初めての彼氏の話 3 マザコンからの幻滅

ファミレス代奢りの一件を皮切りに、彼氏はお母様の話題をよく出すようになった。

ある夏の夜、彼氏と深夜のドライブに行っている最中に彼氏の携帯が鳴った。

お母様からだという。

「多分怒ってる」

と彼氏は言った。

近くにあったコンビニに車を停めて折り返しの電話をすることになった。

すると彼氏は

「車から降りて」

と言ってきた。

当時の気温は28度。
深夜とはいえちょっと暑いししんどい。

「嫌だよ。暑いし。別に私がいる前で電話してもいいんじゃないの?」

と言うと

「お母さんには自分のこと「僕」って言わなきゃいけないから。それ聞かれるの恥ずかしいから出て行って」

と言われた。

当然猛反対し私は騒いだが、あまりにもごねるので結局車の外に出た。

コンビニの中で立ち読みでもして待機しようかと思ったが、当時の私はそれを非常識な行為だからやりたくないという謎のプライドがあったため、外で汗をダラダラに流しながら待機した。

結局電話が終わったのは30分後。
怒りと汗が止まらなかった。

彼から戻っておいでと言われたので車の中へ戻ると

「めっちゃ汗かいてるじゃん」

と笑われた。
誰のせいだよと思った。

結局お母様が深夜に遊び歩くことを怒ったとのことで、その日は解散した。

これと似たような案件もあった。
とある冬の日。

彼と徒歩で近所のファミレスに夕飯を食べに行く(もちろん私の奢り)ことになった。

近所のため、彼の家に迎えに行き彼と一緒にファミレスまで歩いて行く予定だった。

彼の家のインターホンを押すと、しばらく出てこなかった。

1通のメールが届いた。

「お母さんに色々言われてるからちょっと待って」

私は彼の家の前で待った。
この日は雪が降っており、気温は0度。
ガタガタ震えながら彼を待った。

耐えきれず何度も連絡したが彼からは何の返信もなく、45分経ってついに限界が来て帰ることにした。

するとそのタイミングで家のドアが開き、彼が出てきた。

「ごめん、お母さんが夕飯作っちゃったから今日なしで」

そうしてすぐにドアが閉まった。

怒りを通り越して呆然としていた。
冷え切った体でガタガタと震えながら放心状態で歩いて帰った。

その日の夜から悪寒が止まらず、結局発熱してちゃんと風邪を引いた。

その旨を彼氏にメールで話したら、彼から

「あーあ、風邪引かせちゃったねーってお母さんが言ってる笑」

と返信があった。

なんて母親だ。ふざけるんじゃない、せめて一言謝罪しろと思った。

また、彼氏は私と肉体関係を持てないと言った。

どうしてか聞いたら

「お母さんにダメって言われたから」

とのことだった。

大学生。当時私20歳、彼氏21歳。
ちょっとびっくりした。

そのため、本当に私たちはキスまでしかしなかった。
もちろん肉体関係を持ちたくて付き合ったわけではないが、なんとなく不健全な感じがした。

しかし誰とも付き合ったことのなかった私は、あらゆる家庭の方針があって、それを受け入れることが付き合うということなのかなと思った。

でも周りの友達の話を聞くとそんな人はいないし、やはり何かがおかしいのだろうなとも思った。

そんな感じで徐々に幻滅し、段々と彼に対する気持ちが薄れていき、付き合って1年ぐらい経った頃私から振った。

本当に優しくて穏やかで大好きだったので別れたことを後悔する日もあったけど、あのまま付き合って仮に結婚したとしても嫁姑問題で揉めていたと思う。

おそらく別れるのがベストだったのだろう。

ちなみに数年前、バイト先のみんなで集まって飲み会をした際に彼と再会した。
とびっきりかわいい年下の女の子と結婚していた。

特に何の感情も湧かなかった。時は経ったのだと思った。

ただ一つ、奥さんは嫁姑問題に苦しまず幸せになってほしいな、とだけ思った。

終わり

関係ないけど今日寒すぎ。早く春になってほしい。春物もたくさん買ったし。早くかわいい格好をしてポカポカ陽気の中を散歩したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?