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【SIREN考察】『もしも恭也が村に来なかったら』を考え続けたら見えてきた、神よりも上位の者の目的

※ネタバレを多く含みますのでご注意ください。

※この考察は、考察というよりは仮説に仮説を重ねた、もはや妄想です。そのつもりでお読みください。


SIRENとは?

プレイステーション2で販売されたホラーゲーム。2003年11月6日発売。

他人の視界を覗き見る「視界ジャック」という能力を駆使し、屍人と呼ばれる敵から逃れつつ戦うステルスアクション。

2006年2月には続編の『SIREN2』、2008年7月には第3作『SIREN:New Translation』が発売されたほか、2006年にはメディアミックスとして、映画化もされています。

もしも恭也が村に来なかったら

SIRENの物語は、主人公である須田恭也が、とあるオカルト系掲示板に書き込まれた都市伝説に興味を持つことから始まります。

『血塗れの集落』と題されたその書き込みには、昭和40年代に消えた村、血だらけの着物が散らばった廃墟、四つん這いでたたずむ老婆、戦時中に起こった村人33人殺し、など、見るからに怪しげな内容が書かれています。この書き込みに興味を持った恭也は、実際にその村を訪ねてみることにしました。

オカルトランド掲示板
この掲示板は実際にインターネット上に存在し、今でも閲覧可能です。

村を訪れたことで、恭也は美耶子と出会い、美耶子と血を交わらせることで不死の精神を得て、宇理炎や焔薙ぎという神器を使いこなすようになり、やがて村の呪いの元凶とも言える堕辰子の首を落とすに至ります。その行為が正しかったのかはひとまず置いておいて、この考察では、もしも恭也が村に来なかったらどうなるのか? を考えてみたいと思います。

さまざまな展開が考えられますが、可能性が高いのは以下の3つです。


1・他の誰かが役割を果たす

恭也が村で行った一連の行為を、他の誰かが代わりに行う、というもの。Twitterでこの疑問を取り上げたとき、最も多かった意見がコレです。

SIRENの世界ではループが大きなテーマとなっており、恭也をはじめとする異界に取り込まれた人物は、何度も同じ時間を繰り返しています。間違った行動をすると強制的に時間が戻り、正しい行動をするまで時間が進みません。そして、何度もループを繰り返すうち、少しずつ行動が変化し、その行動が他の人にも影響を与え、その人の行動も変化し、それらが繰り返されることで、最終的に恭也が堕辰子の首を落とすという結末に至るワケです。

恭也が堕辰子の首を落とすに至ったのは、美耶子と知り合ったことが最も大きく影響しています。しかし、八月二日に出会うまで二人の間には何の接点もないため、堕辰子の首を落とすのが恭也である必要性は無いようにも思えます。美耶子が恭也ではなく別の人物と行動していたなら、その人物が堕辰子の首を落とすことになった可能性は高いでしょう。

2・何も起きない。

恭也が村に来ないまま話が進行する、というもの。

堕辰子の首を落とす人がいないので、2003年8月の儀式は失敗のまま終わり、美耶子は先代と同じく異界に閉じ込められ、比沙子(および次の代の神の花嫁を産む姉の亜矢子)は現世へと戻り、儀式は次の代へ引き継がれることになります。

前述のとおりSIRENの世界ではループが重要なテーマとなっていますが、ループから抜け出す条件が堕辰子の首を落とすこととは限りません。別の行為がループから抜け出す条件であった場合は、これも充分有力な説となるでしょう。


3・恭也が村に来るまで永久にループする。

ループから抜け出す条件が堕辰子の首を落とすことであり、かつ、首を落とすのが恭也でなければならない場合は、この説が最も有力になります。

ただし、この説で問題となるのは、異界入り前にループが働いているのか? という点です。

SIRENの各ステージには終了条件1と2が設定されてあります。終了条件1を満たした場合は必ずどこかで行き詰まり、先へ進めません。終了条件2を満たすことで先へ進むことができ、全てのステージで終了条件2を満たすことで真のエンディングを迎える(すなわちループから抜け出す)ことができるのです。

この終了条件2が出現するのは異界入り後のステージからで、異界入り前のステージでは、終了条件はひとつしかありません。よって、異界入り前にはループが働かないと考えることもできるのです。

異界入り前にループが働かなければ、この説は完全に否定されます。

そもそもSIRENにおけるループとは?

『もしも恭也が村に来なかったら』に関する3つの説を紹介しましたが、これらの説は、『ループから抜け出す条件は何か?』によって変わっています。

例えば『1・他の誰かが役割を果たす』の場合は、ループから抜け出す条件が、『堕辰子の首を落とす』になります。

『2・何も起きない』の場合はループから抜け出す条件がかなり曖昧になりますが、『最低1人以上の現世への生還』や、『この代で儀式を行うのを諦め、次の代へ引き継ぐ』などが考えられます。

『3・恭也が村へ来るまで永久にループする』は、『恭也が堕辰子の首を落とす』ことがループから抜け出す条件になります。

つまり、『もしも恭也が村に来なかったら?』の疑問に対しては、ループから抜け出す条件が明確にならないと結論は出ないのです。

では、SIRENにおけるループとは、いったい何なのでしょうか?

この疑問に行き当たり、検索サイトで『SIREN ループ』で検索してみると、非常に興味深い説を発見しました。

YAHOO知恵袋/ゲームSIRENについて質問があります

詳しくは上記リンクのベストアンサーを読んでいただきたいのですが、簡単に説明すると、『因果の成立』がループから抜け出す条件である、ということです。

これは、非常に説得力のある説だと思います。

例えば、恭也が村に来るきっかけになったのは、ネットの掲示板で村人33人殺しのウワサを見たからです。しかし、その33人殺しのウワサは、後に恭也自身が屍人を虐殺したことで流れ始めたものでした。恭也が行う未来の行動が、過去の恭也自身に影響を与えていたのです。

よって、恭也が村に来なかったり、あるいは美耶子と出会わなかったり、途中で死ぬなどした場合、恭也の屍人虐殺は発生せず、因果が成立しないためループすることになります。恭也が村に来て異界に飲み込まれ、美耶子と行動を共にし、最終的に屍人虐殺を起こせば、因果が成立してループから抜け出すことができるのです。

この説を証明する点として、『ジェノサイドエンド』が挙げられます。

第3日0時、八尾比沙子が美耶子を実として奉げた後、恭也が屍人を虐殺するムービーが流れ、唐突にエンディングを迎えます。これが、ジェノサイドエンドと呼ばれているエンディングです。

ジェノサイドエンドの動画。
このエンディングは、ゲームの中盤から終盤に差し掛かる辺りで流れるので、突然の展開に唖然としたプレイヤーも多いと思います。

この突然の展開は、因果が成立したからひとまずエンディングを迎えた、と考えることができます。

美耶子が死んだ(正確には肉体が滅びた)ことで恭也と美耶子の「すべて消して」という約束がされれば、その後の経緯はどうあれ恭也の屍人虐殺が起こる可能性が高くなります。そこで因果が成立し、ループから抜け出すことができる、だから、ここでひとつのエンディングを迎えることになったのではないでしょうか?

これは、もうひとつのエンディングである『トゥルーエンド』にも当てはまります。

トゥルーエンドの動画。
全ての終了条件2を満たすことでたどり着ける、文字通り、SIRENの真のエンディングです。

このエンディングの直前にも、因果が成立しています。

恭也が堕辰子の首を落とし、八尾比沙子が必要とされるすべての世界に首を存在となったことで、第2日6時に失われたはずの首が届き、儀式の再開が可能になります。これで因果が成立したため、エンディングとなる、と考えることができるのです。

この説に基づくならば、堕辰子の首を落とすのは恭也でなければなりません。よって、『もしも恭也が村に来なかったら?』は、『3・恭也が村に来るまで永久にループする』が結論になります。

どうあがいても絶望

この説の最大の問題点(と言うよりは恐ろしい点)は、『ループから抜け出すためには新たなループを成立させなければならない』ということです。つまり、恭也が屍人を虐殺し、比沙子が永遠に首を届ける存在となるまで、SIRENの物語は終わらないのです。

SIRENファンの中には、みんなが幸せになる結末があると信じている方も多いと思います。私もその1人ですが、この説に基づくならば、少なくとも恭也と美耶子、そして比沙子が幸せになる結末なんて存在しないのです。

また、すでに他の考察で述べましたが、堕辰子が死んだことにより、異界ではサイレンが鳴らなくなりました。サイレンが鳴らなければ屍人は海送り・海還りの儀式を行うことができず、永遠に異界に留まることになります。村人全員が不死の呪いを受けてしまったようなものなのです。

【SIREN考察】須田恭也が堕辰子を倒した行為は正しかったのか?
詳しくはこちらの考察で。

よって、仮に恭也・美耶子・比沙子以外の人間全員が無事現世に生還したとしても、その先に待つのは、屍人として永遠に存在し続けることだけなのです。

まさに、どうあがいても絶望……^^;

神よりも上位の者は、なぜここまで凶悪な呪いをかけたのか?

八尾比沙子に呪いをかけたのは、堕辰子ではなく、堕辰子よりも上位の存在である、ということは、SIREN公式解説本『SIRENマニアックス』にて言及されています。

いわゆる『神よりも上位の者』です。

神よりも上位にいるほどの存在が、なぜ人間の小娘1人にここまで凶悪な呪いをかけたのでしょう? もしかしたら、それほど凶悪な呪いを使わなければいけない理由があったのかもしれません。

ここから先は完全に私個人の妄想になるのですが、もし、堕辰子に、SIREN2の母胎のような地上奪還の目的があったとしたらどうでしょうか?

続編であるSIREN2のラスボスである母胎、およびその勢力である闇人は、かつて地上を支配していた存在でした。しかし、光の洪水が起こったことで地上を追い出され、地の底に逃げ込みます。母胎は地上の様子を探りながら、地上を奪還する機会を伺っていました。そして、2005年の8月3日、母胎と闇人は地上へと侵攻しはじめます。

この母胎は、闇那其と呼ばれる唯一無二の存在の骨から生まれたもので、堕辰子もそのひとつであることが、SIREN2マニアックスで言及されています。母胎と堕辰子は、いわば兄弟なのです。

母胎と違って堕辰子が地上に現れた目的は不明なのですが、もし、母胎と同じように地上奪還のような目的があったとしたら、実は母胎や闇人などとは比べ物にならないほど危険な存在となります。

母胎の勢力である闇人は、ゲーム中は何度も復活しますが、それは死体に新たな闇霊が憑りついているためで、決して不死ではありません。闇霊を殲滅するか、憑りつくことができないよう死体を完全に損壊させれば、もう復活することはできないのです。

それに比べ、堕辰子の勢力である屍人は、完全に不死です。たとえバラバラにしようが分子レベルで崩壊させようが、時間さえあれば復活します。倒すためには宇理炎や焔薙などの神器を使う必要がありますが、どちらも普通の人間に使いこなせるものではありません。

ボスである堕辰子に至ってはさらに凶悪です。宇理炎や焔薙などの神器を使って倒しても、過去に首を届けることでまた復活しようとするのです。そもそも生死の概念さえ無い存在という見方もあります。

こうした完全に不死な存在に対しては、ループの中に閉じ込めるしか対策が無いのかもしれません。

SIRENのエンディング後の世界では、恭也が堕辰子の首を落とし、比沙子が過去に首を届けて堕辰子が復活し、また恭也が首を落とし、比沙子が首を届け……を、永遠に繰り返すことになりました。恭也と比沙子と同じく、堕辰子もまた、ループから抜け出せなくなってしまったのです。

これこそが神よりも上位の者の目的だとしたら、比沙子をはじめとする羽生蛇村の呪いは、人類全体を守るためだと考えられるのです。

私は長い間SIRENを考察し続け、羽生蛇村を救う方法を探ってきましたが、今回の考察に基づけば、羽生蛇村の呪いは解いてはいけないことになります。村を救う方法なんて存在しなかったのです。

SIREN発売からもうすぐ18年。真の絶望を知った気分です。はたしてこの絶望から抜け出す手段はあるのでしょうか? 次の考察をお楽しみに(次があるのは不明です^^;)。

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