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怒鳴りつけられてから、いい営業だねと言われた話

私は、新卒から8年間営業職として働いている。
前の記事に営業のキャリアに進んだ理由を記事にしているが、
キャリアを進み始めてから、色々なことがあったけど、
総じて営業は楽しい仕事だと今でも思っている。

今日はそんな私が営業をやっていてよかったと心から思えた時の話しをしようと思う。

大きな取引

私は、営業という仕事が好きだ。
なぜなら人と接する時間が多いから。
社内の人はもちろん、社外の人、取引先、仕入れ先など多種多様な人と接する。
喜んでもらえたり、褒めていただけたりするこもあるが、お叱りをいただくことも多い職業だ。

私はある時、
取引先でうちの商品を取り扱ってもらえるという新規の契約を結んでいただけた。
業界でも有名な会社だ。

私は嬉しかった。最近中々パッとした成績も上がっていなかったので、尚更だ。
私は二つ返事で「お願いします。」と答えた。

これがのちに大きなトラブルを起こすことになる。

二つ返事をしてから社内に帰って上司に報告した。
契約書やその他諸々準備を進めて契約に至った。

その数週間後、問題は起こった。
他の先輩営業マンが社内では過去最高額の取引を決めてきたのだ。

何が問題なのかというと、うちの在庫を全部使っても足りないほどの商品を納品しなくてはいけない契約だというのだ。
そこは業界でもかなり有名な会社でそことの取引は、うちにとっても大事な取引だった。
しかし私は、先に契約を持ってきているし、私の取引先の在庫は当たり前に確保してくれるのだろう。よく考えもせず、そんなことを思っていた。

ある時、上司が「社内の取り決めで在庫を一旦全て使うことになった。」
そういわれた。私の取引先に出す在庫がないというのだ。
いわゆる「欠品」という状況だ。

契約時点では、在庫があったのにその後に決まった契約に在庫を使うから、
在庫がなくなった。本当に社会的にあってはいけない話だとは思う。

ただ私はどうすることもできなかった。

小売店の棚にうちの商品の「場所」をもらっているので、
納品できない間、うちがもらっていた棚の場所は空になるか、他の商品が置かれるので、商品数が少なくなる。
簡単にいうと機会損失である。

どんなにオブラートに包もうが、取引先は怒るに決まってる。
必ず信用を失う。私はそう思った。
取引先に早く連絡しなくては。
私はすぐに取引先に連絡した。
まあそれは、こっぴどくお叱りをいただいた。当たり前だ。

そのあとまず私は、他の中間業者の倉庫に商品が少しでも余っていないか確認し、在庫をかき集めることにした。必死だった。
自分で契約して納品するといったにも関わらず、その商品がないんだから。
ないものを営業していることになる。
詐欺と一緒だと言われても反論はできない。

必死にかけづり回って在庫をかき集めたけど、納品数の半分程度にしか及ばない。
夜中までかけづり周り、逐一集まった在庫数を取引先に報告した。

まあこの間も色々お叱りを受けたり、ご指導いただいたりはあったが、それは省略する。

結局在庫は納品数の半分程度までしか集まらなかった。

まあでも向こうはベテランの営業さんだ。
こちらで起こっていることもなんとなくは想像できている。
おそらく私が誠心誠意、在庫を探すか、かき集めるための努力をするのかをみていたのかもしれない。
真相はわからないが、「こっちでなんとかする」といってくれた。

その後もその取引先の担当者と一緒に在庫を数個単位のものも含めてかき集めた。
完納まではいたらなかったが、最終的にはお許しをいただけた。

後日、上司と取引先のオフィスに謝罪に伺った。
トラブルが起きてから、直接その担当者と顔を合わせるのは、
これが初めてだ。

何を言われるか、不安で仕方なかった。

しかし、その担当者の方は、
「御社には、いい営業さんがいますね。この子伸びますよ。」

そういってくれた。私はその場で安堵感と嬉しさで、涙が止まらなかった。
そんなことを取引先からいってもらえたのは、初めてだった。

色々な外部環境が重なって起きたことではあるが、
そんなことは取引先に言えるわけもなく、
ただただ平謝りするしかなかったが、
おそらくベテランの担当者はわかっていたのかもしれない。

私は、必死に動いてよかったと心から思えた。
そして営業の道に進んでよかったと本気で思えた瞬間でもあった。

どんな仕事でも同じだと思うが、自分の誠意を取引先に認めてもらえるのは嬉しい。
その数が多いは、やはり営業職なんじゃないかな、と私は思っている。

また私はこの担当者に懐の深さを感じ、私もそんなビジネスマンになりたいと思った。

もちろんトラブルはダメだが、営業は、こういうことがあるから面白い。
やめられない。






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