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反射した二人 ※素人の私が書いた物語の仕掛けに気づいてください。

これは 私の大切な恋のお話です。

毎朝起きると まずはじめに 君と今日どんなことを話せるかな

どんな表情が見れるかな そんなふわふわした期待をしていました。

朝 鏡の向こうにいる不細工な私を見るとき

不細工な顔が少しマシになるように化粧をするとき

制服のスカートをよいしょと2回折ってみたとき

君には 今日の私がどう映るのかいちいち考えていました。

なにも知らなかったでしょう?


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最近 暑い暑い暑い。

今日の朝の番組では 昼間になると 36度を超えるとかなんとか言っていました。

朝はキャスターの声とお母さんの怒り声  harmony。

「みさき~、昨日最後にお風呂入ったのあんたでしょ!蓋が開いてたのよ!」

「本日の最高気温、関東では・・・・・・・・・・・・・・・。」

私は両耳を閉じる力があります。

朝の素敵なharmonyをよそに そのまま ローファーを履いて 玄関のドアを開けました。

たったの数秒歩いただけで 着たばかりの制服の奥から ぺたぺたとした肌が表れてくるこの感じが なんとも不愉快です。

でも、そろそろかな。

5分ほど歩いたところで、後ろからワッと驚かされました。

今日も何も知らない顔で 君は 私の期待に乗っかてきます。

綺麗で鮮やかな笑顔が 朝のストレス全部南の島に飛ばして行きました。

「みさき、今日の現社のテストいけそう?」

覗き込んでくる瞳が茶色い。髪が柔らかい。

「おはよう、優。現社、多分大丈夫。昨日少しやったけど、授業で習った太文字おさえとけば。」

何事もないように真顔で答えて見せます。

「みさきってずっと頭いいよなあ~、絶対 山本先生に推薦の件で目つけられてる、羨ましいわあ」

否定しようとした私をよそに、別の話題を持ってきました。

「そういえば、来月の4日、松下の花火大会いく~?」

言われると思ってたけど

こうやって 気持ちを動かされる。

優の気まぐれの発言に 3年間 振り回されてきました。

「いきたい」

「じゃあ、いこっか、楽しみ~~」

そうなると思って もう浴衣を 買っておいたのは

絶対に言えませんでした。

それから、他愛もない話をして、別々の教室にたどり着きます。


君の近くによくいる女の子 何とも思ってないのは分かってるけど 羨ましいです。


教室につくと、隣の席のみなとが話しかけてきた。

みなとは、クラスで一番話しやすい。

「現社のテスト・・・・・頼むから、見せてええええ!!!」

こやつ、カンニングをしようとしています。

「絶対に嫌」

みなとと私は 高校1年から  クラスが同じで みなとが 私にべったりです。

みなとの楽観的な性格が 私の殻をかみ砕いてくれます(笑)


一日はあっという間に終わって 

一週間もすぐに過ぎる。


優との夏休みも 花火大会も 体育祭打ち上げも 楽しいことぜんぶ終わったけれど

私は トモダチ化石のままでした。

残された時間は 高校三年の残り僅か。

それでも 私は 優に伝えられない。

みなとにも 言えなかった。ごめんね。

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最高気温37度の夏から最高気温9度の冬に変わりました。



大学受験推薦枠を終えて クリスマスの4日前  優が人のものになりました。

優は 何の気なしに 私を恋人に紹介しました。

優には よく合う大人っぽい人でした。

「じゃあ 優のこと よろしくお願いします。」

私は また真顔で 言いました。

笑顔で私に 手を振る優

去っていく身長差のある男女の背中が痛かったです。

でも 私は 泣くことができませんでした。

優は 私とは違うもんね。 


それから 何度か夢を見ました。

沢山の向日葵の中で 優と私が 笑っている。

優は 私だけのもので 楽しそうな横顔も 

綺麗な手も髪も全部

私だけのものだった。



高校の卒業式

優に誘われて 2人でよく行った東山湖へ向かいました。

優は 気持ちよさそうに懐かしいねって

笑ってたけど 私は気持ちよくありませんでした。

もう優に会うのは 今日で最後にすることにしました。

優にそれを伝えたら 泣いてしまうと思ったので 今日は黙っていることにしました。

「みさき、みなととは 順調?」

優が 私のほうを見て 聞きました。

「うん。もともと友達だったからか楽に付き合えてると思う。」

優は 満足そうにして 

大学始まったらダブルデートしようとか

最近話題のおふろcafeに行ってきなよとか 

私が聞きたくないことを たくさん話していました。


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少し経つと 風が強くなって

太陽を隠していた大きな雲が 

呑気に流れていって 

太陽の光をあたり一体にぶちまけました。


下を向いていた私に

揺れた水面上へ反射した影が 

容赦なく現実を突きつけてきました

私の隣で 揺れている優

どうして優は_________


楽しそうに話しながら 

何気なく私の方を向いた優が

驚いた顔をして 固まりました。

動けない 

頬になにかが伝っていくのが感じます


風が 痛い

ああ

もうなんでもいいや






水面の中で 二人の女の子が 

揺れていました。






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