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【Shake it off. vol.099】 スクリーンを眺めながら現代アートに触れる夜

仕事が早めに終わった土曜の夜、今夜は夫の帰りは遅いし夕飯も私だけ。こんな日は早くからおつまみを作って、ビール片手に映画でも観ようと何か惹かれるものを探していた。

1人での食事が多い私は、夕飯のお供にスクリーンを眺める。
海外ドラマのような30分から45分程度のものが時間的にはちょうどいいと思っているから、前にも紹介したThis is us はかなりお供し、その度に号泣していた。(食べながら泣くというのは1人だからできるし技術のいることだ。)だから映画は正直食事のお供としては長すぎるし、結構な時間を有するから実は避けている。

でも今日はドラマの気分じゃなくって、映画の気分。

ということでAmazon primeを開きピンっとくるものを探ってみる。みたい作品はウォッチリストにたくさん入っているんだけど、私の性格上、今の気分とかニュアンスで観たいものをチョイスするから一向にウォッチリストから作品が減らないという不思議な現象が起こっている。もちろんいつか観るんだけど。



そして見つけた今日の夕飯のお供、The square 思いやりの聖域

2017年公開のスウェーデン映画。
北欧映画って独特なブラックユーモアがあって、そのブラックさが私は結構好き。(好き嫌いはハッキリすると思うけど。)この映画はどうだろう?どんな作品か当時もリサーチはしていなかったし、内容は全くわからないし、しかも2時間半…。いつもならそれだけでスルーしてしまうところだったが何だかそそられる…!!!この感覚で毎回私は知らない映画に飛び込むのだ。



見てみて思った、夕飯のお供に2時間半はやっぱり長すぎた。
だが、この作品を今観たことにかなりの意味があると思った。



主人公は現代美術館のチーフキュレーター、最新のテスラが愛車である彼は俗に言う成功者。そんな彼がどんな姿を私たちに見せてくれるのか、映画のタイトルだけで判断したら結構裏切られるんじゃないかと思う。私は決して映像に詳しいとかではないけど、映画の撮り方やカメラワークが美しく、また感慨深い。きっとこの映画自体が現代アート。このアートな部分も映画のキーなんじゃないかなと思った。


人ってなんて愚か何だろう。
自分が正義と思い込んでいるものを掲げて、平気で人を傷つける。正義と正義のぶつかり合いは戦いや争いにしかならず、その先にあるのは勝ち負けであってそれは解決するための手段ではない。善を掲げれば掲げるほどに悪の部分が滲み出てきて、その人の本質が嘘偽りなく露わになる。
なんという皮肉さ。

正義や慈愛の心の反対側にある部分、人の愚かさや不平等をまじまじと映し出し、そし要所要所で観ている私たちもこの状況下に置かれたらどうするだろう?と考えさせられる。

私だったら…?

こう考えさせられること自体やっぱり現代アート。
そして私が現代アートを好きな理由もここだったりする。
やっぱりこの映画に出会えたことに意味があったように思う。



2時間半、夕飯のお供には長いから是非余裕のある週末の夜にでも。一つの現代アートの作品を眺め考えに耽る夜もたまにはいいはず^^




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