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地元の祭りが一番な件について

今年2回目の夏祭り。
今度は地元の祭りに地元の友人と参加した。

彼女とは中学の時からの友人なのだが当時この祭りをディズニーでも行くんかというくらいに楽しみにしていた思い出がある。

というのも、全国大会常連校の吹奏楽部でマーチングをしていたわたしたちに夏休みなどなかったからだ。
たった数分の演奏演技のために毎日毎日一日中練習をする。日が暮れた頃に家に帰り、ご飯を食べて風呂に入って寝る。そんな繰り返しの中にやってくる“祭り”というイベントはわたしたちにとって夏休みそのものだった。

チアダンやウォーターボーイズなどの青春ドラマが大好きなわたしは、そういうドラマを見て感動と共に羨ましい気持ちでいっぱいになる。

先輩に正しい敬語で話ができないと空き教室に呼び出され怒られたり、ことある度に練習が中断されミーティングが始まったりするのが現実だ。いつも誰かが怒鳴っていて、いつも誰かがイライラしていて。やりたいことだったはずが、やらなければいけないことになる。そんな環境でわたしたちは“社会”を学んでいたのかもしれない。

ドラマみたいに爽やかな時間ってあったかな?
なんかもっといつもギズギスしていてどちらかといえば地獄に近い。
その地獄の中でわたしたちは自由を引き換えに全国大会出場を手にした。


いつも鋭い目つきでわたしたちを睨みつけてくる先輩も、祭りの時だけは優しく声をかけてくる。
「わーー!!写真撮ろうよ!」
そう近づいてくる先輩たちのテンションに必死で合わせつつも少し嬉しかったりもする、それも夏祭りの醍醐味だった。

中学生の時のわたしたちは、しょっぱい、しょっぱい、甘い、しょっぱい、甘いで食べ歩こうなどと話しながら、祭りが開催される商店街を歩いていたのだけれど、大人になったわたしたちは、酒、しょっぱい、酒、しょっぱい、酒。
常に酒を片手に商店街を練り歩きそこそこ大きい声でしょうもない会話をする。

本当に汚い大人になったものだ。

酔っ払った友人が酒の入った缶を間違えて逆さに持ち中身をこぼす。
それを見てしっかりしろよ〜!と声が枯れるほどげらげらと笑った。

本当にみっともない大人になったものだ。

商店街のすぐそばにあるファミレスでバイトをする妹を見に、わたしたちは引き続きゲラゲラ笑いながら店へ入る。
手を振り妹の名前を呼ぶ姉に少し恥ずかしそうにしながらも手を振り返す妹。
大きくなったねーと親戚のおばさんのようにしみじみしている友人。
“地元”で過ごす夏って感じで最高。

バイト帰りの妹は今日の客はわたしたちのような酒飲みの大人ばっかりだったと少し呆れた口調で話していた。
わたしも昔は祭りで酒を飲んでわいわいしている大人を少し冷たい目で見ていたこともあったけど、今となってはこんな祭りの日くらいはしゃがせてほしいと思う側の人間になった。

そんなこんなでとても楽しい夏の夜をわたしたちは過ごしたのだった。




優等生だった中学生のわたしたちへ。

3年間頑張ってくれてありがとう。真面目に誠実に過ごしてくれてありがとう。あなたたちのおかげでわたしたちは今、酒を片手にどんちゃん騒ぎする楽しさを誰よりも噛み締めることのできる大人になったよ。
今言えないその思いはわたしたちが吐き出してるから安心してね。
地獄だと思っているその場所は、大人になった今青春っていう場所になっているよ。
今だけ。あと少しだけ。頑張って。

そう伝えてあげたい。



地元の祭りって、どの祭りにも負けない楽しさがある。

理由はそんなところだと思う。



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