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【怖い話】おじさんがいる!【「禍話」リライト?79】

 オリジナルの怖い話を無料で延々と語り続けるツイキャス(ネットラジオ)、禍話。
 その公式ツイッターでは、一般の方々から体験を広く募集するため、ダイレクトメール(以下DM)が開放されています。

 ダイレクトメールとは、ツイッターの他の多数ユーザーに見られないよう文章を送ることのできる「個別メール」のような機能です。
 ラジオ放送の「おたより」と似たようなものだと思っていただければわかりやすいでしょう。
 おっ、これは……! というようなモノは採用され、放送で読まれることがあります。


 以下はある日の放送で読まれた、子供の時の記憶にまつわるちょっと不思議なお話です。
 リライトだけではわからない、語り手・かぁなっきさんの明るく朗らかなお喋りの調子、合いの手をお楽しみください。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ちょっとお便りをいただきました。


《かぁなっきさんはじめまして。突然DMを送ってしまい、すいません。》


 いやぁもう、謝ることは何もないんですけどねっ!


《禍話をきっかけに、ほんの少しだけ「不思議だなぁ~」というような体験をしたので(※1)、報告したいなぁと思い、このようなDMを送らせていただきます。》


 …………ねっ!(笑) なんか……ほのぼのした話が来るんじゃないですか?(※2)



《私は毎週「禍話」を聞いてるんですが、この間の放送で、「過去の恐怖体験をほじくり返すと良くない」といった話をしていたので、》


 ……そうでしたか?


《……話をしていたので、家族との話題にしました。》


 家族との話題!? 禍話が家族との話題になるんだ?


《で、その時に聞いたのですが。私が幼い頃いきなり、
「家の中に知らないおじさんがいる」
 と、泣き叫んだことがあったそうです。》



 …………ん?
 なんかもう、不思議な話じゃないぞ、って言うね? これはもう、「不思議」を越したな? って言う……


《それを聞いて、私はものすごく気まずい気持ちになりました。
 というのも私は小学生の頃、怖いマンガで泣いてしまったことがあり、それを誤魔化すために 
「リビングのクーラーの所におじさんのオバケがいて怖いから泣いたんだ」
 とムチャクチャなウソをついて、自分がマンガを読んで泣いてしまった事実を隠そうとした、そういう記憶があるからです。》



 ……あぁ、これは結構あるあるですよね。子供の時にはね、うん。


《あ~これ、家族は私のくだらない話をずっと信じてたんだな~と恥ずかしくて、本当のことが言えずに黙っていると、
「そういうこともあって、引っ越したんだよねぇ」

 ……ん? となりました。

「なぁ。お前がまだ2歳ぐらいの時になぁ。押し入れにおじさんがいる! って、1ヶ月も言い続けてなあ!」

 ……あれっ、話が違うな……。
 おかしいな……。

 私がウソをついたのは小学生になり、引っ越したあとの今住んでいるこの家での出来事なのです。
 その時は不気味に思い詳しくは聞かなかったのですが、このDMを送るちょっと前、好奇心に負けて、お母さんに詳しいことを聞いてみました。》



 なっ、なんてことを! するんだっ!! だから、私が記憶をほじくり返すなと言ったのに、ほじくり返したわけですねっ!


《私が昔住んでいたアパート、》


 ……おっとコレ地名が出てきましたけど……まぁそれは置いといて……


《……アパートでは、前、横、後ろにそれぞれ別の建物が建っていたのですが、私たちがアパートに住んでいる期間のうちに……そっ、その……(笑ってしまい言いよどむ ※3)

 その3つの建物すべてで事故が起きて、中には亡くなった方もいたそうです。
 それも、お年寄りや一人で住んでいる方が孤独死とかではなく、自殺や放火によるものばかりだったそうです。

 横に建っていた建物では、ちょうど私たちが住んでいた階と向かい合う場所で、住んでいた方が首を吊られて亡くなった。
 後ろには工場があったのですが、火事があった。
 横にはクリーニング店があったんですが、2回も放火があり、そのうち1回ではどうやら、人が亡くなっている、という状況だったそうです。

 私が「おじさんがいる!」発言をしたタイミングというのが、そのクリーニング店で放火があり、煙が私の家の和室にまで入ってきた、そんな時だったそうです。
 例の押し入れがある場所、私が泣いて「おじさんがいる!」と主張した押し入れがある場所も、その放火があって煙が押し寄せてきた和室だったそうです。》



 う~ん…………。
 ね!(笑) ねっ!!


《やはり、かぁなっきさんの仰っていた通り、過去の記憶をほじくり返すのはよくない! と改めて思いました。
 これからは、禍話の言いつけを、ちゃんと守ろうと思います。》



 いや「禍話の言いつけ」て!(笑)

 ……ということで、Wさんからいただきましたありがとうございましたっ!(チーーーン…)(※4)

 ん~、ねっ! 皆さんもですね、こういうことがあるので!
 皆さん、え~、記憶をほじくり返すとだいたい(笑)付随してろくでもないことが出てくるので、気を付けてくださいと、言うことですね……!




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「禍話」はこのように、愉快で軽快、明朗な調子でお話が進みます。決して暗く、重々しく、おっかない喋り方ではありません。
 リライトだけではなく、ご本家のラジオも一度聴いてみてください。
 まぁ話は普通に怖いのですが……寝れなくなったりトイレに行けなくなったりしても責任はとれません。ねっ!


 また怖い体験、不思議な出来事、イヤな夢の記憶なとなどをお持ちの方。
「禍話を聞いたら/読んだらこういう目に遭ったんだが?」「夢の中に女が出てきたんだが?」「おいコラ」などとお怒りの方。
 もしおいででしたら、禍話公式ツイッターにどしどしご応募ください。
 体験者は吐き出せてスッキリ、禍話はストックが増えてニッコリ、リスナーは聴けてゲッソリ、Win-Win-Winでみんな幸せになれます。
 皆さんの恐怖DM、待ってま~す!!(下の送り先を指でさしながら)





【注釈】
※1 禍話では「不思議な話」「ちょっと変な体験」みたいな枕詞がつくと、恐ろしいものが飛び出てくる傾向があります

※2 ※1のことを十分知った上で、かぁなっきさんはこういう白々しいことをよく言います。気をつけてください

※3 かぁなっきさんは怖いと笑ってしまう傾向があります

※4 禍話は2019年あたりから、怖い話やおたよりがひとつ終わるたびに、区切りとして100円ショップで買ったベル(ホテルのロビーにあるやつ)を鳴らすことになっています




【おしまい】





🔴本記事は無料&著作権フリーの怖い話ツイキャス「禍話」、
 シン・禍話 第四十四夜 より、編集・再構成などはできるだけせず、ほぼ書き起こしといった案配でお送りしました。
 前文と後文、注釈は私が付け足したモノです。あしからず。




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◆「ぬりかべ」「家姫」「変容の実例」……語り手かぁなっきさんの後輩にして禍話の最終兵器、余寒よさむさんが、令和を恐怖で塗り替える!!
『余寒の怪談帖 完全版』はそろそろ、完成間近というお話でございます。お財布を握りしめてお待ちください!

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