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#ヘルマン・ヘッセ

シッダールタ(抜粋)

P12 サーマ・ヴェーダの奥義書 《なんじの魂は全世界なり》 13 「最上の賢者のいっさいの知識がこの魔術的なことばの中に集められていた。ミツバチの集めたミツのように純粋に」 51 「覚者仏陀を残し、ゴーヴィンダを残し、林園を去ったとき、シッダールタは、この林園に自分のの今までの生活も残り、自分から離れたのだ、と感じた。自分の心を満たしきっているこの感じを、彼はゆっくりと歩いて行きながら、思いめぐらした。深い水をくぐるように、この感じの底まで沈み、原因のひそんでいるところに

『シッダールタ』(ヘルマン・ヘッセ)読了

『デミアン』からヘッセにハマってしまった私にとっては、案の定好きな物語だった。ヘッセの著書は各出版社から出版されているが、なかでも新潮はていねいな中に少しこってりとした形容を感じる。しかしこれが個人的には心地よい。 シッダールタは釈迦の出家前の名前であるが、ここでのシッダールタは実に人間らしく見えた。仏陀よりもずっと人間臭く、苦悩し、欲にまみれ、快楽を求め、恐ろしく深い自我に堕ち、愛を知り、また自分の人生を見つめ直した。その過程は修行を繰り返していた前半を越えた後半に、それ

デミアン (抜粋)

8 「すべての人間は、彼自身であるばかりでなく、一度きりの、まったく特殊な、だれの場合にも世界のさまざまな現象が、ただ一度だけ二度とはないしかたで交錯するところの、重要な、顕著な点なのだ。だから、すべての人間の物語は、重要で不滅で神聖なのだ」 9 「すべての人間の生活は、自己自身への道であり、一つの道の試みであり、一つのささやかな道の暗示である。どんな人もかつて完全に彼自身ではなかった。しかし、めいめい自分自身になろうと努めている。ある人はもうろうと、ある人はより明るく

『デミアン』(ヘルマン・ヘッセ)読了

なんだこれは、なんとも形容しがたい。それでいて私をひどく高揚させ堕落させ夢想させた。私はこの物語を、今、読まなければならなかったし、それは私自身が導き引き寄せたものだと強く確信した。そうでなければ、この物語に出会うことはなかっただろう。 それだけ私と深く繋がっており、またこれを読んだ人々とも繋がっているのだろう。間違いなく、私にとってこの一冊は人生に値するべき作品だ。 もっと彼がみる世界を見つめてみたい。