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#noteフェス 呼吸する生身のクリエイト

9月2日から始まった「noteフェス」。夜9時からの配信『僕たちに「企画」はいらない』(漫画家・羽賀翔一さん/編集者・柿内芳文さん/モデレーターはnoteディレクター志村優衣さん)を視聴した。ソーシャルディスタンスをとりつつ映った三人の画面を目にしてすぐ「おや?」と思ったのが羽賀さんのつっぷした姿勢。机を覆うようにしていて顔がまったく見えない。どうしたんだろうと思ったら、漫画を描いていたからだとわかった!朝10時締め切りの漫画原稿がまだ20コマできてないという。「だから今描いている」とは!まさかの締め切り12時間前!原稿を三回おとした時点で「どんなに面白かろうが、読者から求められようが連載は中止にする」と編集者の柿内さんは決めているそうで、チラッチラッと鋭い視線を羽賀さんに送っている(みたい)。 前プログラムでは坂口恭平さんが生電話に対応していたが、noteフェスは「圧倒的な日常のリアル」を見せながら進んでいくのかもしれない。

生身のクリエイターが今に向き合ってる空気はすごく面白い。リアリティショーでは出せないクリエイターの日常をそのまま見せてくれている(これもフェスってことかも)。

 キャッチ&リリース。プロ漫画家の技に「企画」はいらない。 

羽賀さんが描いているのはcakesに連載中の『ハト部』。ストック分7話を消化してしまい、ついに追いつかなくなってきたらしい。配信を見ている私たちは「あ、手が止まった」「描いて描いて〜」とハラハラしてしまうが、一体一時間でどれくらい進められるものだろうか。 

漫画家・三田紀房さんを長きに渡って担当していた柿内さんは、三田さんからあることを学んだ。それは、目の前にあるものをとって出す「キャッチ&リリース」の力だ。ラジオから聞こえたニュース、人から聞いた話から面白い情報をぬきとり即座に漫画に取り入れ、アウトプットしていく力。 ネームを描いている最中に「これだ!」とひらめくことにあえたら、つかんですぐに取り入れる。私が思い浮かべたのは一流シェフたちで、その日に採れた山菜や手にできたジビエで見事にメニューを進化させるイメージ。なるほど、だから「企画はいらない」のだ。あらかじめ企画を決めてしまうと枠外の出会いや予想外の素材を遠ざけてしまうことになる。ほんものの力は、流れの中で最大の素材をつかむということだろう。

 キャラクターが感じているままを読者に届ける。 

羽賀さんと柿内さんのタッグで大ヒットした『漫画 君たちはどう生きるか(2017)』を手にしたひとは多いだろう(私の本棚にもある)。

 コルクを退社した後も「羽賀さんが描くオリジナル作品はどんなものになるだろう」と気にしていた柿内さん。全国に2校しかないハト部を漫画にするなら、羽賀さんの絵柄はぴったりだと思い、偶然に再会したとき「描くべきだ」とすすめたという。羽賀さんの才能をもっとも生かせる漫画はなにか。描くなら、大きな物語ではなく、小さな物語だと考えた。例えば、 好きな女子の前で鼻をかむにはどうしたらいいんだろう、と悩む日常のちいさな出来事で一話進んでいくような。このテーマは『ハト部』で実際に描かれている。 

キャラクターのモデルは羽賀さんがこれまで出会ってきた人物たち。 「作品でなにかメッセージを伝えたいわけでなく、キャラクターの感触や体験を鮮度よく出して読者に届けたい」 と話す羽賀さんの手が止まっている(描かないと〜〜〜)。 

そして、柿内さんの手には3本目(?)の缶コーヒーがあった。用意された10本の缶コーヒーを飲み干しちゃうかも、の勢いで、 「他のひとが気づかないポイントを拾って漫画に変換できる羽賀さんは 、キャッチ&リリースができる」と話していた。

 描くのが早いか、飲むのが早いか。まさかの見どころポイント満載で 1時間はあっという間だった。 気になる結果は終了前にあかされ、できたのは「2コマ」。配信終了後から、熾烈な追い込みが始まったにちがいない(おつかれさまです!)

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コピーライター/フリーライター/第2回(2019)「ふう太の杜文学賞」佳作受賞/取材・企画・執筆/現在はシナリオと短編小説を中心に執筆。歌詞の執筆も始めています/まだまだ描かれていない「大人のドラマ」を描きたい。/執筆記事もアップしていきます。