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中日ドラゴンズが横浜DeNAベイスターズに極端に弱かった理由を考える

 こんにちは、ドリーです。

 ペナントレースが終わってもうすぐ1ヶ月。ポストシーズンを見ている中日ファンの人の中にはこう思った人もいるでしょう。

平日の昼から~ゴロゴロ~ゴロゴロ~
あ~ぁ、DeNAがセリーグにいなかったらなぁ~

それはそうです。中日はDeNAになんと6勝18敗1分。それが五分であればセリーグ2位(貯金3)に入れたかもしれないと言われると中日は実は強いのでは?と錯覚してしまいます。
とはいってもDeNA戦以外も別に強いチームの野球やってなかったじゃん?他球団が勝手に落ちてきた部分もあるし…(例:開幕直後の阪神、他球団に感染者続出のコロナ禍、投壊の巨人など)とも感じてしまうので、じゃあDeNA戦で何がいけなかったのか現実逃避をせずに調べてみることにしました。

あ~ぁ、ホームラン40本打てる選手がいたらなぁ~の図

1.基本情報

 まずは各試合の先発投手とスコアから。

2022年中日-DeNA対戦試合(青い塗りつぶしは横浜スタジアム開催)

 続いて基本的な成績です。

2022年中日-DeNA戦の対戦成績

 この2つを見ると、似たような曜日に試合が行われ、同じような投手が先発していることがわかります。中日では小笠原慎之介が7回、高橋宏斗が6回先発しており、対するDeNAもロメロが7試合(+1試合救援登板)、大貫晋一が5試合に先発しています。ロメロと大貫は以前から中日を得意としている投手なので、その影響でこの対戦成績になっているのでは?と感じる部分もありますね。要するに日程の運でこんな悲惨な対戦成績になったとも受け取れてしまいます。しかも4月にはDeNA側のクラスターの影響で週末のカードが潰れたこともあります。

 ですが、ロメロは実は今季中日戦で3敗しています。むしろ6勝中3勝頂いているわけですから、先発ローテの順番だけではない要素が絡んでいると思います。逆に勝利投手は大貫が4勝、ロメロが3勝で残り11勝は他の投手が持っています。

2.投手

投手データの説明
FIP:奪三振、与四死球、被本塁打を元に算出した疑似防御率。投手の実力を測りやすいと言われている。
防御率:9イニングで自責点を何点に抑えるかの指標。
K/9:9イニングでどれだけ三振を取れるか。
K%:1人の打者に対してどれだけの確率で三振を取れるか。
BB/9:9イニングでどれだけ四球を出すか。
BB%:1人の打者に対してどれだけの確率で四球を出すか。
HR/9:9イニングでどれだけ本塁打を打たれるか。
WHIP:1イニングでどれだけ走者を出すか。

2022年中日ドラゴンズのDeNA戦投手成績

 日程の関係で大野雄大と柳裕也は1試合ずつの登板になりました。柳に至ってはその試合で危険球退場になっており1回1/3しか投げていません。対戦カードの7割弱の先発投手を小笠原、高橋宏、松葉が占めています。
 小笠原と高橋宏はシーズン全体の成績と大きく変わらない対戦成績を残していますが、松葉は少し苦手にしています。三振と四球率が悪化していることから、スイングの速いDeNA打線には変化球が見切られていた可能性があります。どちらかといえば小笠原や高橋宏の成績で3敗、4敗とついていることが問題で、小笠原はQSして勝利がつかなかったことが2回、HQSしても勝利がつかないことが1回、高橋宏に至ってはHQSで勝利がつかなかったことが3回ありました。打線の援護を増やさなければなりません。

 リリーフは勝ちパターンのロドリゲス、R.マルティネスが少しDeNA戦を苦手にしていました。ロドリゲスは無失点に抑えても四球でピンチを招くことがあり、R.マルティネスはその日の調子が悪かったのか同点から打たれて2敗しています。清水達也は9月27日に2失点した後に後続も打たれて自責点4がついたことを除けば無失点なのでそんなに問題ないと思います。福敬登は5月4日に4失点したことが響いています。

打撃データの説明
打率:四死球や犠打飛などを除きどれだけの確率で安打を放つか。
出塁率:どれだけの確率で出塁(エラー出塁は除く)できるか。
長打率:1打数での塁打数の平均値。
OPS:出塁率+長打率で算出されたもので、得点との相関性が比較的高い。
IsoP:長打率-打率で算出されたもので、純粋な長打力を測る。
K%:どれだけの確率で三振するか。
BB%:どれだけの確率で四球を選べるか。
BB/K:選球眼を測る指標。
BABIP:フェアグラウンドに飛んだ打球がどれだけ安打になったか。

2022年横浜DeNAベイスターズの中日戦打撃成績

 それでは誰に打たれたかも見ていきましょう。痛かったのはやはり主軸の佐野恵太、牧秀悟、宮崎敏郎、ソトの4人に打たれたことでしょう。牧はなんと23打点を叩き出すほどで、1・2番がそんなに出塁できていないのに長打で得点するのだから恐ろしいことです。打席数が少なくこの表の中には名前はありませんが、戸柱恭孝も2本塁打5打点を挙げています。嶺井博希も2本塁打を放っているように効率良く得点されたとも見れます。

2022年中日ドラゴンズの各球団対戦時の投手成績

 DeNA以外の対戦相手時の投手成績と比較しても、突出して悪いわけではありません。ただ、やはりDeNAにスラッガーが多いとはいえ、「村神様」こと村上宗隆を擁するヤクルトの次に被本塁打率が悪いことは改善しなければなりません。

3.打撃

 投手がああいう状態なら皆さんも察することができると思いますが、しっかり現実を見ていきましょう。

2022年中日ドラゴンズのDeNA戦打撃成績

なんじゃこりゃあ~!

 いくらなんでもグロすぎますよ。先ほどのDeNA側の打撃成績も見ていただければわかります。DeNA戦を得意といえる打者は1人もいません。主軸がDeNA戦を苦手にした選手が多かったことも敗因でしょうね。ビシエドは数年前からDeNAの守備シフトに引っかかるようになり、今季は不調時にDeNA戦が回ってくることも多かったです。あとは比較的打てるA.マルティネスの故障や抹消期間がちょうどDeNA戦に重なったことで他の選手へのマークが厳しくなったと思います。

 どこから手をつけていいのかわからないのでDeNA側の投手成績も見ましょう。

2022年横浜DeNAベイスターズの中日戦投手成績

 DeNAの投手は速球派とゴロを打たせる投手が多くを占めます。中日の打者は逆方向意識が強いので速球を打てません。中日の打者はすぐにゴロを打ちたがるのでゴロを打たせる投手も簡単に術中にはまります。よって中日の打者はDeNAの投手なんて打てるわけがないのです。入江大生だって防御率3.12ですが、これは3月30日に登板した際に1死満塁で交代して砂田毅樹が打たれたものです。なぜかエスコバーだけはそれなりに打てていますが。

2022年中日ドラゴンズの各球団対戦時の打撃成績

 その他のチームと対戦した時の打撃成績と比較しても、DeNA戦がダントツで悪く、次いでDeNAに少し似たタイプの投手がいる阪神戦を苦手としています。

2022年中日-DeNA戦の打撃成績比較

 対戦相手のDeNAと比較すると、攻撃の質の差が顕著に見られます。まず長打の量が圧倒的に違い、怖さがないことからストライクゾーンを安易に攻められ四球も少ないです。BABIPも運要素はありますが、フェアグラウンドに飛んだ打球のうちの打率なので、強い打球を打てる方がBABIPは上がります。.030の差は運だけではないはずです。

4.球場の差

 ここまでは25試合のデータを見てきました。とはいえ、「さすがにハマスタでは多少打ってるでしょ?」「バンテリンならDeNA打線抑えてるでしょ?」と思う方もいるはず(かくいう私もその1人)なので、調べてみました。

中日-DeNA戦の球場別投手成績
中日-DeNA戦の球場別打撃成績

 投手から見ていきます。本拠地では問題なし。横浜スタジアムは狭いので相手の長打は増えます。そこで怖がって与四球が少し増えています。これは同じく打者有利な神宮球場や東京ドームでも同じ傾向が出ているのである程度は仕方ないと思います。逃げるなといっても簡単にストライクゾーンで攻めて打たれるのも悪いことです。ただ、被本塁打率1.22は悪い数値なので攻め方を考えないといけませんね。

 次は打者です。

打者有利の球場でむしろ打てなくなっているってなんですか???

 どちらかの球場での試合で苦手な先発投手が固まっていたわけでもありません。得点も平均でバンテリンドームでの2.3点に対し横浜スタジアムでは2点です。長打も減少していて、IsoPは今季の大島洋平並みで高橋周平未満です。本塁打もバンテリンドームでの7本に対して横浜スタジアムでは2本。意味わからないでしょ?僕もわかりません。ちなみにDeNAは順当にバンテリンドームで8本塁打、横浜スタジアムで14本塁打です。
 狭い球場ならば多少長打を狙うこともありだと思いますが、普段から逆方向への打撃だの全球種対応だの最低限の進塁打狙いだのやっているようでは長打も出ませんよね。練習から逆方向にシングルヒット性の当たりばかり飛ばしているようでは速球対応もできません。結局普段からやっている打撃の差がDeNA戦で出ているだけです。30本塁打打てるスラッガーはいなくても多少長打を打てる選手はいます。

 勝率がバンテリンドームよりも横浜スタジアムの方が高い理由は、バンテリンドームでは乱打戦が起こるかロースコアになるかの2択で、横浜スタジアムでは一方的な展開になることがあったからと推察できます。

5.まとめ

 ここまで中日ドラゴンズが横浜DeNAベイスターズに極度に弱い理由を考察していきました。

 結論は

・打撃スタイルがDeNA投手陣にとって簡単に抑えられるものだから
・もともと打てる選手もいないから

で、それを変えたいなら普段の練習から引っ張ったりフライを打つことも必要になります。そもそも時代に逆行した打撃スタイルでこの成績なのだから、時代に合わせるべきではないでしょうか。DeNA戦でこのような打撃を続けるようであれば他球団相手にも大して勝てず、「2022年はDeNA戦が五分なら2位だったのに」もただの負け惜しみになってしまいます。「負けに不思議の負けなし」とはよく言ったものです。補強も必要になってくるでしょう。逆に今のDeNAの投手陣を打てるようになれば、その他の投手ももう少し打てるようになるのではとも思います。

 来年の今頃は「中日ドラゴンズが横浜DeNAベイスターズに極端に強くなった理由を考える」という題名でnoteを書けることを祈ってこのnoteを締めたいと思います。ありがとうございました。

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