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ノンアルバーやってみた2

2/4土に「NON ALC BAR PAUL」を開催した。同時にミニ写真展「GRADATION」も。

Googleスライドでつくったロゴ

結果、34人のお客さんが来てくれて、大盛り上がりとなった。ありがとうございました。

ミニ写真展「GRADATION」

来てくれたのは、高校の同級生や、前職の先輩、後輩、仕事仲間、山仲間、バーで知り合った人たち、恵比寿の友人、昔からの友人などなど。

平日に出しているテキーラがいかつい

間借りしたのは、渋谷の完全紹介性バー。場所は秘密だけど、一度来店したらFBグループに招待して、次からは自由に来ていい仕組み。

このバー、平日はテキーラを中心に半ばスナック的な運営をしている、ママが素敵なコミュニティである。ITベンチャーやVCなど渋谷らしい客層で、いわゆる「おじさん」が多く、だからこそFacebookでグループ化しており、客単価も高め。そして店員は皆本業が別にある。

ワイングラスでお茶出したい

そのバーには、友人がチーパパ(ドリンク担当の店員)をしていることもあって、何度か来たことがあった。とはいえ酒が飲めないので、ウーロン茶2杯くらい飲んで1〜2時間で帰る、って感じだったけど。

土日は営業していなかったので、ママに「ノンアルバーやってみない?」と声をかけていただき、やってみることにした。そもそもずっとやりたかったのだ。

レコードもたっぷり

メインのメニューは、インドで出会ったモロッカンスカッシュやレモネードをアレンジしたもの。いわばノンアルのモヒートである。

ミントの爽やかな香りと炭酸の刺激が体を通り抜ける風になる。この旅でいちばん感動した味だった。

インドにて。右上がモロッカンスカッシュ

旅先、特にイスラム圏やヒンズー圏はノンアルが充実していた。元々お酒を飲まないので、メニューをめくってもめくってもノンアルコールで嬉しかった。酒の飲めない自分にとっては楽園のようだ。暑い夏に飲んだノンアルをここ東京でも再現しようと思った。

そこで、PAULのモヒート「ポヒート」と名づけ、シグネイチャードリンクとして単価も高く設定した。

なぜか焼きそばパンもメニュー化

ミント、ライム、レモンの分量やシロップの分量、クラッシュアイスの細かさ、口先に冷たさが伝わるステンレスストローなどなど、美味しく感じるための要素を分解して追求。

途中で迷走して、レモンスカッシュの味に近づけすぎて酸っぱくて飲めない!こっちじゃない!などの事件を経て味が決まっていった。

爽やかな甘みは、夏に飲みたくなるスッキリ感だ。今は冬だが。

そもそもモヒートを飲んだことがなかったので、アルコール勢はこんなものを飲んでたのか!ズルい!と思って開発した。ただただ自分が飲みたい味だった。

数年前、新宿ゴールデン街でも「ノンアル酒場」を開催したことがあって、その時は一度きりのイベントとして、楽しくやることができた。たくさんのお客さんに来ていただいて、大満足で終えることができた。


しかし、心残りが2つあった。

①あまりフードが出なかった
バーなのでみんな食べてから来る。わざわざ学大からプライベートシェフM氏を招聘したのにあまり食べてもらえなくて申し訳なかった(今回はフードも開発したが、あまりラインナップを増やさないようにした)

②利益ゼロだった
完全に仕入れや場所代とトントンになってしまい、全く儲けは出なかった。遊びだから、というのはあるかもしれないけど、やはりスタッフの人件費くらいは確保したいなと後悔が残った

旅から帰国した自分のテーマは「HOMEをつくる」こと。今回のノンアルバーは、一度きりのパーティーじゃなくて、継続できるものにしたかった。

だから、ママに相談して、かなり強気の「バー価格」を定めた。利益がきっちり出ないとバーなんか続かない。どうしても途中で嫌になってしまう。という経験者の言葉は説得力があった。

手伝ってくれたスタッフは3人。いずれも友人である。

SODA TAK

スーツ屋のTAK
ふだんは木曜にチーパパとしてこの店で働いてもいる。オーダースーツなら彼にお任せ。明るく優しいナイスガイだ。

CHIKA

フード&ニットのCHIKA
前職で共に働いたハイパーアートディレクター。ニット作家でもあり、コースターはすべて手編み。そして好評のアルコール免罪符のサグいデザインも彼女によるもの。

SOWTA

DJ  SOWTA
編集者であり恵比寿散歩友達。なんでも話しがちな腐れ縁で、栃木生まれヒップホップ育ちだ。

オープン前はバーガー🍔

そして、ノンアルバーをやらない?と声をかけてくれたのが、ママ HITOMI。平日は「ひとみとアミーゴ」というテキーラをショットで飲む必殺技を駆使する素敵なやり手ママ。

そして、当日。当たり前だけど、たくさんの人が来てくれると嬉しい。自分の知り合いたちがお互い話して仲良くなるのも不思議な感覚だ。たまに見る悪夢のような、関係性が混じり合う楽しい時間。本当にご来店ありがとうございました。

店がいっぱいになると、オペレーションが不慣れで、なかなか注文に気づけなかったり、そもそも会いに来てくれたのにほとんど話せなかったりする。来てくれたのにあんまり話せなかった人たち、ごめん。

もっと全体を見ないといけない。

そもそも人とのコミュニケーションが苦手で、営業なんてやってられるか、と、制作職になったのに、なぜか接客業をしていて不思議である。社会人なりたての無課金ユーザー的な果てしない心細さを感じて新鮮だった。

でも、帰国後の「HOMEをつくる」モードの自分にはちょうどいいのかもしれない。

もうひとつ不思議な心境として、他者と接する時の仮面を瞬時に切り替える疲労というのがあった。

「バーのマスター」という新たな仮面を用意していなかったので、それぞれの関係性を瞬時に切り替えながら、いろいろな人と話して、とても疲れた。終わって数日して、なんとなく気づいたことだが。

面白い現象としては、終わってから、あの人紹介して、や、あの人と飲みに行きたい、みたいな、店外でのゆるやかなつながりを感じられること。そして、結果的に人と人のハブのようになること。苦手分野なんだけど、バーをやるって、こういうことなんだなと、また学びがあった。

反省点は、写真展まったく機能してなかったなということ。混みすぎちゃって。でもこれは、今後常設していただくことになったので、ゆっくり見たい人はまたぜひお越しください。きっと次回からはそんなに混まないと思うから。

水平は厳密に見ないでください

あとは、一杯だけ飲んで帰る人の割高感がすごいということ。特に今回導入した「アルコール免罪符」の功罪である。(ややこしい)

キャンドルに貼ると儀式感が怖い

基本はノンアルコール営業なのだが、どうしても飲みたい人向けに、お酒を飲める権利を免罪符として1000円で発行する、というシンガポール政府のような鬼ルールを設定した。(シンガポールでは車の免許を取るための権利が数100万円する)つまり、チャージ1000円と合わせて、場所代2000円のスタートになるのだ。

テキーラにこっそり貼りました

バーの単価がなぜ高いのか。無粋を承知で言語化すると、非日常な空間と時間。そこに集う人との社交。いつもは飲めないドリンク。DJによる音楽。マスターの人柄。要はその世界観のトータル金額としての値段だから、飲料原価に比して高い、ということだと思う。

DJセットも本格的

2時間程度で、2〜3杯飲んで、数千円というのが当初のイメージだったが、滞在スタイルは当たり前だけど人それぞれ。

ハシゴ的にパッと飲んで帰る人もいる。その時の、一杯だけの人の割高感が気になった。

対策としては、ひとつは「イベント感の強化」だろう。パーティーの参加費と捉えられるような場の設定だ。DJによる「テーマナイト」を決めることで、その音楽が好きな人が集まる。ドリンクだけじゃない価値が生まれる。みたいな事を考えたい。「地獄のメタルナイト」とかね。ノンアルコールのブラッディメアリー開発しないと…

基本はノンアル勢のための店だから、アルコール飲んで高くついちゃった人には納得してもらうしかない。しかし、ノンアル勢が気を使わずに滞在できる方法も今後考えていきたい。そこの客層はグラデーションがあっていいのだ。

一杯の注文で長く滞在したっていいんだけど、もう少し安い一杯があれば、気を使わずにさらに長くいてもらえるかもしれない。

逆に、もっと高い商品があってもいい。ボトルドティーなど、この世には信じられないほど高いノンアルもまだまだ存在する。ゆくゆくは手を出していきたい。

写真集は受注生産/コースターも

写真集のタイトルをGRADATIONとしているのは、旅の中での気づきを由来としている。どんな国、街、人でも、実際に訪れてみると、事前の偏見やイメージと少しずつズレていた。

自由に見える国でも、もちろん不自由とのグラデーションがある。「安全な国」日本でさえ、電車での殺傷事件や元首相が銃殺されるテロがある。時と場所によって、自由も安全も揺らいでいる。

それは治安、美食、絶景、冒険、文化、言語、すべてにおいて存在する。何事も決めつけた方が楽なのだが、すべては「程度の問題」であり、グラデーションの中にある。

抹茶椀が1つしかなく2つ頼まれると詰む

この店を、すべてに賛成・同意する人だけを集めたサロンにするつもりもないし、かといって誰でも入ってこれる酒場にするつもりもない。(現に「ノンアル」としてる時点で、ガチ酒勢には入りにくい店になっている)

とはいえ、どちらも少しずつ譲り合って共存していくことが免罪符の狙いだった。しかし、結局前回は夜が更けるにつれてみんな酒飲んでました。思ってたんと違う

このへんも課題?だったのかも。イメージは禁酒法時代のスピークイージー的なこっそり感だったんだけど。むしろみんな堂々と飲んでましたね。そりゃそうか。人間っておもしろい。

そんなわけで、今後は、既存のソフトドリンクを「STANDARD」、オリジナル開発したドリンクを「SPECIAL」として、2ラインで展開します。料金にもグラデーションを。

昔の反省は「全体的に安すぎたこと」だとしたら、今回の反省は「一杯だけ飲む人を高くしすぎたこと」。いずれにしても、バランスが重要であり、長く続けるためのちょうどいいポイントを模索したい。

また、バーライターの方に感想を聞いたら、バーでの味の楽しみ方は甘みと苦みの幅である。もっと、苦みを楽しむためにトニックなどで工夫ができるのでは?とのこと。

また、別のお客さんにも「甘いのしかないから、苦味が欲しくてアルコール免罪符買ってハイボール飲んじゃいました」という意見をいただいた。

ホットなの?と驚かれた梅ジンジャー

なので、今後はよりビターなラインナップを拡充していく。トニックはフィーバーツリーが気になっている。

次回2/18土は、
以下のようなものを考え中。

うまくてびっくりした

ノントニック
ノンアルのジントニック。飲んでみてめちゃ美味かったので追加。ジンはNEMAというもので、華やかさと清冽さがあって感動した。

複雑な味わい

氷出し和漢茶
氷で出すと甘みと旨みが増すとか。プーアル茶ベースでハッカなどの複数の漢方的素材を混ぜたお茶について、抽出時の温度など最適なバランスを追求中。茶葉は変えるかもしれない。

写真はグアテマラのやつ

コーヒー
「STANDARD」ライン。これはふつうのインスタント。旅をしていてもコーヒーの味だけは違いがわからず、ネスカフェエクセラが一番うまかった。わからないものはしょうがないので、こだわらないラインとして。ビターなチョコとかつけるかも。


ほか、ウーロン茶、ジャスミン茶、オレンジジュース、グレープフルーツジュースなど、いわゆるふつうのソフトドリンクも置く。

次回のテーマは「ビター」にしようと思っていて、ノンアルの味わいもそうだし、音楽もそういうものを集めてみる、というのをぼんやり考えている。また変わるかもだけど。

ここまで読んでくれた人はお気づきの通り、内部事情明かしまくりスタイルで今後も運営していきたい。

結局、ノンアルを中心としたコミュニティをつくりたいのであり、それは、店とスタッフとお客さんという3者が、関係性をぐるぐると入れ替えながらつくりあげていくもの、という感覚がある。

お客さんは、スタッフになるかもしれないし、店は場所を変えるかもしれない。でも、ここで生まれた関係性や開発されたドリンクは、なんらかのブランドとして生き残っていく。

そんな感じがいいな、と思っています。

スタッフとしてお手伝いしてくれる方、DJしてみたい方、こんなテーマナイトやって欲しい!の声、新商品のアイデア、そしてもちろん、ただただノンアルを飲みに来たい方、引き続きお待ちしてます。

(あと本業のコピーや企画を頼みたい方も。)

飲みたい人もどうぞ…

ありがとう!Thank You!谢谢!Gracias!Merci!Teşekkürler!Asante!Kiitos!Obrigado!Grazie!Þakka þér fyrir!