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ただ守りたい… 158話

放課後のとある空き教室で向かい合う、飛鳥と七瀬。

ここに呼ばれた時点で、どんな話をされるかが分かってるのか、笑顔で関係の無い話を引き延ばそうとした七瀬に、飛鳥は強い意志を持って、本題を切り出した。



飛鳥: ○○と何かあったんですか?


七瀬: え?別に何もないで笑



質問に対し、七瀬は即答と笑顔で返す。



飛鳥: 本当にですか?


七瀬: うん。少なくとも、ななには心当たりはないな。


飛鳥: じゃあ、○○が一方的に、七瀬先輩に対して、距離を取り始めた、と?


七瀬: ん?○○って、ななと距離を取り始めたんか?そりゃ、寂しいわ〜


飛鳥: ……



この、たった三度のやり取り。

ごく自然な感じでそう言う七瀬を見て、飛鳥は嘘を言っていると確信付く。


それは、七瀬の演技を見抜いたからだ。


人は嘘をつく時に、必ず演技をする。

嘘をつく時の表情や口調というのは、自分がさも本当のことを言っているかのように、演技をしたものであり、七瀬も先程のやり取りで、そういう演技をした。

美月であれば見抜けなかったかもしれない、その七瀬の、飛鳥の言葉に対する動揺や感情の表出の演技は完璧に近かったが、飛鳥の洞察力の前では、演技であると見抜かれてしまったのだ。



飛鳥: ……七瀬先輩。私は事実を聞くまでは、ここを通す気はないです。


七瀬: 笑、事実って。そんなにななのことを疑うんか?


飛鳥: …自分で言うのもなんですけど、私の前での嘘はすぐにバレますよ。ってか、七瀬先輩もよくご存知ですよね?それこそ、小学校からの仲なんですから。


七瀬: おぉ、カウンターパンチ笑。でも、そんなに飛鳥って、自信家やったっけ?


飛鳥: …はい。自信を持って、今、七瀬先輩が嘘をついてると断言します。



真っ直ぐに七瀬の目を見ながら、飛鳥は言う。



七瀬: ……笑、あんな暗い目しかできんかった女の子が、良くもまぁ、ここまで強い光を宿した目をできるようになったわ。なんか、飛鳥の成長に泣きそう。


飛鳥: 泣いてても良いですから、事実を話してください。


七瀬: 少しぐらい、冗談に乗ってや笑


飛鳥: そういう空気じゃないのが、分からない人ではないでしょ。だからこそ、七瀬先輩が、事実を問い詰められている今の状況を脱したいと思っていることが、よく分かります。


七瀬: あらら、逆効果やったか笑。ってか、もう少し手加減してや、飛鳥。


飛鳥: 嘘だと認めるんですね?


七瀬: うん。嘘だと認める。ただ、事実を言うとは限らんけどな。ちょっと座るで。



ガタン


机の上に上げてあった椅子を下ろし、そこに座る七瀬。



七瀬: 飛鳥も座るか?ずっと立ちっぱは疲れるやろ。


飛鳥: じゃあ、疲れないうちに、○○と何があったのかを教えてくれません?


七瀬: ……



自分の膝に肘を付く七瀬は、数秒間、飛鳥を見ながら、何かを考えた後、口を開いた。



七瀬: ……無理や。飛鳥にそれを教えることはできひんねん。


飛鳥: 何故ですか?


七瀬: まず、分かっとると思うけど、○○は飛鳥達に秘密がある。


飛鳥: …はい。


七瀬: 今回、飛鳥が知りたがってることは、それに思いっきし、関係してることやからや。


飛鳥: ……つまり、○○のその秘密に、七瀬先輩は関係している。少なくとも、七瀬先輩はその○○の秘密を知ってるってことですか?


七瀬: そやで。だから、意地悪で飛鳥に教えんわけやない。


飛鳥: ……



その七瀬の言葉を聞き、飛鳥は黙り込み、考える。



この人、私が引き下がりやすいように、○○の話を出したな。

いや、実際に関係はするんだろうけど、あの考えた時間からして、元々、その○○の秘密に関係していること自体を、私に話すつもりはなかったけど、私を黙らせるには、話した方が良いって思ったんだろう。


まぁ、七瀬先輩の思惑通り、○○の秘密が関係しているとなると、私はこれ以上、○○と七瀬先輩の間に起こったことを無理やり聞き出そうとは思えない。

○○の秘密も気になりはするけど、いつか話せるようになった時に、○○自身の口から聞きたいって思ってるし、日奈子も同じ気持ちみたいだし。

ま、あの夏の海で悩みを共有した春時は、もう○○の秘密を知ったみたいだけどね。


さて、私の目的は、事実を知ることじゃないし、説得に入りますか。



飛鳥: 七瀬先輩。


七瀬: ん?もう解放してくれるか?


飛鳥: いえ、まだです。


七瀬: …いくら粘っても、事実は…


飛鳥: 何か勘違いしているようですけど、別に私は、○○と先輩の間に何があったのかを知りたいわけじゃないんですよ。


七瀬: ほぉ〜散々、事実を教えてくれって言ってたけど、それが目的やなかったんや。


飛鳥: はい。そもそも、七瀬先輩が素直に教えてくれるとは思ってませんでしたし。


七瀬: なら、何が目的なん?


飛鳥: それは……○○と七瀬先輩の関係修復です。


七瀬: …


飛鳥: 何が起こったかなんて、どうでもいい。私は、前のように、仲の良い○○と七瀬先輩に戻って欲しいんです。



という言葉を受け、七瀬は一瞬だけ悲しい表情を見せる。



七瀬: ……状況が変わったんよ。


飛鳥: え?


七瀬: 前とは状況が変わったから、ななは○○と距離を取ったんや。


飛鳥: ……その、今の状況だと、○○と七瀬先輩の元の仲の良い関係じゃダメってことですか?


七瀬: ……


飛鳥: 今の状態が、最適だと…正解だと思ってるんですか?


七瀬: それは………人間誰しもが、常に最適な道を辿れるわけやないやろ。でも、ななはこの道が、自分にとって良い道やと思ってるで。


飛鳥: 自分にとって良い道……ほんとにそうなんですか?


七瀬: あぁ。


飛鳥: ………七瀬先輩は、最近の○○の表情を見ていないんですね。


七瀬: え?


飛鳥: 必死に取り繕おうとしてますけど、今の○○は、七瀬先輩の姿を目で追って、悲しそうな表情をしています……


七瀬: …


飛鳥: ほんっと、ふざけないでください。○○が悲しい顔をしているのに……あなたが!それを良しとするなんて……もう言ってやりますよ…



ここ最近の○○の様子を見て、悲しみと苛立ちを積み重ねていた飛鳥は、七瀬の○○が悲しむのを良しとするような考えを聞き、それを爆発させた。



飛鳥: クズ女です!七瀬先輩は!


七瀬: っ…


飛鳥: 七瀬先輩ほどの人なら分かってますよね、○○があなたに……日奈子や美月達……私が向けられたことのない…恋愛としての好意を向けていることを!しかも、七瀬先輩も○○を好意的に思ってるはずなのに、わざと○○を突き放して、悲しい思いをさせる……その上、それを自分にとって良いことだと言っているあなたは、正真正銘のクズです!



目の前の椅子に座る七瀬を、飛鳥は強く睨みつけながら、そう言い放った。



七瀬: ……くっ…



そして、その飛鳥の怒りの言葉は、これで良いはずだと自分に言い聞かせてきた七瀬の、強い心を揺らした。



七瀬: …そんなん、分かっとるわ……


飛鳥: じゃあ、なんで!


七瀬: 分かっとるけど、そうすることが一番やと、あの時は思ってしまったんや!!


飛鳥: っ!…



詰め寄るような飛鳥の言葉を遮って、七瀬が睨み返しながら叫ぶ。



七瀬: もうこうなってしまった以上、ななはこれまで通り、○○と仲良しこよしをしとったままじゃアカン!だから、ああやって、○○を突き放して…


飛鳥: ……その時の○○の表情を思い出してください。


七瀬: ……



あの時の……夕日が差し込む教室で、自分は七瀬にとってどんな存在か、という○○の質問に対し、未来の上司で護衛対象、と答えた時を頭に思い浮かべる。



飛鳥: 七瀬先輩が、どういう言葉を言って、○○を突き放したのかは分かりませんが………○○は笑顔だったんじゃないですか?


七瀬: …


飛鳥: それも、ただの笑顔じゃない……溢れ出る感情を必死に押し殺したような、痛々しい笑顔だったはずです。


七瀬: っ……


飛鳥: ○○は…どれだけ自分が傷ついても、好きな七瀬先輩が気を遣うことがないようにって、笑顔を作るんです。○○は……優しいから………よく、知ってますよね?



先程の飛鳥の言葉を皮切りに、止め処なく鮮明に浮き上がってくる、あれからの七瀬を見る○○の表情が、七瀬の心を揺さぶる。



七瀬: …当たり前やろ……何年一緒におると思ってんねん…



そう答える七瀬の目を見て、飛鳥は少し心を落ち着かせた。



飛鳥: ………仲良しこよしのままじゃ、ほんとにダメなんですか?


七瀬: ……


飛鳥: ○○と七瀬先輩が共有している秘密がどんなものなのかは知りませんけど……七瀬先輩なら、○○を突き放さなくても……元の仲良いままで、どうにかできるんじゃないですか?


七瀬: ………


飛鳥: ……じゃあ、質問を変えます。



俯いてしまっている七瀬に近づき、無理やり顔を覗き込む。



飛鳥: 七瀬先輩は、○○とどうしたいんですか?



この言葉を受けて、七瀬の心を覆っていた強い殻に罅が入った。



七瀬: ……できることなら、仲良くしたいに決まってるやん…


飛鳥: …


七瀬: また、ちゃんと顔を見て、話したいに決まってるやん。だって、ななにとって○○は……



自分は防衛団員として、護衛として、○○に近づいた。

そして、同じ時間を共にしていくことで、普通の幼なじみとして、普通の先輩後輩として、普通の友達として、仲を深めていった。


だが、○○に自分の正体がバレた以上、これまでと同じようにはいかない。

自分が護衛だと分かられた上での、近過ぎる距離間は、護衛に支障をきたすし、時が来れば、完全なる上司と部下の関係になってしまう。


だから、七瀬は○○に嘘を言い、突き放した。

これまでに築いた関係性や、自分の○○に対する想いを捨てる覚悟を持って。


しかし、普段は感情的になることが滅多にない飛鳥の強い訴えと、捨てきれなかった○○への想いにより、七瀬が必死に作っていた心の殻が、完全に壊れた。



七瀬: 幼なじみで親友なんやから…



目を瞑って、七瀬は、偽り続けた本心を絞り出した。



飛鳥: …じゃあ、そうしましょうよ。


七瀬: …でも…


飛鳥: でももクソもないんですよ。七瀬先輩は、そうやってすぐに無理だと諦める人でしたっけ?違うでしょ。自分が最も望む形になるように努める…尊敬できる人だったと、私は記憶してますけど。


七瀬: …


飛鳥: 七瀬先輩も、○○も、悲しい思いなんかせずに、楽しく笑顔で過ごせるように、動いてくださいよ。もし手伝いが必要であれば、いくらでも手伝いますから。



強い光を宿した目が、七瀬の目を照らす。



七瀬: ……そっか…………そうやな。



ゆっくりと、顔を上げ、偽りの仮面が剥がれる。



七瀬: ななの望む形……○○と幼なじみの親友の関係で…


飛鳥: はい。そうしてください。


七瀬: ……笑、ありがとな、飛鳥。なんや固く考えすぎとったわ。


飛鳥: いいえ。私も、その七瀬先輩の心からの笑顔を見れて、嬉しいです。


七瀬: ふ〜ん………にしても、良かったんか?


飛鳥: え?


七瀬: さっき、自分でも言うとったやん。私にも向けられてないような恋愛としての好意を、○○はななに向けとるって。


飛鳥: っ…


七瀬: ってことは、飛鳥にとって、ななは最大の敵やないの?自分で言うのもアレやけど笑


飛鳥: ほんっとに、自分で言うのはアレですね。よくそういうことを、そんな笑顔で言えますよ。


七瀬: そんな先輩を、飛鳥は尊敬してるんやろ?笑


飛鳥: くっ……言わなきゃ良かった。


七瀬: で、なんでわざわざ、最大の敵を手助けしたん?このまま、ななと○○の関係を修復しようとしなければ、飛鳥は○○と付き合いやすくなるんやないんか?笑


飛鳥: それ、答える必要あります?


七瀬: うん。聞きたいな〜飛鳥が何を思って、こうやって動いたんか。


飛鳥: …単純に、○○の悲しい表情を見るのがツラかったからですよ。七瀬先輩が復活することよりも、○○のあの表情を見続けるのが嫌だったってだけです。


七瀬: うんうん、つまり?○○のことが?


飛鳥: っ!この!!


七瀬: ほら、早く言っちゃいなよ、大きな声で笑



自分が聞きたいセリフを飛鳥が言うまで、あと一歩となったところで、七瀬はニヤニヤとしながら、そのセリフを待つ。



飛鳥: //……


七瀬: あら〜飛鳥ちゃん。顔を真っ赤にしちゃって。可愛ええな〜〜でも、言うまで帰さんで笑



そう言って、飛鳥の荷物を抱き抱える。



飛鳥: く、くぅ//


七瀬: あ、でも、ここまで言わんってことは、○○への想いはそこまで強くないんかな?笑



と、可愛い後輩の想いを聞きたい七瀬の煽りを受けて、とうとう飛鳥は口を開いた。



飛鳥: す、好きだからですよ「ガラガラ!!」○○のことが大好きだから!!


七瀬: ほぇ?


飛鳥: //え?



覚悟を決めて言った言葉、待ち望んでいた言葉の途中で、扉が勢いよく開かれ、2人は扉の方を見る。

するとそこには……




数分前…



??: わっすれもの〜、わっすれもの〜部室にわっすれもの〜!!



部活動の練習着を着た女子生徒が、そう大声で歌いながら、実習校舎の中をスキップしていると…



??: わっすれもの〜わっすれもの〜!……あれ。



忘れ物を取りに行く途中で、立ち止まる。



??: あっちから、あっしゅんの気配がする!!



そう言って、忘れ物のことなど頭の中から霧散し、その大好きな気配がする方向へと走り始めた。



??: うんうん、この辺のはずだけど、どこかな?


「っ!この!!」


??: あ、あっしゅんの声だ!なんか怒ってるけど……まぁいいや!



廊下に並ぶ教室の中から、大好きな人の声が聞こえた場所を探し……



??: ここっぽいな。この向こうから、あっしゅんと……もう1人いるかな?



声を潜めながら、目的の教室を見つけ出し、その扉の前へ。



??: じゃ、早速……



ガラガラ!!



飛鳥: ○○のことが大好きだから!!


??: っ!!!!


七瀬: ほぇ?


飛鳥: //え?……日奈子…



そう、勢いよく扉を開けたのは、日奈子であった。



日奈子: ……っ…あ、え、なんで……いや………ごめん!!


飛鳥: え、ちょっ!!



しかし、とある記憶が一瞬だけ頭の中に広がった後、自分の頬に、一筋の涙が流れていることに気づき、すぐに走り出してしまった。



飛鳥: すみません!七瀬先輩!


七瀬: うん、はよ行き。


飛鳥: はい!ありがとうございました!



その後すぐに、飛鳥も教室を飛び出し、七瀬はそれを見送る。



七瀬: ……ああいうので涙を流すような子ちゃうと思ってたんやけど……まぁ、タイミングが悪かったんかな…



先程、目に映った光景を思い出しながら、七瀬は席を立ち、飛鳥の荷物を机の上に、綺麗にまとめる。



七瀬: なんにせよ、日奈子のことは、飛鳥に任せるべきやろうな。ななが介入することやないはずや。もし頼ってきたら、なんでも手伝うけど……っと。



自分の荷物を手に取り、忘れ物がないかを確認し…



七瀬: 飛鳥も話は終わっとったみたいやし、帰ろ。○○とどう仲直りするかも考えなアカンしな。って、そういえば、文化祭の時のアレが……



と、呟きながら、七瀬は空き教室を出たのだった。


一方、突然涙を流して走り出した日奈子を、追いかける飛鳥は…



飛鳥: くっ、もう見えない……ハァハァ…



1つ階段を上った先で、日奈子の背中を見失ってしまっていた。



飛鳥: 階段を上ってる足音は聞こえなかったから、ここのどこかにいるはずなんだけど…



と、次は、飛鳥が日奈子のいる教室を探す番となる。



なんで、日奈子はあそこに来たの?

なんで、日奈子は逃げるように走り出したの?


いや、そんなことよりも、なんで日奈子は泣いてたの?


自分の大切な親友が涙を流していたわけを、必死に考えながら、飛鳥は日奈子を探す。


そして……


ガラガラ



飛鳥: …あ……


日奈子: グスン…グスン……



廊下の突き当たりの教室で、角にうずくまっている日奈子を見つける。



飛鳥: …日奈子。


日奈子: っ!…グスッ…あっしゅん……



名前を呼ばれ、後ろを振り向いた日奈子の顔は、窓から差し込む微かな月明かりでも、流れ続ける涙で濡れているのが分かる。


それを見た飛鳥は、すぐに駆け寄った。



飛鳥: どうしたの?日奈子。なんで…泣いて……


日奈子: うぅ…分かんない…グスッ……でも、涙が止まんないよ……グスッ



必死に手で涙を拭うが、次から次へと流れてくる大粒の涙には追いつかない。



飛鳥: 日奈子……


ギュッ



そんな日奈子を、飛鳥は優しく抱き締める。



日奈子: あっしゅん……グスン


飛鳥: ………



強く抱き締め返してくれる親友の心が落ち着くようにと、背中を優しくさすりつつ、日奈子が泣いている理由について思考を進め…



飛鳥: …日奈子は……


日奈子: うん?グスッ



この質問の答えで、日奈子が泣いている理由が分かるとも、この質問自体が、日奈子が泣いている理由に関係しているとも、まだ明確に分かっていない。

にも関わらず、とある可能性に考えが至った時点で、飛鳥は無意識のうちに、この質問を口に出していた。



飛鳥: ○○のこと……好き?


日奈子: っ……



飛鳥の質問を聞いた瞬間に、日奈子は涙を拭う手を早め、赤くなった目から涙が出てきていないことを確認し、パッと、飛鳥から離れ…



飛鳥: ……


日奈子: …私は……親友として、○○が好きだよ!!笑



いつもの明るい笑顔、いつもの元気な声……のつもりで、日奈子は飛鳥にそう言った。



飛鳥: っ!!!!


日奈子: 笑、じゃあ、わけが分かんない涙も、あっしゅんのおかげで止まったことだし、部活にも〜どろ!


飛鳥: ……うん。


日奈子: また明日ね!あっしゅん!



そう飛鳥に別れを告げて、日奈子は教室を飛び出して行った。



飛鳥: ………



なんだよ……あれ……


全然……笑ってないじゃん……

いつもの日奈子の笑顔じゃないじゃん……

私が大好きなあの笑顔じゃないじゃん……


日奈子は私のあの言葉を聞いてた。

そして、日奈子はやっぱり○○のことが……


でも、日奈子はそれを隠したんだ。

苦手な嘘をついて、必死に笑顔を取り繕って。


私に気を遣って…



飛鳥: …くそっ……



to be continued






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