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エヌビディアのARM買収の行方

エヌビディアのARM買収に関する競争上の懸念

🟩英国政府は詳細調査に進める

 英国のCMA(競争市場庁)はエヌビディアによるARMの買収について「競争上の深刻な懸念がある」とする報告書をまとめ、詳細な調査に進むことを提案した。 英政府は調査を次の段階に進めるかどうかは適切に判断するとコメントした。詳細調査は最大24週と延長の8週かかる可能性があり、CMAは遅くとも2022年4月下旬までに結論を出すと見られる。

 ARMはソフトバンクグループの傘下企業で、2020年9月にエヌビディアによる400億ドル(約4兆4千億円)での買収で合意している。英政府はエヌビディアのARM買収について安全保障上問題が無いかについて調査すると発表し、CMAに対し競争、法律、安保の面で調査結果を報告するよう求めていた。

 エヌビディアはCMAの初期の見解に対応し、英政府の懸念を解決することを楽しみにしている。今回の取引はアームやその顧客、競争、英国にとって有益だと確信しているとコメントした。

🟩競合企業の競争力低下が懸念

 CMAは買収によってARMが囲い込まれる状態になり、エヌビディアの競合企業へARMの技術へのアクセスを制限する能力を持つことが、競争の大幅な減少につながることを懸念しています。「これは、消費者への価格が上昇したりすることになる可能性があります。」 自動運転やゲームなど様々な産業のイノベーションを妨げる可能性があるとも指摘した。

エヌビディアの譲歩案

 エヌビディアは英国内でのスーパーコンピューターに少なくとも1億ドルを注ぎ込み、ARMに追加投資する譲歩案を提案しました。しかし、この提案はCMAによって拒否されました。

🟩半導体業界を巻き込んだ攻防

 ARMは半導体の設計図をエヌビディアを含めた顧客企業に提供し、ライセンス収入を得ている。ARMの顧客の企業であるクアルコムは、競合企業であるエヌビディアの傘下にARMが入ることを警戒している。

 また、同じ半導体メーカーでもBroadcom、Marvell、MediaTekは、エヌビディア買収後もARMの顧客となると言いARM買収を支持している。

🟩まとめ

エヌビディアによるARMの買収に関する競争上の懸念があるため、英国政府は詳細調査に進む

 半導体企業の国を跨いでの買収は、安全保障上問題と問題になりやすい昨今です。

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