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草大福

国道沿いの谷間の広っぱへ
よもぎを採りにゆきます
よもぎなんてババくさいし
男子に見つかったら
ぜったい馬鹿にされるって
はやくはやく 
たくさん摘まなければ

採ったよもぎを湯に放つ
蒸気をすーんと吸い込んで
水にとって冷ましたら
きょうはここまで

あくる日、学校へ行ったけれど
あたまの中は団子でいっぱい
そのへんの色の薄いのじゃなくって
くろぐろとした団子を作るのだ

がしかし 
家へ着いたら
よもぎは大福に化けていた
あんこ入れてきれいに丸めて
ばあちゃん待ってたさ

あたしは なまらがっかりもしたけど
ばあちゃんの顔をじいっと見て
もう一度ちゃんと見た
なんでかとゆうと ばあちゃんときたら
魚を焼いたらこげこげだし
みそ汁は煮詰まってるし
お母さんには意地悪だし
あたしには やさしかったけど
困ったばあちゃんだったから

大福の味、覚えてないけど
魔女っ鼻にしわ寄せて
はんかくさいね
って笑うばあちゃんは
小柄なのに、ごっつい手してたわ

ちなみに口癖の
はんかくさい は
めんこくて仕方ないとゆう意味です

よもぎを摘むたび蘇るばあちゃんと 
大福の山