見出し画像

横浜市敬老パスの問題点


IC化が起こした問題

2022年にIC化

 横浜市には「敬老特別乗車証」という制度があり、70歳以上の市民が安価に公共交通を利用できるようになっています。
 この乗車証、元々は完全無料だったのですが、2003年に一部自己負担となりました。現在では所得に応じて発売金額が変わるようになっています。
(これは 中田 宏 市長時代の変更です)

 そして最近起きた大きな変化が、表題のIC化です。2022年10月に紙券からIC券へと変更されました。


 実はこれが、非常に大迷惑な変化だったのです。

IC端末の位置が違う!

 IC化されたことにより、専用の読取端末が必要となりました。

 いや、むしろフリーパスなわけですから、本来乗車記録を残す必要もなく、全く無意味・無駄な端末なのです。

 割引方式ならば、この「タッチ」する行為に意味は生まれるのですが、この端末整備だけでいったいいくらが投じられたのかが気になります。
 あるいは、将来的な割引方式への移行の布石なのでしょうか?

 PASMO・SUICAの場合、発駅と着駅の情報から代金を計算してチャージから引き算する。
したがって発駅でタッチ読取不良などがおきると、着駅では料金を算出できないため、エラーが発生する。

 しかし敬老パスの場合はそもそもフリー乗車券方式(広い意味での定期券)なので、料金に応じて差し引くという必要がそもそも無い。
 区間外乗車による不正利用を懸念している可能性もあるが、そもそも鉄道では市営地下鉄しか利用できないので、そもそもフリー区間外で乗降される可能性はまず無い。

 紙券からの変更で一番メリットがあるのは、券面の更新が原則不要になることのようだが…?

話を戻すと、つまりPASMOやSuicaと異なる場所にカードをタッチしなければならないように変わりました。

 横浜市営バスの大半は前乗り・前払い方式なので、誤ってタッチしてもそこまで問題とならないのですが(むしろタッチする必要すら無い)、市営地下鉄の場合は更に面倒です。
 この敬老パスの読取端末が、なんと自動改札機には設置されていないからです。

地下鉄での問題点

 敬老パスで唯一使える鉄道(シーサイドラインは軌道扱いなので、とりあえず除外…)である横浜市営地下鉄ですが、当初はこの敬老パス読取端末が、券売機などのエリアに設置されていました。しかも、”出場用”がまた別に乗り越し精算機の所に設置されていたのです。

 そのため、導入当初はこれを見落としてしまって、紙券時代と同じ感覚で窓口を見せて通ればいいと思った人が後を断ちませんでした。
 駅員からしても、乗降時にタッチしたのかしてないのかをいちいち確認してられないですし、人によってはタッチしたから見せなくてもいいだろうと、窓口を素通りしてしまう人もいたことでしょう。
 これでは無賃乗車の人が混じってもわからなくなってしまいます。

 したがって導入当初、これを案内するためだけの看板を持った案内係が各駅に配置されていたのを見かけました。おそらく主要駅だけではなく、全駅に配置されていたのではないかと思われます。


 のちに、読取装置は有人窓口の方へ”入場”・”出場”用ともに移設されました。これで駅員は、自分の目の前で敬老パスの利用者かどうかをチェックすることが、一応は簡単になったわけです。

移設と言っても、なぜか券売機前にあった元の端末も残っていた。
右側の黒いカバーがかかっているのが、券売機前にあった端末。

 正直最初からこうしろよ、なんて思っていたのですが、実は問題はこれで解決していなかったのです。こちらの画像をご覧ください。

桜木町駅某平日日中の様子。

 …改札窓口に大量の行列ができていることがわかります。
 一方で、手前の自動改札口の方はガラガラです。

 つまり、
・利用者の大半が敬老パスなのに、
・敬老パス利用者は窓口への通行が強いられ、
・読取端末も1組しか無く乗る人と降りる人がかち合う
・その結果、窓口側(写真の場合画面奥側)の階段が常に混雑している。


 …いや、やはり紙時代からの問題ではありましたが、ますまず拍車がかかった印象です。IC化が決まった時に、なぜ改札機の方で対応できるような仕様にできなかたのでしょうか。

 やはり紙のままか、IC化するにしてももう少しスマート化ができなかたのかと思ってしまいます。

 自動改札機の一部を、敬老パス専用レーンに改造するとかできないのだろうか?🤔


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?