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『柵』

廊下には、
隣の病棟との境に
工事現場のような
腰高の仕切りが置かれている。

階段室の防火扉は閉められ、
その前に
わざわざストレッチャーが置かれている。

エレベーターの前にも、
バリケードの様に
固定紐付きで衝立が置かれている。

隣の通常病棟もそうなのだが、
認知症の傾向の方は、
俳諧してしまうことがあり
それを防ぐ為である。
自分の回復度合いの認識が甘く、
勝手に行って
怪我をしないようにする為でもある。

目の前で、
バリケードを開けて
先に勝手に行こうとする方を
止めたことがある。
何故制限があるかということに
思考が働かない病状の方が、
階段室に入ったこともあった。

その裏には、
これまで送ってきた
日常や性格の強い部分だけが、
出てくることで起きているように感じる。

入浴もそうだけど、
自宅療養や介護をしている方の苦労が、
見えるようだ。

続く・・・

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