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【SIREN考察】堕辰子を倒した後の恭也について

※この記事は、2020年8月5日に『NAVERまとめ』に投稿したまとめの移転です。

※ネタバレを多く含みますのでご注意ください。

SIREN(サイレン)とは?

プレイステーション2で販売されたホラーゲーム。2003年11月6日発売。

他人の視界を覗き見る「視界ジャック」という能力を駆使し、屍人と呼ばれる敵から逃れつつ戦うステルスアクション。

2006年2月には続編の『SIREN2』、2008年7月には第3作『SIREN:New Translation』が発売されたほか、2006年にはメディアミックスとして、映画化もされています。

好奇心旺盛なごく普通の少年・須田恭也

このゲームの主人公である16歳の少年・須田恭也。

夏休み、インターネットのオカルト系掲示板の書き込みに興味を引かれ、ゲームの舞台である羽生蛇村へ足を運び、異界へ飲み込まれます。

その後、村で出会った盲目の少女・神代美耶子と行動を共にし、村の秘密を知ることになります。村では『眞魚教』という宗教が信仰されており、数十年に1度、神に花嫁を奉げる儀式を行っていたのです。

村の秘密を知った恭也は、2人で村からの脱出を試みます。しかし、美耶子は眞魚教の求導女・八尾比沙子に囚われ、神へと捧げられてしまいます。

恭也は、美耶子と交わした「村もあいつらも全部消して」という約束を果たすため、宇理炎と焔薙をいう2つの神器を使い、怪異の元凶である神・堕辰子を倒し、さらに、異界にいる屍人を大量虐殺しました。

サイレン事典 さ行 須田恭也
恭也の詳しいストーリーや解説についてはこちらを参照に。

その後の須田恭也

『SIREN』における恭也の物語は以上で終わりですが、2006年2月に発売された『SIREN2』では、クリア後の特典という形で恭也が登場するシナリオを遊ぶことができます。

このシナリオは、次々と現れる敵・闇人を倒して得られるポイントを競うスコアアタックモードとなっています。

SIREN2 (サイレン2) プレイ動画 隠しシナリオ「異界ジェノサイダー・SDK」
2の恭也のシナリオの様子です。

このシナリオにて、恭也は宇理炎と焔薙を使い、襲い来る闇人を次々と倒していきます。さらに、どれだけ攻撃を受けようとも、決して倒れることはありません。

しかし、SIREN1の時点で、美耶子の血を体内に入れた恭也は精神は不死でも肉体は不死ではありません。歴代の神代の娘と同じく、身体はいずれ朽ち果て、精神のみが生き続ける存在となるはずです。

また、SIREN2の舞台は日本近海に位置する離島・夜見島です。その正確な場所は不明ですが、羽生蛇村とは全く異なる場所にあるのは間違いなく、当然、その異界も羽生蛇村の異界とは別の次元に存在するはずです。村から脱出することができなかった恭也が、どうやって夜見島へやってきたのかも謎です。

精神も肉体も不死で、自由に次元を行き来できる恭也。彼はなぜこのような力を身に付けたのでしょうか?

事の発端

そもそも、羽生蛇村が呪われる原因となったのは、1300年前、飢えに苦しんでいた村人が、この地に降臨した神・堕辰子を食べてしまったからです。

常世の存在である神の身体に下位の者が手をつけることは禁忌に値し、この罪で、堕辰子を食べた村人は不死の呪いを受けました。これが、後の八尾比沙子です。

比沙子は犯した罪を許してもらうため、子孫である神代の娘を神に奉げ続けます。これは、比沙子が食べてしまった堕辰子の血肉を少しずつ返すための行為とされています。この、神代の娘を神に奉げる儀式は1300年の間続けられましたが、比沙子の罪が許されることはなく、やがて比沙子は、何のためにこんなことをしているのか、その理由や目的さえも忘れてしまいますが、それでもこの儀式を行い続けます。最終的に比沙子は自らを奉げて堕辰子を復活させるものの、その直後に堕辰子は恭也によって宇理炎の炎で焼かれ、焔薙で首を斬り落とされてしまいます。

恭也の手によって堕辰子は完全に殺されてしまったわけですが、それでも比沙子は贖罪を続けるため、堕辰子の首=御神体をもってうつぼ船に乗り、必要とされるすべての世界へ御神体を届ける存在となります。

御神体とは儀式に必要な物のひとつで、特に堕辰子の復活には欠かせない物なのですが、事前に美耶子が壊しており、これが原因で儀式は失敗しました。なので、比沙子が時間をさかのぼって御神体を届けることで、その時間軸では堕辰子をよみがえらせる儀式を行うことができる、というわけです。

もっとも、御神体が届いて堕辰子が復活しても、やはりその世界の恭也によって首を落とされることになります。その首を比沙子が別の世界へ届け、堕辰子が復活し、恭也に首を落とされる……これが永遠に繰り返され、比沙子の贖罪は永遠に成就しません。

SIREN公式解析本『SIREN MANIACS』によると、この決して救われることのない状況こそが、比沙子が受けた呪いなのだそうです。

つまり、比沙子は1300年前に堕辰子の肉を食べたことで『永遠の贖罪』という呪いを受けたと言えるでしょう。決して許されることのない罪を、比沙子は永遠に償い続けるのです。

では、堕辰子を完全に殺してしまった恭也はどうなのか?

堕辰子の肉を食べただけ(復活可能)の比沙子でさえ、『永遠の贖罪』という極めて悪質な呪いを受けたのですから、宇理炎と焔薙を使って堕辰子を完全に殺してしまった(復活不能)恭也は、当然のごとく、比沙子よりもさらに悪質な呪いを受けるはずです。

前述のとおり、夜見島へやって来た恭也は精神も肉体も不死であり、さらに、SIRENの1から2にかけてはストーリー上2年経っているにもかかわらずステータス画面で確認できる年齢は16歳と、前作から全く歳を取っていません。

よって、堕辰子を殺した罪により、比沙子同様不死の呪いを受けていると考えられます。

そして、登場時に「お前らみたいなのがいる限り、俺は何度でも現れる」と言っていることから考えると、堕辰子を倒して以降、恭也は様々な異界に現れては、屍人を殺戮しているものと思われます。

異界が存在するのは羽生蛇村と夜見島だけとは限りません。日本中、あるいは世界中の地域に存在している可能性は十分考えられます。さらに、SIRENではいわゆるパラレルワールドの概念があり、さまざまな並行世界が無数に存在しています。無数に存在する異界と無数に存在する並行世界。恭也がどんなに戦おうとも、決して屍人を殲滅することはできません。

これらのことから推察すると、恭也が受けた呪いは『永遠の殺戮』。比沙子が決して許されることのない罪を永遠に償い続けるように、恭也もまた、決して殲滅できない屍人を永遠に殺戮し続ける運命にあると思われます。

2の公式解説本『SIREN2 MANIACS』内においても、須田恭也のことを「永遠に屍人と闘い続ける存在」と解説されています。

まさに『どうあがいても、絶望……』^^;


関連リンク

【SIREN考察】須田恭也が堕辰子を倒した行為は正しかったのか?
以前作った恭也が堕辰子を倒したことに関するまとめです。合わせてお読みください。

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