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観劇記録。白い病

1937年刊行のチャペックの戯曲。でも文庫化されたのは2020年。
戯曲だからか?文庫には解題もついていて、作者の思うところ、議論してほしいところがつらつらと書いてある。ふ。私が好きなやつだ。←

議題は重く、救いがなく、メンタル持ってかれるかと思いきや、
一人一人の人物描写が丁寧で、ラストに向かってどんどん滑稽になっていき、想像より軽くみることができた。

人間、結局は自分のことばかりで、救われない。医者だって権力者だって金持ちだって群衆だって。
威勢をはっても、束になっても、身をはがせば自分のこと。
でも、そうやって必死に生きてんだなあ。とも思った。
いやいや、もうちょい良いやつもいるぞ?人間には。とも思うけどね。

ジーゲリウス教授も、クリューク男爵も、元帥も病の前では無力で
ガレーン博士も群衆の波の前では無力で。
(雑多な群衆の感じはなんだかジュリアス・シーザーに似てた。)

みんな自分のことばかりの割には流れに流され、どうしようもない。(救いないー。)
まあ、人生都合の良いように解釈していくしかないのでは?なんて思ってしまった。


ジーゲリウス教授。良かった。
「失せろ!」の後の間。最高だった。
笑ってしまいたい、くやしい、曲がらない、恐怖、、あらゆる感情が湧き出して対処できない感じ。
いやあ、見せてくださってありがとうございます。て感じでした。

ガレーン博士。良かった。
常に小刻みにどこかが震えていて。いやあ、上手い。弱いのに強い。かっこわるいのにかっこいい。

元帥もよかった。
戦争を率いる、戦争はもっとも偉大、使命を果たす、
神に祈る、頼る、死を覚悟する、治りたい、国民のために、いや、患者のために?!これも正義なんじゃ?!
心の揺れ動き、右往左往が全身から涌き出てて、元帥なのに人間味あふれてた。




オフィスリコプロダクション株式会社
『白い病』
@シアター風姿花伝 (東京・新宿区)
2022.6.18 13:00-
2022.6.19 12:00-観劇

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