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のぼりおり

外に出て髪を整えた。カラーしてカットして。

私の通っている美容院は急な階段の上、3階にある。

親しみやすい美容師さんがやっている小さな美容院だ。

髪を整えることはいいリフレッシュだと思ってる。

でも私にとって重要なのは、どちらかというと階段だ。

杖が必要な私は階段が苦手だ。落ちそうで怖い。特に下り。

でも、その階段をのぼって、髪を整え、無事降りる。

この一連の流れは何故か私の精神を整えるスイッチになっている。

以前に激鬱状態になった時も、どうでもいいと長年伸ばしてきた

ロングを切りにその階段を上り、下りた。

下り終わった時、自分の中の冴えない部分が少しシャッキリする。

今日もその感覚を味わいたくて美容院へ向かった。

行きは散々な気持ちだった。

社会に適応できない自分。そういう人生を選んでしまった自分。

なんじゃい、ちくしょう・・とか思いながらぺたぺたと歩いていく。

美容院の入ってるビルの目の前に着く。のぼる。のぼる。

少しづつ、マジで気を付けながら。

髪を染めたり切りながら美容師さんとたわいのない会話をする。

得意ではないが、笑ったりする。話したりする。

そして、お金を払って階段をおりる。のぼる時より慎重に。

気を付けろ、気を付けろ、とマジで自分に言い聞かせながら。

地面に足が着いた時、すごくホッとする。

そして頭の中で小さくガッツポーズをする。

そんな小さな瞬間を1個づつ少しづつ重ねていけば、

私はもう少し開けた世界が見えるのだろうか。

外は秋の風が吹いている、肌寒いけれど少しだけどこか暖かかった。


生活費の足しにします! ありがとうございます!感謝の極み!