打の増加ですね。大島は守備力の低下が著しく、昨季はレフトでも262.2イニングながらUZR-5.5を記録するほどでした。下垂足の影響もあったと思うので、ここから多少は回復させたいです。打撃はまず2000本安打まで頑張ってください。
 アキーノは三振の多さに目を瞑れるか、修正させることができるかが重要で、変化球に気を取られて速球潰しができなくなったらガタガタになるかもしれません。プル傾向にあるのを首脳陣がどう見るかも気になります。守備も強肩で進塁抑止ができる選手で、脚力もそこそこあるので平均またはそれ以上の守備力があります。パワーは本物で、全盛期のエルドレッド(元広島)みたいな成績を期待しています。詳しくは下のnoteを見てください。

 残りのスタメン候補はアルモンテ、鵜飼、三好大倫あたりでしょうか。理想は大島、岡林、アキーノで1年間通すことです。鵜飼や三好は高いポテンシャルを使えるようにするためにも、場合によっては2軍で敵なしにしてから昇格させることも考えて良いと思います。ブライト健太はこの状況なので2軍で優先的に起用していく方針になるでしょう。

 控えは加藤翔平と後藤駿太が守備固め、代走で起用されることになると思います。将来このポジションは濱や樋口が継ぐことになるかもしれません。伊藤康祐が2軍でもさほど守備が良くなく、昨年の2軍でのUZRは外野全てのポジションでマイナスだったのが今後に影響を及ぼしかねないです。
 1人期待したいのは2年目の福元悠真。中距離打者として代打から出場機会を得られるようになるのではないかとフェニックスリーグで感じました。2軍での好成績がそのまま1軍で通用するとは限りませんが、今年成長を見せてほしいです。

2-4.野手まとめ

 野手のまとめをすると、
◎センターラインの守備は良くなりそう
○アキーノの加入で上位打線に厚みが出るか
○石川昂や鵜飼の成長に期待
△得点大幅増は考え方から変えないと厳しい
△歪な編成で新人に頼らざるを得ないポジションがある
×ショートのバックアップが少なすぎる

といったところです。

 ここまで書けなかったところでいうと代打はスタメンから漏れた選手が中心になるのは当然として、ロドリゲスやマルティネスがベンチ外の時はアルモンテも選択肢に入ります。思い切りの良さがある三好や福元が入ってくると面白いと思いますが、立浪監督が後藤と加藤翔に代打として期待してしまうほど層が薄いのが現状です(かといって代打で彼らを出してほしくないですが)。郡司に期待していますが、なかなか壁を破れないのがもどかしいです。

3.采配

 投手運用は昨年も悪くなかったのでこれを継続もしくは良化させてほしいです。昨年はたまたま少なかった勝ちパターンが3連投になりかねない状況になった時にどのような運用をするかが気になります。あとは左右に拘り過ぎずに継投してほしいです。

 打順は1・2番に岡林と大島を置くとして、クリーンアップにビシエドとアキーノに加えてもう1人必要になります。開幕は高橋周か木下が入りそうですが、早いうちに5番にふさわしい選手がいないと外国人2人が機能不全に陥るかもしれません。

2023年中日ドラゴンズの打順案

 いくつか打順のパターンを組んでみましたが、抜本的に得点力の改善ができるとはまだ思えません。ただ、アキーノや三塁を守る選手によってはリーグ平均レベルまで持っていくことはできると思います。後ろに繋ぐ意識よりも1~6番でさっさと試合を決めてしまうくらいの気持ちでいかないと厳しい戦いになるのでは。ただ、こればかりは未確定のポジションが多いため、各ポジションのメンバーが決まらないと組めないので今後も考えていかなければなりません。

 打席に立つ選手への指示や攻撃のサインプレーは早急に改善しなければなりません。バント多用がよく言われていましたが、フルカウントからのランエンドヒットも多用し、ランナーが投手でも走らせていました。正直言って立浪監督が解説者の頃から野球観が現代に合っていないのはわかっていましたが、今年も改善できないのであれば作戦担当をつけない限り野手の采配でプラスを生むことは今後も厳しいと思います。

4.若手起用

 これを読んでください。昨年と似て無理に若手を使うことはないと思います。ただし、ポジションの競争度に差があることから、内野手は出番が多いと思います。

5.チーム全体のまとめ

 多くの選手が入れ替わることになり、未知数な部分も多いシーズンになります。昨年のことで言うと、選手の成績で積み上げた勝利数である「WAR」はリーグ3位と決して戦力で大幅に劣っているわけではないです。ただし、戦力が揃っているわけではありません。投打の噛み合わせや投手・野手のタイプなどWAR自体の価値を本当に全て信じて良いかという議論は別としても、これが戦力を表す一つの指標にはできます。

2022年セ・リーグのチームWAR

 戦力をここまで振り返っても、先発は枚数が揃い始めて勝ちパターンは良いので、試合を作ることはでき、5割程度を推移しながら昨年の後半戦のような戦いはできると思います。結局は打つことが重要で、速球対策ができなければ苦しい戦いになることは避けられないでしょう。あとは阿部とA.マルティネス(WAR3.1相当、京田も入れたら2.2)が抜けてしまったのでアキーノをはじめとした新戦力が活躍するかどうかにかかっていると思います。プロ1年目がいきなり活躍するなんてそう起こらないです。既存の若手の成長でセカンドを守る新人をカバーしてもらいたいです。

 昨年はDeNA戦でもう少し互角に戦えていれば…と不運な負けのような言い方がされていましたが、そのDeNA戦で惜しくもなんともない戦いをしていたので実力負けです。その他4球団との試合で下振れを引かないかの方が心配になります。

 日程にも注目しなければなりません。交流戦前に広島戦11試合が週頭のカード1週間おきにあります。逆に週末のカードには巨人戦11試合とDeNA戦9試合があり、苦手な九里亜蓮(広島)、菅野智之と戸郷翔征(巨人)、大貫晋一と今永昇太(DeNA)と何度も対戦する可能性があります。広島戦に至っては後半戦も週末に9試合あるので同じ先発投手と8回くらい対戦してもおかしくないです。逆に言えば特定の球団に強い投手が出てくるとカモにできます。主力以外からの八木智哉2世の誕生を心待ちにしましょう。

 まとめると、
・試合を作れる先発投手が増えているので最低限戦える
・準勝ちパターンを強固にしたい
・打線はまずストレート対策と強い打球を打つことが重要
・セカンドでプラスを生むことは厳しく、他のポジションでカバーを!
・日程を有利に活用した戦いができると上位に行けるかも
・ただし、不確定要素が多すぎて下位に転がり落ちることも
といった感じで、Aクラスは狙えると思います。

 かなり長くなりましたが、以上で終わりになります。ありがとうございました!

データ参照 1.02-Essence of baseball 
      nf3-Baseball Data House


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