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自らの生と向き合う。罪と生きる。

受刑者のその後に、思いを馳せたことはありますか?
どんな気持ちで服役しているか、知っていますか?

昨日、1本の映画を観てきました。

 

『プリズン・サークル』

 

傑作でした。ここ1~2年で一番心震えたかもしれません。

自宅からは少し遠かったのですが、最終上映日に間に合ってよかった。

 

出所した人の2人に1人が5年以内に再び罪を犯して刑務所に戻る国、日本。
私はこれまでも個人的に、犯罪加害者の逮捕・起訴~服役中~出所後について関心を持ってきました。

再チャレンジ支援機構や日本駆け込み寺に(当時)携わっている千葉さんのお話を聞いたり(リディラバのツアーに参加)、

テレビ番組で取り上げられていた、出所者向けの求人誌発行や就職支援をする株式会社ヒューマン・コメディに注目したりしていました。

 

でも、ここまで鮮烈に生身の心が映り込んだ、魂を揺さぶられるような体験は初めてでした。

6年の交渉の末、日本初となる刑務所内の長期撮影を敢行した制作陣には、感謝... というかどんな言葉を伝えたらいいかわかりません。

 

Therapeutic Community;TCでの活動を通して浮き彫りになる人間の姿。

罪とは?
罪の意識とは?
償うとは?
生きるとは?
自分とは?
刑務所の役割とは?
刑罰とは?

 

私たちは、犯罪者というとすぐに狂った感性、狂暴な顔、荒い気性、汚れた心。。
自分のいる側とは決定的に違う何かを想像し、遠い別世界のこととして処理しようとします。

でも、多くの人が言うように、それはまったくの間違いです。

 

服役している彼らの中にも、たくさんの複雑な環境や感情や行動が絡み合っています。
「たまたま罪を犯さず刑務所にも入っていない人」との決定的・本質的な違いはないと感じます。

生きていく中でうまく消化しきれなかった、表現しきれなかった何かが表出した。
その表出が「犯罪」というラインに触れた、という感覚を抱きました。

※罪を犯したことを肯定したいわけではなく、本質的に考えるとそう言えそうということです。犯罪は、良いか悪いかの軸だけでは絶対に語り尽くせません。

 

誰が悪者か、どんな量刑がくだされるか、そこにばかり関心が向く社会。

私たちは罪を犯した人たちとどう向き合うのか、社会としてどう包摂していくのか。
今、TCプログラムを受けられるのは、約4万人の服役者のうちたった40人だそうです。

 

'20/10/17 最終更新

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