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【禍話リライト】『忌魅恐NEO』より「気まずい写真の話」
怖い話をするツイキャス【禍話】。
この禍話への怖い話の提供者の一人に【甘味さん】という方がいる。
この方は廃墟に赴いては、そこで寝泊りをするなどして廃墟内の雰囲気(或いは怪異の気配等)を味わうことを趣味としているお方だ。
この話は、彼女が【廃墟にまつわる話】として同じような趣味を持つ界隈の知り合いなどから聞いた「そりゃ~大変ですねぇ」っと思った話だという。
ある時仲間内で「甘味ちゃんって、○○っていう学校の廃墟に行ったことある?」と聞かれたそうだが、甘味さんの住んでいる地域から遠いところにその廃墟があった為、訪れたことはなかったのだという。
「県を跨ぐから、なかなかちょっとそういうところには…」
と甘味さんが説明すると、
「あそこで写真撮ると良くないんだって」
と言われた。
甘味さんは廃墟で写真を撮ることはあまり好みではないが、他の廃墟好きの中には朽ちていく建物の様を撮影するのを好むという方もいる。
(じゃあ楽しくないだろうなぁ…ってことはお化けでも出んのかな?でも遠いなぁ…)
その後改めて調べてみるが、やはり遠方にある廃墟であり、行き帰りに時間がかかってしまうので結局行かずにいたのだという。
暫くして、その廃墟の話をした人達とは別のグループの人達と話していた時のこと。「いやぁ…なんかアイツ、やべぇらしいな…A君がなぁ…」と、ある話題が上がった。
グループ内で特段廃墟の話題をしている訳でもなく、甘味さん自身もそのグループには廃墟に寝泊まりをしている趣味のことを隠していた為、その話は本当に偶々聞くことができたのだという。
甘味さん曰く、(一回見たかなぁ?)程度の面識のA君という人物というのが、件の学校の廃墟に関係してしまい、おかしくなってしまったのだという。
甘味さんは「へぇ~」と言いつつ、いやらしい話ではあるが、その廃墟がどんな感じなのかを聞いて、行く行けないの判断をしようとしていた。
そして時間が経ち、2次会で合流したある先輩がそのA君と仲が良く、その話を知っているとのことだった。
当時の季節が夏頃ということもあり、自然と誰かが先輩に対して、「その話知りたい!」とうまく話を振ると、先輩も「あ~、そうなんだよ…」と話し始めた。
「五、六年位かな?あそこ行って、『記念に』って思って下手くそだけど写真撮ったんだよ。でも素人だから、光の映り込みとか全然分かんないから。パッと撮って(どんなんなのかな?)って思って、車に戻ってから見たんだ。みんなで『俺全然撮れてぇね、真っ暗だ~』とか言って…」
「んで、(俺どうだっけ?)って思って自分の見たんだ。撮ったところ誰もいない教室だったんだけど……、実際見てた教室よりもずっと暗く写ってて。3時位に行った筈だからそこまで暗くないはずなのに、カーテンでもしてるのかって位すげぇ暗くなってて。んで、教室の奥の方の習字とか貼ってそうなところに背の低い人影がバァーッとあるのが見えて、(ウワァッ!)っと思ってみんなに見せたら同じように『ウワァッ!こっわ!』って驚いてすぐ消しちゃったんだ。その後みんな『人形とかあったっけ?』とか『そもそもこんな暗くなってんのおかしいよ!』とか『他のところは自然光の明かりで撮れてんのに』とか言って、(怖い怖い怖い…気持ち悪い…)ってなって…」
「それでそのことをこういう集まりで言ったんだよ。そしたらA君だけすっごいビビってて。(あ、そんなにこいつの恐怖の感性に刺さったんだ、悪ぃことしたな。)って思ったんだけど、暫く経ってA君と一対一で会うことがあった時にA君が『あの話聞いてからなんですけど、小学生位の男女の子供たちがいっぱい実家に来て、好き勝手に走り回られたりする夢をずっと定期的に見てるんですよ。これは先輩があの話をしたからだ。』って言うんだよ…」
「でもさ、行ったとこって小学校の廃墟じゃないんだよ。【学校】とか【習字がー】とか言ったけどさ。だから(ん?えっ⁉)って思っちゃって、そこ高校か専門学校とかの廃墟なんだけど。そんなとこで異様に背の低いものがいっぱい撮れたのは怖いけど、現れたとしてそれは子供じゃないだろ?もっと背の低いお化けとかさ。でもA君の奴『小学生』とか『幼稚園位の子が』とか言うんだよね。まぁでも、背が低いって言っても、(高校生でもリアルにこれ位いるかな?)って位なんだよ、前の席にいそうな奴っていうかさ…」
「で、A君周りの奴にもそのこと言ってるらしくてさ、聞いたらいよいよ小学生なんだよ。『ランドセルの後ろちゃんと止めてなくてガシャンガシャンうるせぇ』みたいなこと言うわけ。ただ周りの奴も、(だったとしても別に先輩悪くねぇしな)とか(みんな聞いててなんでお前だけに白羽の矢が当たるんだ)とか思ってたらしくて…」
「それでA君抜きで周りの奴らが、俺に聞いてきたから、『高校の廃墟なんだよな…』って説明して。『じゃあ【制服を着た男女が来た。】とかならまだ話は分かんだよ』とかそいつ等と話しをして、(変だなぁ…高校生が出てくんならまだしも…)って思ってさ…」
「でもそんな話したからなのかねぇ…。A君抜きで話しした2、3日後に、夜寝てたら、外の大通りがすんげぇうるさかったんだ。近くに大学があったから(大学生かなぁ?)って思ったんだけど、(いや違うな、酔った大学生とかじゃないな。これ高校生とかテンション上がって騒いでんな)って思ったんだ。『ワーッ‼』って騒いでっからさ、(こんなうるさかったら誰か『うるせぇ!』って言うんじゃねぇかな?)って思ってたら、その騒いでる声が途中から幼くなっていくんだ…。幼稚園児が鬼ごっこしてる時みたいな声になってて…。そしたら頭ぼーっとしてるからか分かんねぇけど、(子供ならまぁ我慢できるか、子供って遊ぶもんだから)って思って。で、暫くしたらまた高校生位の奴の声になって、(うるせぇな、なんだよ!親は何してんだよっ!)って思ってイライラして。その繰り返しがずっとあって、トランス状態みたいになってて、翌朝めちゃくちゃ疲れてたんだよ…。それに冷静に考えたら、(俺は何を暢気に『子供になった、よかったよかった』って、そうじゃないだろ!?)って参っちゃってさ…」
「そしたら、次の日もそうだったんだよ!こんなことあったんだから怖がる筈なのに最初全然分かんなくて。流石に最後の方になって(待て待て、昨日もあったぞ!)って思ったら、徐々に頭が覚醒してきて。でも声がずっと聞こえてて、(これヤバくね!?ヤバくね!?)って思ってたら、体育会系のノリで頭をゴシゴシって撫でられるみたいに触られて、(ウワァッ!)ってなったんだよ…」
そこまで聞いて甘味さんは、(あ、それはやだなぁ。そこ行かねぇ方がいいなぁ…)とまず思ったという。
そしてA君はどうなったかを聞いてみると、先輩は「いや、その後疎遠になっちゃってさぁ…こういう集まりにも来なくなっちゃってさぁ…」と答え、ひとまずこの話は終わった。
その後、会全体で話していた状況が、徐々に各々好き好きに個別で話しをする状況に変わっていった。
その状況下、甘味さんと先輩とで一対一で話しをするタイミングがあった。
その時の先輩は笑いながら、
「これ実はさぁ、みんなには言ってないんだけどさぁ、A君と俺ってお互い実家知ってんだ。だから年賀状とか送ってたんだ昔。疎遠になってから来てなかったんだけど、来たんだよ年賀状が」
と話したのだという。
甘味さんは「年賀状来たんですか。あっ、じゃあ一応元気なんですね」と相槌を打ちつつ、(さっき話せばいいのにな、みんなの前で…)とそう思っていると、「これさぁ…」と先輩は手にした鞄から何かを出そうとしてきた。
(えっ?持ってんの?)と甘味さんが思っていると、その予想通り一通の年賀はがきを出して、それを甘味さんに見せてきた。
その年賀はがきというのが、幼い子供が書いたかのような滅茶苦茶に下手くそな文字だったという。
恐らくは『あけましておめでとう』と書いているであろう文字以外、判別の付かない文字が大量に書かれていた。
甘味さんが思わず「えっ!?」とリアクションを取ると、
先輩は笑いながらこう話した。
「いやぁ~、こいつ成長してないなって」
流石の甘味さんもこの時は、
(ウワッ!コワッ!『成長してないなって』…?)
と大いに怖がるのと同時に、
(これは、この廃墟に関わってはいけないのかな…)
と思ったそうである。
そして後日かぁなっき氏にこの話を提供した際も、
「流石の私もここには行きたくない、これは良くない」
と漏らしていたとのことだ。
出典:【禍話アンリミテッド 第十四夜 (後半三十分は創作ドラマ?企画)】
(2023/04/15)(35:14~) より
本記事は【猟奇ユニットFEAR飯】が、提供するツイキャス【禍話】にて語られた怖い話を一部抜粋し、【禍話 二次創作に関して】に準じリライト・投稿しています。
題名はドント氏(https://twitter.com/dontbetrue)の命名の題名に準じています。
忌魅恐NEO「気まずい写真の話」「財布の中を一緒に確認する話」
— ドント (@dontbetrue) April 15, 2023
(新企画)蝙蝠亭奇談・パイロット版「アズキニンゲンの話」 pic.twitter.com/ecVBWkPKDU
【禍話】の過去の配信や告知情報については、【禍話 簡易まとめWiki】をご覧ください。
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