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【禍話リライト】「悪口娘」

怖い話をするツイキャス【禍話】。
語り手担当の【かぁなっき】氏のお知り合いの警察官の方から聞いたお話だという。


騒音トラブルがあった。
ある家から「ギャーギャー」と叫ぶ声が聞こえ、
物が投げつけられ、隣の家の窓ガラスや壁に被害が出ている。
即座に警察官が注意できる状況だった。

(これはもう絶対いけるな…、何してんだ?)
そう思いつつ、その家を訪問する。
家の中から出てきたのは、50代位のおおよそボケてしまうような歳でもない人だった。
その人は「何回も何回もうるさい!」と話す。

「隣の人達は、共働きの御夫婦で帰って来るのは夜11時ですよ?」と説明するが、
その人は「暗くなってきてから、ずーっと何回も何回もうるさいんだ」と意に介さず憤っていた。

そこで「何回も何回も何を言ってんですか?隣の人が。テレビの音が大きいとか、話し声が大きいとか、なんかあるでしょ?」と訊いた。

するとその人は言った。
「俺の個人情報喋っている」
「はぁ?個人情報?どこ住んでるとか喋ってるの?」

疑問に思い、話を詳しく訊くと
『小学校の時、テストを隠した』
『中学校の時、店で万引きをした』
そういった、その人の過去の恥ずべきことを大声で話して、笑っている声が聞こえるのだという。

『隣の夫婦の内、誰が言っているのか』を尋ねると
「夫婦じゃない。隣には子供がいるはずだ。」

「え?」っと聞き返すと以下のようにその人は話す。

「2階の部分からワーワーと言ってきて、庭に出て『何だ!』って言ってたら、子供部屋みたいなところの窓から高校生ぐらいの女の子二人が立って、こっちを指差しながらすごい言ってくるんだ!」
「子供のくせにすごい口が立って、その場だと言いくるめられてしまうんだ。口で負けてしまって、(ぐぬぬぅ…)ってなってると、ゲラゲラゲラゲラ笑って、悔しいから物とか投げてたんだ!」



しかし、その夫婦には子供はいないのだ。
むしろ夫婦曰く「そろそろ、一人ぐらいねぇ〜」と思っている位だったという。

知り合いの方は困惑しつつも、
『隣の夫婦には子供はいない』
『そういった年齢の子供を持つ家族や親戚が遊びに来ることもない』
ことを説明したという。


その後改めて隣の夫婦に聞き、家に子供はいないこと、遊びに来る子供も絶対にいないということを確認できた為、全てその人の勘違いだったのだと諭す方向に話がまとまった。
それでもごねるようであれば、完全に精神面の問題だろうとなり、同行してくれた先輩と共にその人に言い聞かせることにしたのだという。

「俺、向こう側に寄り添うから」
などと役割分担をわざわざ決めて、再びその人のもとに赴き、
『調べてみたが、やはり隣には該当するような子供はいない。』
ことを説明した。
すると「あ~、そうなんですか」と、以前の様子から一変して穏やかに話したのだという。

(あれ?役割分担は?)と思いつつも、
すんなりと説明を聞き入れてくれた。

(論理的に言ったら、この人も『自分の心の弱さかな?』とか思ってくれたのかな?まだボケる歳でもない人だし、まぁいっか良かった良かった。)

そう勝手に納得していると、
その人の家の2階から歩き回る音がした。
(あれ、独身って言ってたよな?)
玄関の靴を確認するが、その人が履くようなサンダルやスニーカー、革靴などの履物しか見当たらない。


(アレッ⁉)





どう考えても聞こえるのは、体重の軽い子供のようななにかが、パタパタッと走り回る足音だった。





二人分の。





先輩もそのことに気づいて同じく
(アレッ!?)
と思っていた。

しかし二人共々わざわざ確認したくはなかった。

(ワンチャン、誰かの子供が遊びに来ているかもしれないし…)
そう思うことにしたのだった。

そして気持ち悪さを感じつつも、
「そ、そうですか。まぁ、分かってくれたなら全然!!」
と場を収めて退散したのだという。




これ以降そういった隣人トラブルはないとのことだ。




出典:【シン・禍話 第三十九夜 (聞き手の鬼登板回)】

    (2021/12/25 )(32:14~) より


本記事は【猟奇ユニットFEAR飯】が、提供するツイキャス【禍話】にて語られた怖い話を一部抜粋し、【禍話 二次創作に関して】に準じリライト・投稿しています。


題名はドント氏(https://twitter.com/dontbetrue)の命名の題名に準じています。


【禍話】の過去の配信や告知情報については、【禍話 簡易まとめWiki】をご覧ください。






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