マガジンのカバー画像

文庫本とウイスキーをポケットに入れて

15
何十年にもわたり取材の旅を繰り返してきました。プライベートでもいろいろなところへでかけました。そんな旅の途中で出会った人や物や風景や出来事をまとめています。時間をみつけて、文庫本…
運営しているクリエイター

2023年5月の記事一覧

富山のガラス

 富山はガラスの街だ。「富山ガラス造詣研究所」には日本屈指の設備と世界からの講師陣がそろ…

西林初秋
1年前
4

ラハイナまで来た理由

 高校生のころ、片岡義男の世界にはまった。  それは〝はまった〟という表現がぴったりで、…

西林初秋
1年前
6

新宮の原稿用紙

 白浜で仕事があった。その前日の予定がなにもなかったので、いい機会だと考えて朝一の「くろ…

西林初秋
1年前
2

はじまりとしての法隆寺

 大阪に住んでいてよかったと思うことのひとつは、古都が近くにあることだ。  京都が太陽だ…

西林初秋
1年前
2

車窓のツーリストカップ

「スキットルはないけれどこれはどうだ」  バンブーの露天商のムッシュがガラスケースのなか…

西林初秋
1年前
2

室蘭の焼き鳥

 焼き鳥といえば、肉は鶏という思い込みは旅の途中で消えた。  職人をめぐる取材の旅で、そ…

西林初秋
1年前
4

香港の万年筆

 万年筆を使うようになったのは30代前半からだ。  昭和の作家は原稿用紙のマス目に彫刻するように字を埋めていた。自筆原稿などをみるとたいていが万年筆だ。池波正太郎は「男の武器」といい、開高健は「手の指の一本になってしまっている」と書いた。まだ頬に蒼い影が残る文学青年には憧れの文具、それが万年筆だった。  コピーライターの修業をして、独立をし、よちよちした足取りで歩きだしたとき、自分もあの作家のような文章が書けますようにと願い、書きますと誓う意味で万年筆を買った。  はじめて買

野球場のNew York Stats On My Mind

「野球をみにいこう」  はじめてニューヨークへいったとき、連れのひとりがそういった。仲間…

西林初秋
1年前
2

蒸留所の名がないウイスキー

 フランスにおいしいウイスキーもあるのですよ。そう告げるとちょっと驚いた様子のあとで、フ…

西林初秋
1年前
9