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そごう・西武のヘンな決算

 最近ストライキで注目が集まる、そごう・西武について取り上げたいと思います。


決算はセブン&アイの資料から見れる

 そごう・西武はセブン&アイHDのグループ企業だったので、決算もセブン&アイHDの決算資料から見ることができます。

 まずは早速、売上高と営業利益を見てみましょう。

売上高と営業利益

単位:百万円

 …このグラフを見て、何か違和感を感じないでしょうか?

 2013年には約8,000億円あった売上高が2021年には約4,300億円まで、ほぼ半減と言っていい水準まで下落しました。2023年も約5000億円未満で低迷しています。

 にもかかわらず、営業利益はほとんど横ばいです。というより、売上高に対して小さすぎてほとんど横ばいに見えるのです。もう少し拡大してみましょう。

営業利益

単位:百万円

 2013年が約100憶円、売上がほぼ半減した2021年には約▲66億円となっていました。直近2023年は24億円の黒字となっています。
 2020年はギリギリ黒字だったので、赤字だったのは2021年と2022のみです。

注:それぞれ2月〆なので、2020.02なら2019年3月~2020年2月の数値

違和感?

 上の2つのグラフからは、次のような疑問点が浮かび上がってきます。

・2013年と2021年を比較すると、
 売上は約4,000憶円の減収だが 営業利益は約170億円のみ”減益”

・2020年と2023年を比較すると、
 売上は約930億円の減収だが 営業利益は約220億円もの”増益”

 ふつう、売上高と利益は多かれ少なかれ連動しています。
売上が減れば利益も減って、その減少量も概ね同じぐらいになる物です。

 ところが そごう・西武の場合、営業利益の変動幅が小さすぎます。

 そして、2023年に関しては利益の回復量が大きすぎます。
 もしこのぐらいの営業改善がもっと早くにできていたならば、経営が厳しくなる前からもっと増益ができていたはずでしょう。

2023年の営業利益は不自然に多い
(クリックで拡大)


 なお、営業利益率は 2014年に1.29%、2021年が▲1.55%でした。
大減収した2021年でも、実はそこまで悪い数字ではなかったことがわかります。

営業利益率推移(=営業利益÷売上高)
最悪だった2021年でも、▲2%までは至っていない
(再掲)1番最初と同じグラフ。
ピーク時より最大約4,000憶円減収だが、
減益幅は最大▲200億円未満で収まっている?


余談:sogou について

 資料集め中に偶然見つけたのですが、アルファベットで「sogou」と書くと、そごう・西武とは全く関係の無い中国語の会社がヒットします。

Sogou, Inc.」「搜狗公司」

と表記される会社で、いわゆる検索エンジンの(GoogleやYahoo!のような)会社のようです。テンセントの子会社とwikiには書かれています。

※テンセント(騰訊控股) Tencent Holdings Ltd(0700.HK)
中国のIT大手企業。現在は中国国外でのゲーム展開で大きな売上高を誇り、一時は世界時価総額ランキングで10位にまで上ったことも。
Fortniteなどで知られるゲーム大手「Epic Games」の株式の4割を保有している。

 この会社は2017年にニューヨーク市場にも上場していて、ティッカーシンボルにはなんと「SOGO」を使用していたようです。しかし、2021年9月24日以降株価が更新されていません。
 どうやら前述のテンセントが買収したため、非公開化されたようです。

 したがって中国やアメリカで「SOGO」といえばまずこちらのことを指すようです。

 もしかしたら今回の売却先であるアメリカ投資ファンドも、
それと勘違いしている可能性もあるのかも…?


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