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ふりかえりディシジョンレコード

はじめに

この記事は「ふりかえり Advent Calendar 2020」二日目の記事だ。びばさんいつもありがとう。

今年は、いつも以上に「ふりかえり」と意識的に対峙する機会が多かったように思える。

会社で新入社員向けに丸一日のふりかえり研修を行ったり、

その様子をXP祭りで話したり、

びばさんにお招きいただいて「ふりかえりam」に出演したり。(しかも、2回公開収録に参加させてもらった)

 さて、では改めてアドベントカレンダーでは何を書くか。コロナ禍の影響を受け、ふりかえりをオンラインで開催するようになった現場は少なくないだろう。そのオンラインならではの特性を生かして実施する「ふりかえり・ディシジョン・レコード」についてが、本稿の主題となる。

ふりかえりディシジョンレコード(RDR)

Retrospective Decision Record。そういう言葉があるわけではなく、
ADRに着想を得て私が命名したプラクティスだ。

これはどのようなプラクティスかというと、実にシンプルなものだ。

・ふりかえりの記録をとる
・実施する施策、その評価だけではなくプロセスも記録しておく
・すべての記録を同一画面上に置く

ようは「もっとふりかえりをうまくやるために、過去から学ぶ」プラクティスだ。

Miroで実施した例はこちら。

ふりかえり対象期間ごとにエリアを分けて、通常通りふりかえりを実施する。

何の役に立つ?

 通常、ふりかえりではそのふりかえりでコミットメントされた「次に試すこと」、そしてそのアクションアイテムに対する実施状況、実施しての評価が記録される。しかし、このRDRではプロセスを含めて全て記録する。そういうとちょっと面倒な感じがするが、実際には通常通り実施した振り返りの結果をそのまま残しておく、というだけなので手間はかからない。

 では、なぜアクションや実績だけではなく、プロセスを残しておきたいのか?

これには、ふたつの理由がある。

「過去に選択されなかった課題」「過去に見送られた施策」といった意思決定を組織の学びに昇華したい
ふりかえりのプロセスを可視化しておくことで「ふりかえりのふりかえり」をやりやすくしたい

 例えば、解決したい課題として挙げられたが優先順位が上がらない課題が、実は数か月に一度浮上してきているものだとしたらもっと優先順位を上げたほうがいいのかもしれない。そういったことは深堀りされて出てきた結論や施策からは読み取れない。

 逆に「前も話題に上りましたよね」となったとき、それがどれくらいの頻度なのか正確に調べることができる。ここが正確じゃないと、その領域に対して問題意識の高い人が強い発言力を持っている場合、本来は組織として扱う優先順位が低いものが高く扱われてしまう、といった事象につながりやすいので、正確性は重要だ。

あらためて実施方法

1. ふりかえりを電子ホワイトボード上で実施する
2. その記録を消さずに残しておく。
 また、その際に利用した手法について明記しておく
3. 新しくふりかえりを実施する場合、前回のふりかえりエリアに隣接したところでふりかえりを行う
4. 極力、画面遷移なしに過去をたどれるように作っておく
 別ページに分かれていると能動的に検索する必要があり手間

おわりに

 「ふりかえりの記録をちゃんと取ろう」という意図をもって始めたプラクティスではないのですが、過去のふりかえりを一望できるということが思った以上にふりかえりの質を高めることに役立っているため、改めてプラクティスとして紹介させていただきました。

 おそらく、同じように「狙ったわけじゃないけどたまたま過去のふりかえりの記録がそのまま残っている」という現場があるかとおもいます。そういった方々にはぜひ本手法を試してもらいたいですし、この生まれたばかりの手法にフィードバックをいただきたいです。なにとぞ。

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