Dr.コトー診療所2003第6話感想

◇訪問者

「それじゃあこれで」
謎の女性と診療所を後にするコトー先生。
島のみんなは手を振ってて、彩佳さんだけが狼狽えてます。
彩佳さん! 先生白衣着たまんまだよ! ほんとにどこ行くんだ。
自分の夢って見てるときには矛盾とか変なことに気づかないんですよねー、不思議。
ということで、彩佳さんうたた寝しつつ、みんなにバッチリ聞こえちゃう寝言まで言ってたみたい。
「ああ、言っとらんぞ。『コトー先生行かないでー』なんて」
あちゃー。これは恥ずかしい。
彩佳さんが飛び起きたときに、よく見るとみんながニヤニヤしてるんですよね。
「違う、違うからね! 別に先生なんかいなくたって全然平気なんですから」
ツンデレテンプレじゃないか!
わかりやすく動揺する彩佳さんめちゃくちゃ可愛い。
笑われてるとこにコトー先生登場。
「楽しそーですねえ。……どしたの」
「なんでも」
「別に」(ぶんぶん)
和田さん優しい。(笑)
「彩佳さん、そろそろ出かけましょ」
「どこにですか」(迫真)
「往診……いつも行ってるじゃないですか。ふふ」
彩佳さん、いったいどこに出かけると思ったのか。
なんにも知らないコトー先生にまで笑われちゃう始末。
「……そうですよ。……何言ってるんですか先生!」
彩佳さんが何言ってんの!(爆笑)
このあと出てきた星野さんにも聞かれて、和田さんが下手くそな誤魔化しをするとこもめっちゃ好き。
平和な診療所だなあ。

剛洋くんは62点のテストを持ってしょんぼり帰宅中。
「おかえり。今日終業式だったんだろ」
「……うん」
「今から内さんとこ行くけど、一緒に行くか」
「今日はいいや……」
明らかに気落ちした様子に心配そうな彩佳さんと先生。
剛洋くんに話しかけるコトー先生の口調が好きって話は何回でもする。好きです。

様子のおかしな内さんに引っ張られてきたコトー先生と彩佳さん。
見慣れない顔立ちの少年を見て、
「島の子じゃないわねえ」
長く島に住んでて、常日頃、島のみんなの顔を見てる彩佳さん素敵。

茉莉子さんを尋ねて来たらしい少年の話を彩佳さんから聞いて、つい息子なんていない、私には関係ないと言ってしまう茉莉子さんも、それを聞いてしまう少年もつらい……。
帰ろうとするのを引き止めて、結局診療所に連れてきたコトー先生。
「しばらくここに入院だな」
優しい声。
「せっかく来たんだもん。なにも明日帰ることないじゃない」
「名前は?」
「……」
「患者さんの名前知らなきゃ入院はさせられないなあ」
ここで目線を合わせるコトー先生好きです。
「……りゅう」
「そっか、りゅうくんか」
竜一くんなんだけど、普段からりゅうって呼ばれてるからそっちで答えたのかな。
剛洋くんに接するのとはまた違う、コトー先生の優しくて穏やかな口調が良い。
安心感あるよなあ。

◇複雑な人間関係

コトー先生の貴重な料理シーン。
ネギ全部つながってる!
そのまま味噌汁へダイブ!
「よーし、出来た〜」
…………。先生メスは使えるのに包丁はダメな人なんですね~。

「こ、こども!!?? 茉莉子にか!!??」
漁港では早速漁師たちがウワサ話。
シゲさんは超動揺。
茉莉子さんの事情は同級の努さんがよく知ってたとのことで、シゲさんはさらに動揺。
「急に聞いた俺はショックじゃねえか!!」
ひとりでフラフラになってるシゲさん面白すぎます。

診療所トリオと星野さんは、待合室で相談中。
「好きだったのになあ、茉莉子のこと」
!!
和田さんなぜか唐突に告白。
いっせいに振り向く3人が笑える。
「小学校のときは可愛くてよお。なんちゅうか、可憐で、山に咲く野菊みたいな女の子だったんだよ」
「それが今じゃこれだもの。自分が産んだ子にも合わねえっちゅうんだから、恐ろしいよなあ女って。俺なんだか女性不信になりそうですよ」
「(和田さん!)」
「はい?」
和田さん……。間が悪いというかなんというか……。
途中で気づいた彩佳さんとコトー先生の顔が(ま、まずいよ)って言ってる感じで笑っちゃう。
何も言えない茉莉子さん、顔を逸らす星野さん、俯くコトー先生、目を泳がせる彩佳さん……シリアスな場面なんだけどね。(笑)

茉莉子さんは海岸でりゅうくんと話すものの、一方的な感じで会話にならない状態。
そこへ原さんが剛洋くんを連れてきました。
「剛洋、遊んでやれ」
「いいからほら、2人でどっか行って遊んでこい」
そ、そんな無茶な。
「お願い剛洋、りゅうっていうの」
ま、待ってくれ。子どもの世界にも色々あるんだ……そんな急に初対面の人見知り感丸出しの子と仲良くなるなんてハードルが高すぎるよー。
このシーン見るたびに、剛洋くんが少し気の毒になっちゃうんだよね。
いや、事情はわかるんだけどさ。

「きっとガッカリしたのね、こんな母親で」
茉莉子さん、後ろめたくて自信がないから冷たくしちゃうんだろうなあ。
拒絶されるのが怖いし、引き止めたくなるから拒絶してしまう。
飄々とした人だけど、息子のこととなると不器用なんだなあ。

案の定、心を閉ざしたままのりゅうくんに戸惑う剛洋くん。
「あいつ、きみのお父さんと付き合ってんの?」
!!
なんちゅうデリケートなことを聞くんだ!
「違うよ! そんなんじゃない! ……と……思う……けど……」
とりあえず力いっぱい否定したけど、よくよく考えるとそんなことはまったく知らないのでだんだん声が小さくなってく剛洋くん……。
「きみのお母さんは知ってんの、そのこと……ね、どーなんだよ」
意外と気が強いりゅうくん。
ガンガンいくね、きみ。
「お母さんは、いないんだ」
「え?」
「死んじゃったから。僕が小学校上がる前に」
この言葉を受けたりゅうくんの表情の変化が印象的。
あ、まずいこと聞いてしまった……って顔を一瞬するんだけど、そのあと心を開いたような、シンパシーを感じてるような表情になるんだよね。
だからこのあと、うまくいけば仲良くなれたかもしれないんだけどクニちゃんたちが来ちゃった。
「あいつがお母さんかどうかなんて、そんなことはどうでもいいんだよ!」
目の前でウワサ話されちゃ、素直には言えないよね。
ここのりゅうくん、可哀想だったなあ。
走り去ってしまったりゅうくんを追いかけられず、剛洋くんは立ち尽くすばかり……。
クニちゃんたちもいるしなあ。

◇コトー先生の原点

魚を釣ってきた原さん。
帰ってきたらりゅうくんがいないので、剛洋くんを叱ってしまいます。
このシーンはつらいんだよー。
剛洋くんの気持ちになって泣きたくなる。
怒られるわ、本で頭叩かれるわ、テスト見つかるわでもうつらいよー。
「あいつ探してくる! 探してくればいいんでしょ!」
家を飛び出した剛洋くんと、破れてしまったテストを見つめる原さん。
うわーん不器用な親子!!

剛洋くんが頼ったのはやっぱりコトー先生。
ひまわり畑を自転車2人乗り。
あーー良いなあ。
「どっか心当たりないの?」
「…………」
「なんだよー元気出せよー」
コトー先生の明るさに救われるよね。
なんか先生っていうより友だちに近い距離感で良いなあここ。
「こう見えてもね、道には詳しくなったんだよー。毎日往診してるからね。さっきも村長に呼び出されてドニ崎まで行っちゃった」
実際あるところかと思ってドニ崎を調べたけど出てこなかったです。志木那島オリジナル地名かな。
道に詳しくなったコトー先生、自慢げで可愛い。
「コトー先生は、小学校のころ算数とかできた?」
「子どもの頃僕は勉強できなかったなあ」
「ほんと?」
「兄貴がすっごく頭良くていっつもバカにされてた」
「ほんとに?」
「ふふ。お前は何をやってもダメだって。ふふ」
ここ、コトー先生の貴重な家族情報。
原作漫画では妹がいるんだけど、ドラマではお兄さん。つまりコトー先生は弟なんですよね。
なんかわかるような気もする。
だって吉岡さんのコトー先生、心を許した相手に甘えん坊になるじゃん! 弟キャラ感あるもんね。
「僕もね、高校3年のとき剛洋くんと同じで腹膜炎になって死にかけたことがあるんだ」
「そのとき、近所のお医者さんが救けてくれてさ。入院したベッドの上で思ったんだあ。将来こういう仕事につけたら良いなあって」
「それから猛勉強したんだ。人間、ほんとにやりたいことには必死になれるもんさ」
ここ、剛洋くんが真っ直ぐな目でコトー先生を見つめてるのが胸に来る。
憧れのコトー先生が、かつて自分と同じ病気をして同じような経験をして、医者を志したという事実に胸がいっぱいになってる剛洋くん。
その驚きと嬉しさと感動が伝わってくる表情とカットなんだよね。
「お医者さんになったときは嬉しかった?」
「嬉しかったよー。……すっごく嬉しかった」
「こっちへ来て不思議と思い出すんだ」
「なにを?」
「初めて白衣を着た日のことさ」
「あのときなんだかすごく神聖な気持ちになって……」
このシーン見ると、Dr.コトー診療所の主人公はコトー先生と剛洋くんだなあと思うんです。
医師として離島で働くコトー先生と、先生に救われて、憧れて、医師を志す剛洋くんの物語。
医者になれた日のことを思い出して、笑顔ですごく嬉しかったと話す先生と、それをキラキラした瞳で聞く剛洋くんのこのシーンが本当に大好き。

◇緊急事態発生

あきおじが見たという"ハビル谷"で、りゅうくんの捜索。
「なあ剛洋くん、ちょっと休もうかあ」
「ダメだよ先生! 早くしないと日が暮れちゃうよ!」
「えーーー10秒だけ」
「頑張ってよお」
「10秒!」
「頑張ってよお」
「いててててて」
やだ先生情けない!(爆笑)
10秒で粘ろうとするとこ子供じゃん!
相変わらずよわよわのヘロヘロ。
ゆきさん先生のことファイターって言ってたのにね。
医者スイッチ入らないと体力ないんだなあ。
と、下の方で倒れるりゅうくんを発見した剛洋くん。
足を滑らせ、先生に抱えられてそのまま……。

診療所では彩佳さんが先生のお弁当を持参して待ってます。
あらあら~。
2話で茉莉子さんのご飯の話が出たり、4話でゆきさんが特製スープを作ってたりしたもんね。
いじらしいんだからもう!

山で足を滑らせてしまった剛洋くんは、コトー先生が庇ったおかげで無事だったものの、りゅうくんが大ピンチ。
診察中、コトー先生にも激痛が……。
「先生……もしかして怪我してるの?」
「肩を、ちょっとね……足も……」
「足? 歩ける?」
「少しはね。でも山をおりるのは、ちょっと無理かな……」
剛洋くんの問いかけに気丈に笑顔を見せつつ、激痛に顔を歪めるとこは見せないコトー先生……。
まだ患部が見えないのに痛さが伝わってきてつらいよ。

日が暮れて、山の平地へ移動した3人。
コトー先生の足の腫れは酷いし、りゅうくんもヤバイし……。
9時を過ぎても誰も帰らず、異変に気づいたみんなが探し始める中、痛みを堪えながらなんとかりゅうくんの診察をするコトー先生。
しかし腫れ上がる自身の足を無視するわけにもいかず、
「剛洋くん……ナイフなんか持ってきてないよな」
「ううん……なんで」
「ここでね、血を出せちゃうといいんだけど」
「持ってる……ナイフ……」
話を聞いていたりゅうくんが示す先にはリュックが。
この辺ギリギリの緊迫感がすごい……。もう息を止めて見ちゃう。
「先生、なにするの? ここで切るの?」
「2人とも、目つぶってろ」
「こっち見るな」
ガラッと変わるコトー先生の声、口調に、ギクッとする……。
それだけの緊急事態。
麻酔無しの切開。震える手と荒い呼吸、噛み殺しきれない叫びと咥えていたライトを落とす程の激痛。
手に汗握るシーンです。
コトー先生の痛みの表現がリアルすぎて見てるだけなのにつらすぎる。
溢れる血を見て怯んだ剛洋くんが、それでもコトー先生の止血を手伝って白衣の切れ端を巻くところでいつも涙が出そうになります。優しくて強い子だなあ。
「痛すぎて、かえって頭がスッキリした」
「もう、もう大丈夫だ」
息も絶え絶えになりながら言うこのセリフは、間違いなくコトー先生の強がりなんだけど、いつどんなときもそばにいる人を安心させようとする気遣いが見えて好きです。
でも、呻き声を上げるりゅうくんを診たときに
「大丈夫だ、心配するな」
と言った声がいつもと違ってるのは明白で、
「嘘だ! 大丈夫じゃないよ先生! 今の大丈夫はそうじゃない! いつもの先生の大丈夫と全然ちがうもん!」
コトー先生を近くで見てきた剛洋くんだからわかってしまうんですよね。
りゅうくんについていてあげなかった自分を責めて、唇を噛み締めて決意を固める剛洋くん。
「先生、やっぱり僕助けを呼んでくる! 僕を行かせて!」
「剛洋くん」
「先生、僕はいつか先生みたいなお医者さんになりたいんだ! 口だけじゃなく、本当にそうなりたいんだ!」
初めて剛洋くんが自分の夢をコトー先生に告げた場面。
いつもコトー先生が誰かを救けようとするシーンで流れていたStageが、この場面で流れるのが最高に胸を熱くさせます。
3話で言えなかった剛洋くんの言葉を聞いた先生の表情も味わい深いです。

「先生、りゅうくん待ってろよ」
「僕が救けなきゃ、絶対に救けなきゃ」
剛洋くんの責任感。
コトー先生と同じ、人を救けたいという気持ち。
一番大事なものを、もう剛洋くんは持ってるんですよね。
同時に捜索するみんなの声も聞こえるけど、シゲさんが「コトー!!」って探してることになんだかグッときてしまう。
最初はあんなに疑ってたのにね。

「母親にな、愛情を注がれた子はよ、あんな悲しそうな顔はせんぞ!」
内さんの怒り。
「あたしはなあ、この手でよ、7人の子供を育てあげたんだ。どんなに苦しいことがあってもよ、子供を手放そうなんて思ったことはないぞ! 母親っていうのはな、そういうものだろ!」
育ててきただけじゃなく、島中の沢山の赤ん坊をとりあげてきた内さんだからこそ、茉莉子さんの振る舞いが許せないというか、悔しいんだろうなあ。
母親から産まれてくるひとつひとつの命が、どんなに大切でかけがえのないものなのかを知っているから。

山中で"俺が教えた道"を探す原さん。
ここは違うんじゃないかと引き返すみんなに背を向けて、剛洋くんを呼ぶ姿に、原親子の絆の深さを感じます。

痛みに苦しむりゅうくんを励ますコトー先生。
「きみのお母さんは、優しい人だよ」
「僕はこの島に来て3ヵ月だけど、お母さんに色んなことで助けてもらった」
「赤ちゃんの命を救ってもらったこともある」
「ほんとだよ」
ゆかりさんのときに自衛隊に頼んでくれたのは茉莉子さんだったもんね。
自分の腕を吊っていた白衣の切れ端を取って、りゅうくんの汗を拭ってあげるコトー先生の優しさが本当に素敵。
「お母さんの料理って美味しいよな。僕はいっつもお母さんの店でお世話になってるんだ」
「カレイの煮付け……野菜コロッケ……それから、がんもどき」
5歳までしか一緒に暮らしていなかったりゅうくんも、きっとお母さんの料理の味は覚えてる。
だって昔食べたお母さんのご飯ってそうそう忘れるものじゃないから。
コトー先生が挙げた茉莉子さんの料理、お袋の味って感じのメニューで良いよなあ。
コトー先生の手にそっと触れるりゅうくん。
茉莉子さんの料理の話を通じて、2人の心が通い合った気がします。
言葉を交わそうとしたところで、ついに救助が到着!

◇満身創痍の手術

診療所に運び込まれたりゅうくん。(と、先生)
「彩佳さん和田さん、オペの準備を」
「何言ってるんですか! その怪我じゃ無理です! オペ中に何かあったらどうするんですか!」
「この島には、医者はあなた1人しかいないんですよ!!」
彩佳さん、真っ当。
ひとりで無理しがちなコトー先生には、これくらい正面からちゃんと言ってくれる人が必要だよなあ。
テキパキと指示する彩佳さん、本当に頼りになるしかっこいい。

「輸血するなら私の血を採って。私が産んだ子だから。私の息子だもん!」
茉莉子さん。やっと素直に言えた。
大事に決まってるよ。あんなに心配してたんだもんね。

「ほんとにこんな状態でオペできるんですか? 先生のことだから腕が動かなくてもオペするって言うと思ったけど」
「そうなんだ」
は?って感じの彩佳さん。
「どうも右肩、脱臼してるみたいなんだよ」
そんな濡れた子犬みたいなつぶらな瞳で言われても……。
見てる方は一瞬絆されそうになるけど、彩佳さんは判断が早い!
「和田さーん! 原さーん!」
原さんまで呼んでることに、えって感じで顔上げるコトー先生。
嫌な予感がしたんだろうなあ。(笑)
当たりです。
「いいかー泣くなよー」
「いたいいたいいた」
「せーのー」
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ーーー」
先生の絶叫が凄すぎて、痛そうすぎて思わず顔をしかめる彩佳さん。
先生、胸まで真っ赤っか!
苦しみ方が壮絶で本当に可哀想で申し訳ないんだけど、笑っちゃうんだよなあ。

ひょこひょこ歩きの先生。
「先生、大丈夫か」
和田さんも心配そう。そりゃね。
手術中、肩の痛みでうまく手が動かず医療器具を扱いづらそうにする先生の代わりに、無言でフォローする彩佳さん。
コトー先生の瞳が驚いたように揺れて、和田さんも視線を向けるなか、何も言わずに手を動かす彩佳さんが本当にかっこいい。
素敵すぎる。

泥だらけの剛洋くんは手術室の前から動けず……。
原さんが隣に座らせて、ポンと足に手を乗せるの、不器用な優しさが感じられて好きです。

茉莉子さんは診療所の外、一人で内さんの言葉を噛み締めているようでした。
放っておけない星野さん、優しい人だなあ。あったかい人柄。
茉莉子さんの告白。
夫婦のことはわからないけど、茉莉子さんがりゅうくんをずっと思ってたのは間違いのない事実。
だけど恥ずかしさとか後ろめたさとか、申し訳なさで冷たくしてしまった……。
「そう思うなら、素直にそう言ってやればいいじゃないか。その気持ちをりゅうくんに」
「りゅうくんだって、会いたくて会いたくて、この島までやってきたんじゃないか」
「東京からたったひとりで。あんたの顔を見たくてやってきたんじゃないか。なんで冷たくする必要がある」
「母親の言葉ひとつで、笑ってやるだけで、子どもは救われることだってあるんだから」
「茉莉ちゃんの気持ち、通じないわけないだろ」
星野さんの言葉ってさ、すごく心にしみるというか、素直に聞こうって気持ちになるんだよなあ。
コトー先生と一緒。
ただただ相手を思いやる気持ちだけが伝わってくる。
シゲさんもやってきてかける言葉があったかいんだこれがまた!
「あいつは正真正銘、茉莉ちゃんの息子だ」
「今あいつには茉莉ちゃんの血が流れてるんだ、なあ!」
手術が終わったって聞いて茉莉子さんが診療所へ戻ったあと、シゲさんをそっとごつく星野さんが良い。幼なじみのくされ縁だなあ。

◇手術を終えて

和田さんに支えられて腕を吊ってるコトー先生。
本当にボロボロの状態で手術して成功させるんだもん……。やっぱり凄い。

りゅうくんの病室。
救かったことに安堵し頬を撫でる茉莉子さんに対して、目を覚ましたりゅうくんの第一声が「すみません、迷惑かけて」なのつらいし悲しい……。
「来なければ、よかったね僕」
「そんなことない! そんなことないよ、りゅう。……ごめんね」
「知りたかったんだ。お母さんが、日本の南の小さな島で、どんな暮らしをしてるか、ちゃんと元気にやってるのか、ただ知りたかっただけなんだ」
りゅうくんのこの言葉、切なすぎて胸が潰れそうになるくらい苦しい。
「ちゃんと元気にやってるのか」なんてまるで親が子にする心配を、りゅうくんは茉莉子さんに対して思ってたんだってその心境を考えると本当に切ないよ。

原親子。
「風呂でも沸かして、一緒に入るか」
剛洋くんの頭を撫でる原さんの手は、ぶっきらぼうだけどいつも優しいんだよね。
家の壁には破られたテストが直されて貼られていました。
「お父さん、ごめんなさい」
「テスト隠したりして。僕は、口ばっかりで、いつも、何もできなくて」
「だけど、お医者さんになりたいのは本当なんだ」
「こんな点数じゃダメかもしれないけど」
「ごめんなさい、僕、ごめんなさい」
「何言ってんだ。……このテストここに貼ったのは……嬉しかったからだ」
「俺なんかおまえ、算数でこんな良い点とったことねえぞ!」
「茉莉子の息子だって、あの医者だって、お前がいなかったら救かってなかったんだ」
「なあ剛洋。お前はどうしてすぐ謝る」
「男は、そう軽々しく頭下げるもんじゃねえ」
「お前は、俺の! 自慢の息子だ」
たった2人の親子だから、剛洋くんはお父さんにそう言ってもらえたこと、何よりも嬉しかっただろうなあ。
原さんが剛洋くんを何よりも大切に思っていること、1話から見てる人たちはとっくに知っているんだけどね。やっぱり剛洋くんは怒られることも多くて自信が持てないでいたんだろうね。
目に涙をいっぱい浮かべながら医者になりたいと言った剛洋くんが、自慢の息子と言われて涙を流す原親子のこのシーン、何度見ても泣いてしまいます。大好き。

「もう二度と嫌ですよこんなこと」
「自分の身であって自分の身じゃないのがドクターなんですから、島のみんなの命が先生にかかってるんですよ! 怪我なんかされたり、行方不明になんかなったりしたらほんとに困るんだから!」
「ほんとに心配したんですよ!」
もう泣きそうになりながら怒鳴る彩佳さん。
生きた心地しなかったんだろうなあ。
「ごめんね……ごめんなさい」
「彩佳さんいなかったら、今日のオペはできなかった」
「ほんとに感謝してます」
「どうもありがとう」
どこまでも素直で、正直に感謝を告げ頭を下げるコトー先生。
ここまで誠実にされちゃ、もう文句言えないよなあ。(笑)
しかも一番欲しい言葉をもらってしまったらね。
感情のやり場がなくなってムッとした顔のまま処置する彩佳さん。
「あれ、彩佳さん? どしたの、まだ、怒ってます?」
「別に怒ってなんかいません!」
「全然怒ってません!」
本当に怒ってるわけではないんだろうなあ……。(笑)

なかなか素直になれない彩佳さんと素直すぎるコトー先生。
不器用すぎる原さんと真っ直ぐな剛洋くん。
感情の動きが見ていてもどかしくてわかりやすくて、みんな愛おしいなあ。

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