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【禍話リライト】「校庭の穴」
怖い話をするツイキャス【禍話】。
この禍話への怖い話の提供者の一人に『花子さん(仮)』という方がいる。
主に【トイレの花子さん】に関係する怖い話を収集しているのだが、
この話はトイレの花子さんとは関係のない、とある学校で起こった【校庭に穴を掘る話】だそうだ。
その学校が現在もあるかは定かではない。
平成一桁台のある時期。
I県の、ある小学校にてそれは起こった。
始めは窓際の生徒からだった。
その生徒等は時折、
「先生、校庭に穴を掘っているやつがいる」
「先生、なんか黙々と穴掘っている人いるよ」
と教師に報告することがあった。
そしてそのような報告を聞いて教師は見に行くが、
そこには誰も居ない。
変な話だが、2名程度の生徒同士であれば見ることができているらしい。
またその穴というのが少量のゴミを捨てることができる程度の穴ではなく、
『マントルをぶち抜いてブラジルに行くつもり』
『運動会の入退場門の為の支柱が立つ位』
とでも言いたくなる程の深い穴だったそうだ。
その穴の中に誰かが入っていて、
中から土を穴の外に出している。
そして例によってそれを見た生徒が教師を呼ぶ。
しかし、穴を掘る人も掘られていたという穴もない。
それが一回、二回なら子供のイタズラや幻覚等で済むだろう。
しかしその光景を見る生徒は徐々に増えていき、低学年の生徒だけではなく、高学年の生徒からも同じような報告がポツポツと上がっていた。
そんなあるとき、
小学校の掲示板にある張り紙が貼られていたという。
『穴を掘っている人なんていません』
という内容でその小学校の校長と教頭のフルネームの連名も書かれていた。
ある生徒は、
(あ~、わざわざこんな事やってるんだ)
と思った。
しかし気持ちが悪いことに、その張り紙は誰が作り、誰が貼ったものなのかが分からないのだという。
よくよく見てみると、その張り紙の文字はその小学校で使われているパソコンの書式の文字ではなかった。
そしてそんな張り紙が、小学校の五、六箇所に貼られていたという。
そのようなことがあり、学校側は保護者や業者のふりをして侵入した部外者がいる可能性を考え、警察に相談したという。
そしてそれらのことを生徒達に説明すべく全校集会が開かれた。
『実際に穴を掘っている人はいない』
『警察に相談して巡回をしてもらっている』
『不審な人を見かけたらすぐ言うように』
といった内容を生徒達に伝えていた。
その時だった。
壮年の事務員の女性が、
「ちょっと、誰か!男の人!」
と話しながら飛び込んできた。
場は騒然としつつも、
体育教師を筆頭に何があったかを訊ねる。
当時生徒だった人曰く何年も経ってから聞けたとのことだが、以下のようなことが起きていた。
丁度全校集会にて、例の張り紙は校長と教頭が貼ったものでないことを説明していた時だった。
事務員の女性は、(気持ち悪いなぁ)っと思いながら、業務のため歩いていると外部の人が駐車するスペースにトラックが停まっているが不意に見えた。
(あれ?今日作業があるなんて聞いていないな)
サンダルに履き替えて、外に出て「あの〜?」と声をかけつつ、トラックに目をやる。
そのトラックの運転席と助手席は無人だったのだが、荷台の上に『今からすぐ作業だぞ』と言わんばかりのニュアンスの、ジャージのような私服を着た人がスコップを持って立っている。
その異様な風貌と光景に戸惑いつつも
「あのぅ、なんですかね…?」
と再度声をかける。
その人物は事務員の女性を見ずにこう話した。
「グラウンドはどちらですか?」
(うわぁ、掘る気満々だ!やべぇ、怖ぇ!)
そう思い事務員の女性は、確実に人のいるはずの全校集会を行っている場所に来たのだという。
それを聞いた体育教師も「それは、怖えっ!」と言いつつ、その場の教師等と共に現場に駆けつけたが、トラックもそのような人物も見当たらない。
しかし駐車スペースには、くっきりと泥だらけのタイヤ痕が残っていた。
誰かがいたことは間違いがないはずだった。
しかし誰一人として車が発進するようなそんな音は聞いてなどいなかった。
いかに事務員の女性が、教師達を連れて戻って来るタイムラグがあったとしても、急発進でもして逃げようものならば、トラックのエンジン音程度ならば聞こえる筈なのにも関わらず…。
皆が凄まじい恐怖駆られた。
そしてもうどうすればいいのかが分からなくなった。
そんな中でふと、誰かが言った。
「わかんねぇけど、お祓いとかがいるんちゃうんか?」
かくして小学校近くの神社にお祓いなり、清めるなりをしてもらえるか相談しに行くことになった。
当の神社は、
「そういうのに効くんですかねぇ?」
「土地の神様とか、関係なかったら効かないんじゃないですかね…」
と困惑し、且つ怪訝そうにそう答えたとのことだが、
「取り敢えずやってください!」
と学校側が強く希望したところ、神社側も
「まぁ、土地を清めるということならやってもいいのかなぁ」
とのことで、それらしいことをしたという。
効果があったのかは定かではないが、それ以降は穴を掘っている人を見たという話しも、変な張り紙が貼られることもなくなったという。
期間にして約半年ほどだった。
また穴を掘る人の目撃は昼間のみで夜間は一切目撃情報はなかったという。
出典:【シン・禍話 第三十九夜 (聞き手の鬼登板回)】
(2021/12/25 )(23:58~) より
本記事は【猟奇ユニットFEAR飯】が、提供するツイキャス【禍話】にて語られた怖い話を一部抜粋し、【禍話 二次創作に関して】に準じリライト・投稿しています。
題名はドント氏(https://twitter.com/dontbetrue)の命名の題名に準じています。
シン・禍話 第三十九夜 12月25日(通算238回目)https://t.co/Nbuspldg2E
— ドント (@dontbetrue) December 25, 2021
庭の茶室/青い物置・補遺/見たことのある……/校庭の穴/悪口娘/犬はいない/煙の仏壇/余寒さんの褒め褒めパワー/中の叫ぶ顔 ★佐藤実さんによる替え歌が適宜挿入されます
【禍話】の過去の配信や告知情報については、【禍話 簡易まとめWiki】をご覧ください。
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