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『悲しくてかっこいい人』(イ・ラン)読了

本当に個人的な日記を読んでしまったと思った。

しかし、その個人的な日記の中に自分の姿を見つけたとき、彼女にとっての個人的な日記は私にとっての個人的な日記になるのかもしれないと思った。決して彼女の日常を私の日常へとすり替えるわけではなく、自分のごく個人的なことを淡々と記すことは誰かの個人的なところをやさしくノックすることなのかもしれない、と思う。

P68
「もしかしたら、わたしは忘れられないために今も都会に暮らしているのかもしれない。不幸を歌い、その歌をわたしのように不幸な人たちに聴かせるために。世の中にはおそらく、幸せな人よりも不幸な人のほうがずっと多いはずだから。その大勢の人たちのために」

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P171
「お前はいつまで問いかけばかりするつもり?」
「わたしはなぜこんなにも物知りで、なぜこんなにも知らないことが多いのか?」

はじめは、"彼女の問い"から私を見つめていた。
「私は何になりたいんだろう」

「私はこれからどうしたいのかな」

「私が1番大切にしているものは今この手のうちにあるかな」

でも最後の1ページをめくるとき、私は"私の問い"のなかから彼女を見つめていることに気づいた。それは悲観でも励ましでもなく、ただ友達の話を聞いているような。相槌を打つタイミングを逃しながら、彼女の話を、彼女の顔を見つめるような、そういう感覚になった。

슬프고 멋진 사람이 되자.
나는 슬프고 멋진 사람이다.
(悲しくてかっこいい人になろう。わたしは悲しくてかっこいい人だ。)
기쁘고 행복한 사람은 될수없으니까.
슬프고 멋진 사람이 되자. 그렇게 되자.
(嬉しくて幸せな人になれないから。悲しくてかっこいい人になろう。そうなろう。)

私はどんな人になりたいだろうか。

わたしはどうしたって弱い。強い人になりたいのに、どうしたって弱い。
そして考えなくていいことを考えることでしか生きていけない人だ。
考えることで強くなれるわけじゃないけれど、ダイヤモンドが簡単に割れてしまうように、強いだけが強さじゃないと分かっている弱さを抱きしめていたい。

わたしは、
わたしは弱くて強い人になりたい。

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