家で子どもたちとドラえもんの映画を観る
本当は「新恐竜」が観たかった
ドラえもんが好きだ。
物心ついた頃からずっと金曜夜(最近は土曜日に移動したが)はテレビの前にかじりつき、お小遣いで少しづつてんとう虫コミックスを買い揃え、大人になってからは藤子F不二雄全集をコンプリートした。
10年ほど前に出た映画のDVD BOX(のぶ代時代)も買った。
その中でも、映画版への思い入れは深い。子どもが出来てから、「一緒にドラえもんの映画へ行く」というのが夢だった。
そして今年、ついに子どもたちが「ドラえもんの映画を観に行きたい」というではないか。しかも、今年は「新恐竜」。なんというタイミング。行くしかない。
…が、恒例の春の公開は残念ながら延期になってしまった。この状況だ、致し方ない。
マックのハッピーセットを筆頭に、映画公開とあわせたコラボレーション商品ばかりが展開されてゆくのが、よけいに物悲しい。
子どもたちも「ドラえもんの映画がみたい」「いつになったら病気は流行らなくなるの?」の大合唱だ。それこそ「ドラえも〜ん!!」と泣きつきたい事態だ。
ふと本棚に目をやると、しばらく箱から出すこともなかったボックスがあった。
僕はここにいる、君のポケットにとでもいいたげに。
そう、大人買いしたDVD BOXがあったのだ。
いまこそ、大人買いしたものを子どもたちのために使うときがきた。
そして、我が家では週末の「ドラえもん映画館」が始まった。
「ドラえもんの声が変〜!!」
映画を見始めて開口一番、これである。
そう、いまのドラえもんは水田わさびさん。交代当初はいろいろ言われたが、すっかりドラえもんといえば水田わさびさんだ。
ということは、のぶ代ボイスは子どもたちにとっては「変な声」となってしまう。
覚悟はしていたが、なかなかにショックだった。
セリフが過激
特に初期は、ドラえもんの口が悪い、いや、しずかちゃんもなかなかだ。ジャイアンはもちろんジャイアンだ。
しかし、一番衝撃的なセリフを吐いたのは、だれあろうそのジャイアンの「かあちゃん」だ。
ジャイアン「冗談じゃないっつーの!俺はかあちゃんの奴隷じゃないっつーの!」
かあちゃん「そんなセリフは奴隷みたいに働いてからいうもんだよ!」
ー「のび太の日本誕生」より
…圧巻である。現代なら児童相談所案件だ。
子供たちが映画を観ているあいだ家事をしていることが多いのだが、こういうスパイスの効いたセリフが散りばめられているので、ついみてしまう。
わかりやすく深みのある物語
声や絵の違和感というハードルを、子供たちはいともたやすく超えた。なんせ、話が面白いのだ。
子供にもわかるよう配慮しつつ、大人が唸るような科学的バックグラウンドが見え隠れしたりするところがドラえもんの魅力だ。
恐竜、宇宙、コンピュータ、ファンタジー…ドラえもんを起点に自らの興味を広げたかつての子供はたくさんいるだろう。
そして90年代初頭のドラえもんは、メッセージ性が強い。強すぎて少し胃もたれするくらいだ。
アニマルプラネットでは環境破壊が、
雲の王国では環境破壊、そして核抑止力、贖罪といった要素が、
ブリキの迷宮ではAIの反乱と弱体化した人間という未だに語られる問題意識が渦巻く。
いま大人になった目で見返すと、いろいろな発見があるのだ。
(80年代作品でも、海底鬼岩城や鉄人兵団は大人が観るほどおもしろい作品だ)
名作への入口
パラレル西遊記、ドラビアンナイトはダイレクトに「西遊記」「アラビアンナイト」へのイントロダクションとなる。
実際、以前絵本で「アラビアンナイト」を借りてきたときにはあまり興味を示さなかった子供たちが、ドラビアンナイトを見てからは「アラビアンナイトのお話を聞きたい!」とせがんでくるようになった。
ドラえもんというフレームの中でわかりやすく咀嚼され、面白さのエッセンスが凝縮されたこれらの映画。
この2作については、大学生くらいの時分にはいささか子供向きすぎるきらいがあり、あまり鑑賞の対象とはしていなかった。
しかし、ある意味それは正しいのだということを子供たちをみていて思い知らされた。
子供たちに向けてやさしくつくることで、子供たちの視野を一気に広げる役割を担っていたのだ。
ドラえもんは科学の興味への入口だ
子供という生き物は、質問せずにはおられない。
なんで?なんで?のオンパレードだ。
ドラえもん映画を見始めてからは、ひみつ道具への質問ばかりである。
「タケコプターはどうやって動くの?」(4歳児)
「ほんとにできるひみつ道具はなにかな」(7歳児)
など、年によって質問の内容が違っているのもおもしろい。
のび太の引き出しの中身はどこにいってしまったのか、と問われると私も気になってくる。
ともあれ、確実に科学の興味への入口となっている。
それをいっちゃあおしまいだよ
そんなこんなで我が家ではドラえもん映画が上映される日が続いている。
なぜDVD BOXなんか買ったのか、と文句をいっていた妻に対しても鼻高々だ。
と、思っていたら。
Amazonプライムでドラえもん映画配信されてるじゃん…!!
「わー、ぜんぶAmazonで見れるね!」
それをいっちゃあおしまいだよ。でも、Amazonありがとう。
というわけで、DVD BOXを持っていない皆様に置かれましては、ぜひともPrime ビデオなりなんなりでドラえもんをご覧になってください。
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