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ぶあいそうな手紙

あらすじ

ブラジル南部の街、ポルトアレグレで暮らすエルネストは、今年で78歳と老境に入ったことで視力が衰え、今では活字を読むことは勿論、目の前の人の顔すら見えないほどだった。

妻亡き後、不便な生活を強いられながらも独居を続けるエルネストだが、彼の事が心配で放って置けない息子のラミロは「家を売って一緒にサンパウロで暮らそう」と説得する。

だが長年住み続けた家を手放すことを強く拒み、「目が見えないから一人暮らしができないなどお前が勝手に決めるな!」と頑として息子の提案を受け入れない。

そんなある日、彼が唯一心を許せる隣人のハビエルが「手紙が来ているぞ」と知らせにくる。

送り主は彼の故郷ウルグアイにいる親友オラシオの妻ルシアからだった。

目が見えないエルネストは他人にその手紙を読んでもらおうとするが、隣人ハビエルはすぐ茶化してくるし、家政婦のクリスティーナは手書きのスペイン語は読めないと言われてしまう。

途方に暮れるエルネストだったが、偶然出会った23歳の女性ビアが手紙の代読と代筆を引き受けてくれるという。

かくしてルシアとの文通が始まるが・・・。

感想

この作品は、ひょんな事から知り合った弱視の老人と女性が、手紙の代読と代筆を通して交流していく姿を、南米らしく陽気に、だけど時に切なく、そして温かく描いたハートウォーミングストーリーです。

人間に取って普遍的な「老い」や「死」、「愛」や「人生」などを優しく問いかけてられているような感覚を覚えながら観ていました。

観終わった後、作品の余韻に浸りながら「自分って、このまま歳を取っていったらどうなるんだろう?」と想像したのですが、想像すればするほど不安になっていくばかり💦

しんどくなってきたのでやめやめ、と慌てて考えるのをやめました😅

人間、時には都合の悪い事は敢えて見ないようにするのも大事ですよね・・・。常態化しちゃうと問題ですけど。

だけど、そんな私にも「老い」は1日1日と確実に迫ってきている。いつかそれを実感した時に後悔したくはない。とすれば今のうちから1日1日を無駄にしない覚悟を持って生きていくことが求められるんだろうなあ、と思いました。

この作品で1番のお気に入りのシーンは、最後らへんの隣人ハビエルとの別れのシーン。

主人公のエルネストとは、いつも憎まれ口を叩いたり叩かれたりの仲なのですが、共に人生の終盤に差し掛かったこともあり、自然とお互いの体調を気遣いあいながら、長年助け合ってきた「戦友」のような関係。

エルネストはハビエルに「黙って出て行こうとするなんて一体どういう事だ」と詰め寄ります。

それに対して「よせよ。以前お前は『別れの挨拶なんて女々しい』と言っていたじゃないか。俺は覚えているぞ」とハビエルが返す。

そして「ああ。俺もすっかり歳を取ったからな。だから女々しくなったんだ。」と言って2人が熱くハグを交わす。

このシーンにはお互いを想い合う気持ちが強く溢れていて、心がじんわりと温かくなりました。

私同様、多くの人に取ってブラジル映画というのは中々馴染みが薄い作品だと思いますが、それだけに作品の中で描かれる日常のシーンにも文化的な興味深さがあるので、いつもと違う作品を観てみたいなあという方にはオススメです!

では、今日はこのへんで!👋

こんな方にオススメ!

いつもと違う作品を求めている方

手紙を扱った作品にノスタルジーを感じる方

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