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俺は、プロのバナナだぞ。

 「俺は、プロのバナナだぞ。」
 訳のわからないことを言う僕の友達は、給食のバナナをテーブルの上に広げていた。クラスの誰もがそこまで気にもしない余ったデザートのバナナに食いつき、余りどころかクラス中から集め出した友達。クラスのガキ大将が気を利かせたつもりなのか、隣のクラスからバナナを集め、徐々に友達の情報が小学校中に広まった。

 プロのバナナが、学校中のバナナ全部食うんだって。

 今、目の前にはバナナが広がっている。机がバナナ一色だ。周りの生徒たちはプロのバナナの野次馬になっていた。プロのバナナは必死こいてバナナを食べている。僕は心配になり、「食べようか?。」と声をかけたと同時に、先生が怒鳴る。

 「ふざけるな!。」

 ちょうどバナナに手を伸ばしていた。プロのバナナはそれを近づけまいと、机を叩く。先生の怒鳴り声以上の凄まじい業音。生徒たちは静まり返り、プロのバナナは鬼の形相を見せていた。

 「俺は、プロのバナナだぞ。」

 

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