見出し画像

罪の声

あらすじ

京都でテーラーを営む曽根俊也はある日、父・光雄の遺品の中から手帳と古びたカセットテープを見つける。手帳には、35年前日本中を騒がせた昭和の未解決事件「ギンガ・萬堂事件」について書かれていて、テープの中には事件に利用された幼い子供の声が吹き込まれていた。テープを聴きながら俊也は震え上がった「これは、俺の声だ・・・」
丁度同じ頃、大日新聞の文化部で映画や音楽などの紹介文を書いている阿久津英士は、平成の終わりの総決算として「ギンガ・萬堂事件」の真相を追う特別企画班に上司に無理やり加えられ、取材を進めていた。
初めは既に時効を迎えた事件をほじくり返すことについて抵抗を覚える英士だったが、取材を進めるうちに、曽根俊也を含めた当時犯行に利用された幼い子供達と接触するにつれ、真相を明らかにする意義を見出し始める。

感想

あらすじを読んでピンと来た方もおられると思いますが、この作品は1984年に実際に起きた「グリコ・森永事件」をモチーフにして作られた作品で、原作は塩田武士氏の同名の小説です。
この映画を観ようと思ったきっかけは、幕間の予告編で主演の小栗旬と星野源の役柄の雰囲気に興味を持ったことです。実際に観てみても期待以上で、自然かつ渋みのある演技にスッとスクリーンの中に引き込まれました。何だか超ベテランの風格!
もうひとつは予告編から漂う重厚なミステリーの匂いに「なんか合いそうだなぁ・・・」と、久しぶりに自分の良作センサーがビビッ!と反応したこと。
結果的にその感覚に狂いはなく満足しています😆
登場人物が少し多かったりして、自分の頭だと理解が追いつきにくい箇所も少々ありましたが、上映後になってやっと瞳の渇きに気付くくらい、スクリーンを夢中で観続けていました!
作品の中で起こる事件が実際の事件をモチーフにしているというのは結構多いですが(3億円事件とかね・・・)、中には単なるリアリティの味付けの為にそうしているような作品もあるように感じられ、ここは賛否両論ある所だと思います。
自分も、ミステリアスな未解決事件を悪戯に掘り返そうというような邪な意図を(勝手に?)想像してしまうこともたまにあったりします。
ですが原作者の塩田氏がこの作品(原作小説)を執筆しようと思った動機について、Wikipediaに次のように書かれていました。

 塩田は大学時代にグリコ・森永事件の関係書籍を読み、脅迫電話に子どもの声が使われた事実を知って、自らと同年代のその子どもの人生に関心を抱いたという\[1]。<中略>執筆に際して、1984年から1985年にかけての新聞にはすべて目を通している\[1]\[注 1]。作中の犯人は「フィクション」だが\[1]、各事件の発生日時、犯人による脅迫状・挑戦状、事件報道は「極力史実通りに再現しました」と単行本の著者コメントには記載されている

確かに作品を観るとこの記述の通り、周りの大人達の都合で振り回される子供達の人生が心情豊に描かれていて、胸を揺さぶられました。
もちろんこの作品で描かれていることはおそらくフィクションでしょうし、あくまでもあの事件の全体像の予想のひとつにしか過ぎないのでしょうが、それでも闇に葬られた事件の被害者達を思いやる上でも、大変意義深いのではないかと感じました。
しかし、35年前だったんですね・・・。たまに事件のことを聞いたりすることもありましたが、感覚的にはもっともっと昔の出来事だと思っていました。
この作品をきっかけに、少しだけ事件のことが自分にとって身近になったように感じました。
とまあ、今回はこんな感じで!それではまた次回👋

こんな方にオススメ!

星野源・小栗旬ファンの方

重厚なミステリー作品をお求めの方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?