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「花束みたいな恋をした」を観た
どんなに仲良くてお互いを信じていたカップルでも、卒業や就職の変わり目がきっかけで上手くいかなくなり別れてしまったという話は、皆さんも聞いたことあるんじゃないでしょうか。
終電を逃して偶然出会った麦と絹。甘い甘い日々を過ごしていたはずが、次第に噛み合わなくなった2人。楽しかった日々だけを胸に最後それぞれの人生を歩み始めるというストーリー。知らない人はとりあえずこの動画を観てください。
芸術を愛する人がただの会社員へと変わるリアル
劇中では、一度はイラストレーターとして生計を立てようとするも買い叩かれ、普通の会社員になる麦の姿が描かれます。ちょうど就職したばかりの身としては、ここの場面のリアルさに心を揺さぶられました。
もともと好きな本や映画、音楽の話が合い、延々とファミレスで楽しむような仲だった二人。それらは二人の趣味だったはずが、いつしか絹だけのものとなり、もう麦は一緒に楽しんでいた小説や漫画に見向きもしなくなって、激務に追われて会社に泊まりながら死んだ目でパズドラをするだけになってしまいます。
麦「俺が頑張って稼ぐから。絹はずっと家にいて、家事もしなくていい、好きなことだけしてたらいいよ。だから一緒にいよう。」
という最悪のプロポーズからは、もうあの楽しい日々は帰ってこないという絶望すら感じさせてくれます。
早々に夢を諦め、二人の生活を"現状維持"していくために真っ当なレールに乗ったはずの麦は、そのせいで心の余裕を無くし、無個性な社会の歯車となってしまったのです。
僕は今両手で抱えきれないほどの大切な趣味がありますが、生きるためにこれらがぽろぽろと溢れていくことを考えると胸がキュッとなります。
愛する人と暮らしていくということ
どんなに愛し合っていたとしても、ずっと二人で暮らしていくというのは並大抵なことではないでしょう。どんなに仲が良くても一緒にいても、互いに知らない仕事仲間や遊び友達、大切にしたいこととかがあると僕は思います。
「実は観覧車乗ったことないや」
「4年も付き合ってたけど、そんなことも知らなかったんだな」
人生を一緒に歩んでいくというのは、相手が自分の思っていた相手と変わり果ててしまった時でさえも、一緒に乗り越えていけるかという試練なんだなと改めて感じました。
「花束みたいな恋」とは
本作のタイトルにもなっている「花束みたいな恋」とはどんな恋でしょうか。手に入れたときにどんなに美しかった花束も、ずっと愛でたいと思ったところでいつかは枯れてしまう。そんな切なさを表現したものだと思います。
この映画での2人は、そんな美しかった思い出が心の中で枯れ切ってしまう前に、ドライフラワーのように綺麗なままそっとしまっておけるように、泣きながらも笑顔で別れを選んだのでしょう。
最後に
「大学生の時に出会った二人が社会人になって変化を遂げていく」という話なので、学生と社会人の間にいる同年代にこそ、是非観てほしい映画だなと思いました。
最初はカップルで絶対観ないほうがいいと正直思いましたが、カップルで観てお互いにこれまで大切にしてきたものは何なのか一度思いを巡らしてみるのもきっと良いでしょう。
最後は劇中の二人の素敵な日々だけが詰まった動画を置いて、この感想を終わりにしたいと思います。
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