Dr.コトー診療所2003第5話感想

◇芦田先生の病名

診療所へ運び込まれた芦田先生は、ゆきさんにびっくり。
そりゃそうか。
心配する星野さんや漁師たちのなかで原さんは、
「バチが当たったんじゃねぇのか。ゴミ処理場なんか建てようとするから」
うーん、正直者!
激昂するシゲさん、あんたいつからそんな芦田先生派に……。
広子さんも芦田先生が倒れたと聞いて心配そう。

コトー先生診察中。
「朝からおしっこは何回くらい行かれました?」
「おしっこ!? なんでこんなときに!」
(コトー先生、びっくりしてキョトン顔)
「いいから答えて! 大事なことよ!」
(ゆきさんに同調するように頷く先生)
普通にお医者さんが聞くことだもんね。
芦田先生、あんまり怒りっぽいと血管切れちゃうよ。
「なるほど」
「なにがなるほどなんだ!」
キレすぎでしょ芦田先生!(笑)

みんなに状態を説明しようとするコトー先生を遮ったゆきさん。
「デリケートな問題なんです」
という言葉にちょっと困惑する先生と彩佳さん。
シモの話は確かにデリケートだけどもね……。
「残念ながら父の病気は手術すれば治るものではありません」
しっかり芦田先生聞いちゃってるよ。
ゆきさん策士だなあ。

ゆきさんの策にしっかりハマったシゲさんたち。
芦田先生を癌だと思い込んじゃいましたね。
しかも末期ってことになってる……。
しかしシゲさんの「他言無用」ほど信じられない言葉もないよね。(笑)

騙されたのは流石の代議士先生も同じ様子。
ゆきさん演技派だわ。
「ゆき、お前どうしてこの島に来たんだ」
「さあ……なんとなく虫が知らせたのかな」
そんな深刻そうに! 怒ってばっかりだった芦田先生もしおらしくなってきちゃった。
「良かったわね。倒れたのがここで」
怖いよー……ゆきさん。
やっぱりちょっとホラー感。
「血尿が出るかもしれないけど、あんまり気にしないで」
笑顔がコワ~。芦田先生完全にビビってます。

◇行方不明

茉莉子さんはあれから電話にちょっと過敏になってるみたい。
間違い電話に怒り心頭。
原さんが珍しく気まずそうな顔してるのちょっとおかしい。
「芦田先生のこと?」
「んー」
「聞いた。さっきシゲさんたちが市場でひとしきりウワサしてたもん」
「早いなあ」
「知らないの? 島のウワサは光ファイバーより高速だって」
この会話笑うわ。
いや、笑うけどシャレにならん。
話題は茉莉子さんの息子の件に。
「どうして、ひとりで戻ってきたんだ?」
「聞くんだ、そーゆーこと」
「辛かったろ。子供と別れんのは」
原さん、本当に真っ直ぐな人だ。
そういうところ剛洋くんと一緒というか、親子なんだなって思うよ。
「とられたの。別れてやってもいいけど絶対に子供は渡さないって」
この辺の茉莉子さんのつぶやき切ないな。でも、相手の人も子供を渡したくないってことは、それだけ子供に愛情があるってことなんだよね。
そうこうしてると、再び電話。
それは茉莉子さんの息子が行方不明になったという連絡で……。

診療所では広子さんが消えてしまって大騒ぎ。
と、同時に茉莉子さんも港で息子について聞き込み。
「どんな子だ」
と聞かれて、顔も背丈も答えられないのがつらい。
「そうなの、わかんないのわたし……馬鹿だね……」
頼りになるところたくさん見せてくれた茉莉子さんが、こんなふうに憔悴してるの見るの悲しいな。
知らない子が歩いてたら誰かが気づいて声かけるはずだって言う原さんの言葉が心強い。
人と人の距離が近いのは、光ファイバーより高速なウワサとかもあるけど、それだけ島民みんながみんなのことを気にしてるってことだもんね。
「やっぱりわたし、悪い母親だね」
「よく考えたら、あの子のことなーんにも知らないの。5歳の時から会ってないんだもん」
今、小学4年生なら10歳くらいか。
その子の人生の半分を知らないのは大きいよね……。

広子さんは純一くんの読み通り、志木那神社へ。
芦田先生の病気が良くなることを願って……。
雨の中お札をもらいに行ってたんだね。
お母さんを抱き起こす純一くんと、すぐさま患部を白衣で覆うコトー先生。
「先生ごめんなさい。うちはずっと昔から志木神さまに守っていただいてるから……きっと芦田先生のことも」
「先生のことよりも自分のこと考えろって!!」
声を荒らげる純一くん。お母さんのことが何より大事だから、お母さんにも自分を大事にしてほしいんだよね。
「安部さん。安部さんのお気持ちは、きっと神様に伝わりますよ。だからもう、こんな無茶やめてくださいね」
優しいなあコトー先生。
広子さんの気持ちを汲みつつ労わってる。あったかい。
「すいませんでした先生」
「ほんとに馬鹿な母親で……」
純一くん、本当はそんなこと思ってないってわかるよ。
何も言わずに首を振るコトー先生も素敵。

◇彩佳さん、爆発

診療所の前ではついに堪忍袋の緒が切れた彩佳さん、ゆきさんにお説教中。
確かにゆきさんの計画は、思いもよらぬかたちで広子さんを巻き込むことになってしまいました。
そのことについて謝罪しつつ、ゆきさんにも言い分がある様子。
コトー先生に言われた患者が10人いたら10通りの治療法があるという言葉を彼女なりに考えて出した答えだったんですね。
「尿管結石はね、父の心に巣食う悪い膿を取り除くチャンスだと」
「人の命は玩具じゃないのよ!」
「この島じゃ、普通なら助かる病気で命を落とすことだってたくさんあるの!」
「そういうことちゃんとわかってここに来たいって言ってる!?」
彩佳さんの言うことはこの島の看護師として間違いなく正しい。
でもゆきさんの気持ちもわかるから難しい問題だなあ。
「彩佳さん。まあいいじゃない、そんなに怒らなくても」
コトー先生は穏やかな表情で諭すけれど、今の彩佳さんにはちょっと逆効果だったみたい。
というか、ショック……かな。
「先生までそんなこと言うんですか? もう知らないですわたしは! 勝手に父親の看病でもなんでもしてよ! あなた医者なんでしょ!」
「彩佳さん!?」
雨の中走り去ってしまう彩佳さん。
戸惑う先生と落ち込むゆきさん。
コトー先生、さてはなんにもわかってないな!
彩佳さん……ずーっとゆきさんに振り回されてたもんね。
看護師としてのプライドも傷ついてるし、モヤモヤは溜まる一方でつらいよなあ。

居酒屋まりでは、茉莉子さんが息子の行方を気にしています。
そこへびしょ濡れの彩佳さんが。
「茉莉子さあん! 焼酎ちょうだい! もうそのまんまでいい!」
やばいよ! そのまんまはダメだよ!
「どうしたの?」
「代議士の娘よ! 女医! いきなり診療所に来たと思ったら勝手なことばっかりして、あの女のせいで広子おばさん大変なことになるとこだったのよ!」
「コトー先生もコトー先生よ! あの人の言うことウンウンウンウン聞いちゃってさ、なんなの!? ちょっと綺麗で頭が良くてお嬢様で……」
ここで(あれ……ヤダ欠点ないじゃん)みたいな顔してる彩佳さん笑う。
「ねえ……なんで男の人はそういう女に弱いわけ?」
彩佳さん!!(爆笑)
かわいいなあ彩佳さん。そのままでいてほしい。
論点がずれてってるの見ると、彩佳さん医者としてのゆきさんにコトー先生の隣をとられたことに嫉妬しつつ、女性として魅力的(?)なスペックのゆきさんにも苛立ちを感じてるみたい。(そんなゆきさんに優しいコトー先生にも)
そりゃあモヤモヤするよなあ。
茉莉子さんはそんな彩佳さんに微笑みながら、
「いいわね。そんなにムキになれる相手がいて」
「何言ってんの?」
「そーゆーのをね、大人の世界じゃ嫉妬って言うの」
「そんなんじゃありません!」
彩佳さん、図星だー!
「好きなんだ、コトー先生のことが」(茉莉子さん超楽しそうな顔してる)
「違うわよ! 何言ってんの!?」
ブチ切れ具合に笑っちゃう。
怒った彩佳さん、ヤケになって焼酎だと思って手を出したのは水でした。残念。
「なにこれ水!」
「あのねえ、勤務中のナースにお酒出せるわけないでしょう」
ごもっともでございます!
ふくれっ面の彩佳さんが可愛い。
茉莉子さんにすっかり手玉に取られてます。相手の方が一枚も二枚も上手だわ。
伊達に子供も産んでないし離婚もしてないという茉莉子さんにびっくりの彩佳さん。
「彩佳ちゃんのことはさあ、みんなが頼りにしてるんだから」
「幸せなことだよ。誰かに必要とされてるのって」
茉莉子さんの呟きがちょっと切ないなあ。
でも確かにそうだよね、彩佳さんがいなかったら大変だよ。
看護師としての立場が揺らいできてる(と本人は思ってる)彩佳さんにとっては、一番欲しかった言葉だね。

◇ボーイズトーク

純一くんはお母さんの取ってきたお札をゆきさんへ。
芦田先生がどんな病気でもお札を取ってきただろうと言う純一くん。
お母さんのこと、本当によくわかってるんだなあ。(ホッコリ)
「そんな……馬鹿な母親です」
「素敵なお母様ね」
「だってあなた、そんなお母様のこと、好きでしょ」
ここのゆきさんのセリフ凄く好き!
羨ましさというか、心から(いいな)って思ってるのが伝わってきて……。
純一くんとは反対に、お父さんを好きになれないでいると言うゆきさんが切ないなあ。
「先生、もう少しだけ協力してください。もう少しだけ父を」
「きみのお父さんのことだ。一番よくわかっているきみに任せるよ」
ゆきさんの迷いや葛藤を包み込むようなコトー先生の優しい言葉にグッときます。

芦田先生はお札をバカにするわ部屋に入れろと駄々こねるわで相変わらず。
「私は代議士だぞ」
だからなんやと思うけど、ゆきさんも腹に据えかねた様子。
広子さんと同室にしちゃった!
びっくり顔の純一くんと驚きつつ引き気味かつ押され気味のコトー先生に笑っちゃう!

コトー先生と和田さんは夜食タイム。
ヤシガニラーメン初登場かな。
和田さんが蓋閉めて、ストップウォッチ開始するコトー先生が真剣そのものでおかしい。
「ゆきさんも意外と頑固ですよねえ。やるとなったら退きませんもんねえ」
「ほんとだ」
和田さんと2人でリラックスしてるときのコトー先生は、なんだか子どもみたいというか、年下感出てて口調も幼くなってる気がします。
かなーり心を許してる感じ。
可愛いなあ。
「ねえ和田さん。彩佳さん、どしてあんなに怒っちゃったんだろ……疲れてたのかなあ、ここんとこ忙しかったからぁ」
「……」
「もう少ししたら電話してみましょっか」
「でも……休んでもらった方がいいのかな」
ダメだー全然わかってない先生にニヤニヤしちゃう。
本当にニブチンだねえ。
「先生って病気のことはすぐわかるけどそれ以外のことはぜんっぜんわかんない人なんですねー」
「ぜんぜんわからない……?」
何を言われてるのかもわかってなさそうなコトー先生。
完全にひらがなしゃべり。
和田さん呆れちゃってます。
「彼女とかいらっしゃらないんですか」
「……」
「あ"!!」
和田さん、何やら思い出したようにデスクから取り出したのはコトー先生が開こうとしていた原沢先生からのお手紙。
「ダメじゃないですか、落っことしちゃ」
コトー先生、様子がおかしいです。
「咲さんてどういう方なんですか? どういう方なんですか先生」
「え、まあ、えへへへへへ」
あ! すごい笑って誤魔化そうとしてる! わかりやすく誤魔化そうとしてる!(爆笑)
咳き込みつつ「ああ時間ですね」ってラーメンで気をそらそうとしてるあたり、ほんとに必死だな。
食べようとしたところで電話……。
なんとも言えない表情で顔を見合わせる2人。
お医者さんはつらいよ。
つかの間のボーイズトークも、あっという間にお開きです。

◇それぞれの夜

運び込まれたのはあきおじでした。
苦しむあきおじの処置をするため、ついつい彩佳さんを呼んでしまうコトー先生。
「先生、だから彩佳さんはおらんでしょ」
「……あ」
この時点ですでに彩佳さんのことを頼りにしてるんだね、コトー先生。
和田さんとゆきさんがわたしがやりますって言い合ってるところで、
「トロッカーとチェストドレーンバックですね」
彩佳さん戻ってきてくれたー!!
どうしようって困りかけてた先生の表情が、彩佳さんの姿を見て笑顔に変わるの超尊い。
彩佳さん、茉莉子さんの言葉の意味を実感できた瞬間だったんじゃないかな。
何よりコトー先生に必要としてほしかったんだもんね。
さらに来た別の急患にも、「彩佳さん、頼む」だもん。
コトー先生からの信頼は厚いよ、彩佳さん!

騒ぎが気になる芦田先生。
急患の間を行きつ戻りつのコトー先生を、つい目で追ってしまいます。
しかし今更ながらコトー先生すごい……。看護師と医師にそれぞれ指示を出しながら、患者さんの家族もちゃんと安心させて……。
病室に戻った芦田先生は、お札に手を伸ばしかけるけど、広子さんの「芦田先生が良くなりますように」って言葉を聞いて素直になれない様子。
誰も見てないのにね。
でも布団に入った芦田先生の表情は、何か感じるものがあったように見えました。

大雨の夜、原親子。
「すごい雨だねお父さん」
「うん」
「でも僕、雨の日は嫌いじゃない」
「なんで」
「お父さんが漁に行かないから」
んああ……ここの会話好き……。
お父さんが漁師をしている手前、雨の日が"好き"じゃなくて"嫌いじゃない"という剛洋くんのいじらしさ!
お父さんが漁に行かない=一緒にいられるってことでしょ。
お父さんと一緒にいられることが嬉しいって意味でしょ。
剛洋くん……いじらしいよ。たった2人の家族だもんなあ。
そんな剛洋くんにお母さんの思い出を尋ねる原さん。
「それがさ、変なことなんだ」
「変なこと?」
「夜目が覚めたら、ここにお母さんが座ってて、泣いてるのかと思ってすごくびっくりしたんだ」
「そしたら急に僕の方向いて、早く寝なさいって笑ったの」
「お母さんの顔、すごく綺麗だった。優しかったよ」
剛洋くんの数少ないお母さんとの思い出は、なんでもない日常のひとコマ。
それでも剛洋くんの記憶には深く刻み込まれていたんだね。
きっとお母さんは自分が長くないことを、その頃にはもうわかっていたのかな。
でも、剛洋くんの前では優しいお母さんであり続けた。
素敵な人だったんだろうなあ。
「ねえお父さん」
「お母さんの病気、ちゃんとしたお医者さんがいたら治ってたかもしれないんでしょ」
「ああ」
「だから僕は、お医者さんになりたいんだ」
"だから"に込められた剛洋くんの決意。
コトー先生がきっかけになったけど、それだけじゃない。憧れにはもうひとつ理由があったんだなあ。
優しい子だよね、剛洋くん。

◇心の変化

夜が明けて、もう患者さんが来ていることに驚く芦田先生。
変わらず働くコトー先生を見て、芦田先生の内面になんらかの変化が起こり始めているのがわかります。

気分転換に景色を見に外へ連れ出された芦田先生。
あ、コトー先生白衣のポッケに手突っ込んでる! 珍しいな、なんか。
芦田先生は自分が癌なんじゃないかと疑っている様子。
自分の命がどれくらいもつのかを気にし始めた父に、ゆきさんは少し動揺。
芦田先生はコトー先生に説明を求めます。
「もしも癌だとしても、どれだけ生きられるかは今後の治療と生活次第です」
「1ヵ月か、1年か、10年か……それは誰にもわかりません」
「でも先生、人は誰でもいつか死ぬときが来るんですよ」
「僕もゆきさんも、あそこにいる彩佳さんだって……その最期のときに『ああ良い人生だった』と思えたら、それが一番幸せなことなんじゃないですか」
この言葉、忘れずに胸に刻んでおきたいなあ。
いつか死ぬそのときに、これまでを振り返って良かったと思えるように生きる……いつ死ぬかということを気にする前に、今を一生懸命生きること……その大切さを忘れないでいたい。
コトー先生の語りかけが優しくて、あたたかいから素直に聞けるんですよね。

それから2日、なぜかご飯も食べず面会謝絶を始めた芦田先生。
シゲさんはダストリサイクルセンターのことで頭がいっぱいで相変わらず。
ゆきさんは途方に暮れて、困ってしまいました。
思わず弱音を吐くも、彩佳さんは自分で言い出したことは自分で決めるべきと返事。
そりゃそうだよね……。
「それをコトー先生が良しとしたんだから、私は何も言えない」
彩佳さんのちょっと拗ねたような声色に複雑な感情が滲んでる……。
「でも……お父さんの体のことはちゃんと考えてあげて。……あなた医者なんですからっ」
言葉は喧嘩したときと似てるけど、彩佳さんの優しさとか思いやりが感じられていいなあ。
「ゆきさん……こないだはごめんなさい」
「私言いすぎました。ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げて顔を逸らす彩佳さん。素直じゃないけど頑張って素直になるところ、好きだなあ。
謝られるなんて思ってもいなかったって感じのゆきさんとの対比もいい。

「お母さん、足はまだ痛みますかな」
「私のためにこのお札を取りに行ってくださったそうですな」
「遅くなりましたが、ありがとうございました」
芦田先生!!!!!
「私にはなんにもできませんが、早く良くなってください」
ここ、廊下で聞いてるゆきさんが涙するのと一緒にいつも泣いちゃう。
「元はと言えば、あの事故も私が先を急いだために起きたことです」
「すまないことを致しました」
真摯に頭を下げる芦田先生。
この診療所で見た、広子さんの姿、コトー先生や働くみんなの姿が芦田先生の心を変えたんだね。
大人になってから、自分の立場が上になってから、考えを改めたり心を入れ替えたりすることって本当に大変だし難しいことだと思うけど、懸命な人の姿が芦田先生に良い影響をもたらしたこと、本当に素晴らしいと思います。
「至らない息子ですけど、これからもどうぞおそばにおいてやってください」
どこまでも息子思いの広子さん。
「お気に触ることもあるかと思いますが、真面目な、真面目だけがとりえの息子で……」
お札をかざして頷く芦田先生。
良かった……本当に良かったよ。
「ゆきさんは、こないだ僕に先生のこと好きになれないって仰いましたよね」
「あれって、本心ですか?」
「え?」
「本当に嫌いだったらあんな嘘をついてまでここに入院させようなんて思いませんよね」
「僕だって芦田先生のこと尊敬できなかったら、とっくに秘書なんてやめてます」
純一くんの言葉にハッとさせられました。
ゆきさんがあれだけ頑固になったのも、お父さんのことを本心では好きだから……。
ゆきさん、良かったね。

◇変わらないでいてほしいもの

芦田先生から外に呼び出されたコトー先生。
ずっとコトー先生の働きぶりを見てきたという芦田先生はある疑問をぶつけます。
「たった一人で、寝る暇もなくて、きみはどうしてあんなに頑張れるんだ」
「だって、それが僕の仕事ですから」
「島のみんなが元気になって、喜んでくれればそれでいいんです」
「ずいぶん優等生の答えだな」
「本当にそれだけか? 無理してるんじゃないのか?」
「本当にそれだけです……今は本当に」
"今は"かあ。
コトー先生の過去とか未来とか考えるといろいろ胸に来るし最終的に泣きたくなる。
東京にいた頃は今の比じゃないくらい忙しくて、患者さんの名前も覚えられないほど「時間に追われ、ただ走り続けてた」というコトー先生。
「ここは、本当に不思議な場所です」
「僕はここ島に来て、見えてきたものがたくさんあるんです」
コトー先生の言葉に、自分のこれまでを振り返る芦田先生。
「もっと単純に……ただ誰かのために、誰かの役に立ちたいというその気持ちだけで働くことができたら、幸せだったんだろうな」
「そして、良い一生だったって、笑って死ねるんだろうな」
芦田先生は過去形にしてるけど、その必要が無いことを知っているコトー先生は微笑みながら芦田先生の話を聞いています。
まだまだこれから、芦田先生がその気持ちを持って働けたら、きっと良い人生になるよ!
志木那島の現状を憂いて、未来を思って新しい産業を誘致するべきだと考えたことは間違いではないと思っている芦田先生。
「君はどう思う。ここに処理場を建てること」
「僕は、よそ者ですから偉そうなことは言えません」
「だけど、世の中には変わって良くなるものと、そうでないものがあると思います」
「僕はこの島には変わらないでいてほしい」
「変わらないことが魅力になる日が、いつかきっと来るような気がします」
星野さんと微笑み合うコトー先生。
ここ、忘れられない大好きなシーンです。
世の中には、時が経てば変わるものは沢山あるし、変わらざるを得ないものも多いです。
その中で変わらないでいることができるものっていうのは、本当にかけがえのない貴重なもので、そういうものは大切に守っていきたいと感じました。

◇エピローグ、そして……

退院することにした芦田先生。
シゲさんが必死で集めたダストリサイクルセンターの署名も、白紙に戻ったことでまったくの無意味!(笑)
ビックリするみんなの中でそっと微笑むコトー先生。嬉しそう。
純一くんにお母さんについていてあげなさいと言う芦田先生の優しい"命令"がいいなあ。

ゆきさんはここでお別れ。
「彩佳さんも、わがまま許してくれてありがとう。あなたに言われたこと忘れないわ」
彩佳さん、照れくさそうに少し笑みを見せようとしてちょっと失敗しつつはにかんでるのかわいーいー!
対してニッコリ白い歯を見せて笑うゆきさんの素直さも眩しくて素敵!
「それから和田さんも、頑張ってくださいね♪」
ほっぺにキスされた和田さん、ビックリ!
「先生、写真撮ってください」
カメラのジェスチャーしながらめちゃくちゃ嬉しそうなコトー先生。
「その前にこっちも」
和田さんもう片方のほっぺもおねだり!(笑)
美人に弱いんだから!

診察室で白衣のポケットに入れたままの手紙に気づいたコトー先生。
ようやく中身を拝見……。

ゆきさんは車の中で芦田先生にネタばらし。
「わしゃ癌なんだろ」
爆笑するゆきさん。
「お父さんの病気は、ただの尿管結石よ」
聞いた芦田先生の顔!!(爆笑)
かわいそうだけどこれは笑っちゃう。
芦田先生が初めて可愛いお父さんに見えたよ。
良かったねえ。

コトー先生とは別の思想、考えのもと東京の大学病院で働いている原沢先生。
思いの滲む手紙の中に、やや唐突に出てくる『脳外科の柏木先生』の話。
ほんの少しの計算というか、原沢先生の「気づいてほしい」って願望が見えるような……。
でも、コトー先生は気づいてないんだろうなあ……。

回復したあきおじから、かぼちゃと志木那島神社のお札をもらったコトー先生。
お札を見たときの、コトー先生の驚きと喜びがないまぜになった表情で、胸がギュッとなりました。
この島の人たちが大事な人に渡すお札をあきおじから受け取って、先生嬉しかっただろうなあ。

ラストはゆきさんと芦田先生の車が謎の少年を見つけるシーン。
リュックの名札には「杉本竜一」……。

エンディングの写真はゆきさんにほっぺのキスをもらって嬉しそうな和田さんと、お札とかぼちゃを手にしたコトー先生。
うーん、良い写真だ!

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