奇跡の回復を読んでの個人的感想
人生において簡単に得れるものなどないと大人になった人は皆わかると思います。
脳卒中も運動能力を丸々奪われるわけで、それをとりもどそうとするのは簡単にはいかないことです。
僕は脳卒中発症から8ヶ月、退院から4ヶ月経ちました。
上肢は拘縮があり、週二の外来リハビリをしていますが、下肢は、杖無し1時間歩行したり、しゃがんで、ものを探したりできるぐらいまでなりました。
しかしまだ、発症前の体の動きにはおよばずやりたいけどできないことは沢山あって、藁をもすがる思いで、今回の本を手に取りました。
初めはティックトックで知り、テレビ番組でやっていたものを編集した動画でした。
奇跡の回復。
動かなかった手が動いた。数ヶ月で、歩けた。
こんな触れ込みです。
脳卒中後遺症に毎日辛い思いしてる人はには希望でしょう。
僕は、脳卒中の回復に関しては、3段階あると思っています。
退院して4ヶ月。自分で車の運転をして、旅行にもいけるようになり、生活にほぼ困ることがなくなっ他僕だからこそ思うことです。
まず、
1段階目は、脳の物理的回復。
2段階目は、壊れたルートの再設定。
3段階目は、失われた筋肉を取り戻す。
奇跡の回復に関して僕の見解は、2段階目の壊れたルートの再設定をことこまかにかいてることなのかな。と思いました。
詳しくは、のちのち書いていきます。
正直言うと、別にゲームの課金や裏技のように、通常の攻略を無視して強くなるようなことでは無いと思います。
脳卒中になって、きちんとセラピストさんとリハビリを続けて、生活に戻れるようになった人からしたら、普通のことが書いてあり、個人的に上手くいったことを、誇張して書いてる感じと感じました。
一部確かに。と思う箇所もありますが、脳卒中の後遺症は、個人個人で症状に差があるため、その中でうまく合うものに出会ったのかなという感じもあります。
なにより自分で考えて行動することをしてらっしゃるので、それはいい事だと思います。
決して、今まで本当に片麻痺で動かなかった人がこの本を読んで直ぐに変わるような内容ではないと思います。
内容とおりにしたとしても、著者さんも何ヶ月をかけていますし、読んだ方が同じようにしても、何ヶ月かかることとなります。
すぐに状況が変わるような気持ちで読むのはやめた方がいいとは思います。
それでも、脳卒中の先人として、自分で病気に対してかんがえて行動すると言う内容をこと細かく記載してることに関しては非常に参考になるかと思います。
先程も言いましたが、人生においてチートのように、段階を無視して、簡単に回復が手に入るようなことはありません。
なので、奇跡の回復にしても、読んだからと言ってすぐに状況が大きく変わることは無いと思います。
方法や考え方のひとつとして、理解のひとつとして考えて、リハビリをひたむきに続ける方がいいかと思います。
回復の段階の話に戻ります。
1段階目は、脳の物理的回復。
脳卒中で、脳に物理的ダメージが起こります。脳出血や梗塞で脳細胞が壊死します。そこに関しては、自然治癒能力で、物理的回復が起きます。
僕の場合は脳出血で、脳を押すように血が溜まり、救急搬送後すぐに処置として、血を抜かれています。
その抜かれた場所には水が溜まり、ゆっくりとまわりの細胞内に吸収されていきます。
水が溜まってる間は、CTにも白く映りましたが、今は、脳の隙間も埋まり、映っていません。
つまり、脳のケガが治った感じです。
僕も医療従事者ではないので、実際の回復について細かくは理解していないのですが、体験者としては、そんな感じです。
2段階目は、壊れたルートの再設定。
奇跡の回復でも語られる、新しくプログラムし直すところです。
僕の理的には、体を動かす情報は、道路で運ばれる荷物のようなもので、脳卒中による脳組織の破壊は、その梱包工場やその周りの道路が寸断されたようなことだと思っています。
脳はその機能の5%しか使っていないと言いますが、日本全国の道路の中で、ある荷物をある人に送るのに5%しかつかってないだけで、それいがいに95%の道路は残っている。と言っているようなことだと思います。
脳卒中を起こすと、そのメインで使っていた道路が寸断されて、うまく運ぶことができません。
特に、指先などは、早い反応で複雑な動きをするために、高速道路などを使って、たくさんの荷物を早く運ばないといけません。ただ、脳の工場も破壊されたので、どの情報が必要かの振り分け作業もできないですし、大きな道路も壊れたので、新しい人員で、荷物の振り分け作業をして、新しく借りてきたいつもより小さなトラックで、小分けにして運びます。
もちろん、たくさんの荷物を今度はうけとる作業もあり、さらに、実際動かすためには、その荷物から必要なにもつを取り出す必要があります。
それまでが大変という訳ですね。
Amazonの倉庫や倉庫周りの高速道路が破壊されたら大きな混乱が起こると思います。上手く運ばれなかったり、配送の機能すら失われたり。
片麻痺とはそういうことだと僕は理解しています。
そして、それに気付いた時に、当時のセラピストさんとも、その話で、わかりやすいですね。と話しました。
この著書奇跡の回復は、この破壊された配送システムを修正する作業が細かく書かれている感じです。
最後に3段階目は、失われた筋肉を取り戻す。です。
こまったことに、実道路は壊れて治すとほぼ新品となりますが、実際の体は、使わないと、筋肉がどんどん落ちていきます。
脳卒中で倒れるとしばらく命の危機や身体に重大なきけんがありますので、すぐには動けません。
毎日何回も検査したり、常に心拍を見ています。
その状態が落ち着いて、リハビリができるまで、一二週間ほどかかります。
僕の場合、1週間ほどで、口からの食事がとれはじめて、2週間で、最低限のリハビリの開始、3週間で
リハビリ病院への転院となりました。
その間、食事は、えんげや消化の問題で、流動食のような感じで、ガンガン筋肉が衰えていきます。
僕の場合、まだ37歳だったこともあり筋肉量があったのかわかりませんが、体重は一気に15kgほど落ちました。
体の中で1番エネルギーになりやすいのが、筋肉なので、筋肉から落ちていきます。
リハビリ病院に転院して経つ練習をする頃にはびっくりするほど、足が痩せていました。
もし、御年寄なら、元々筋量が減ってるでしょうし、必要な筋力がもっとおちることになると思います。
リハビリ病院では、本格的なリハビリがはじまりますが、リハビリをするに連れ、これは、片麻痺より、寝込んでいた間に落ちた筋力がなくなったほうが動かすのに辛いと思うことがありました。
もちろん、片麻痺によるコントロールのできなさもありますが、コントロールできてるのに筋力が足りずに維持できないというばめんがたくさんありました。
未だに、左腕の肩周りの筋肉が衰えて左腕がうまく上げれません。
高齢の方の中には、座る筋肉がなくなりすわることすら維持できずに、廃用症候群(つまり寝たきり)になることが多いようです。
むかしのように脳卒中の回復段階がまだ医療的に揃ってない時は、脳卒中自体より、そのまま寝たきりで死んでしまうことも多かったようです。
なので、
失われた筋力を取り戻すことは非常に大事です。
元々身体を動かす人はいいですが、あまりそうではない人は、片麻痺でコントロールできない身体を使ってさらに気力のいる筋トレをするのにめげてしまう人も多いですし、今度は身体を痛めてしまう場合もあります。
それがないようにセラピストさんがいると思いますし、痛みが出ないようにした上で、効率良い筋力トレーニングを考えてくれます。
なので、片麻痺の回復に関しては、
まず、脳自体の回復、そして、それに伴ってからだの重要な維持のための回復、そこまできて、脳のルートの再設定が出来ると思います。
そして、それを維持するための筋力強化。
実際にAmazonの工場や周辺道路が壊れたら修理されるまで何日もかかるように、身体の中でも細かく細かく工事が行われます。
大きく損傷を受けた箇所は、何ヶ月も何年もかけて直されるでしょう。
日本で起きた大きな地震でも、道が直されて交通が回復するのになんねんもかかっています。
そんな風にして、ゆっくりゆっくりあなたの脳や身体も工事が行われています。
なので、
何十年もかけて積上げてきた、配送方法が、また同じように戻る日はまたゆっくり何十年かけて人員を育てて、トラックを集めて、運転手の熟練度をあげて、スムーズに行えるようになるまで、毎日続けるしかないのです。
明日大型ヘリコプターで運ぶようなシステムにとって変わるとしたら、医療技術があがって、ナノマシンや、脳波の読み取り操作ができる義手ができるような日だと思います。それは個人の努力ではどうしようもないので、研究者さんのがんばりに祈りましょう。
という感じで、奇跡の回復に関しては、
読んだから急激に回復すると思って読むのはあまりおすすめ出来ないという個人的な感想です。
個人的には、たくさんの体験談を読んで、脳卒中にたいして理解力を深めて、セラピストさんとの判断や症状を細かく伝えてやりたいことや状態の共有精度を高めることは回復に凄くいいと思います。
僕自身も、回復期の6ヶ月を過ぎ、急激な変化は望めないと感じて、毎日諦めずに身体と対話しながら、大きな筋力の低下が無ければいつか、自分の感覚と動きに違和感がない日が来るんじゃないかなぁ。ぐらいで考えています。
なにより、奇跡の回復では、著者の回復方法の記載のために、セラピストさんのリハビリがまちがいのようにかかれていることがありますが、僕個人では、セラピストさん含め、看護師さん、医療従事者さんがいて、患者さんのことを考えてくれているからこその回復だと思います。
奇跡の回復は、著者さんがかんがえたことがたまたまうまく本人に合っただけで、実際は、周りの医療従事者さんの方が、たくさんの患者さん、たくさんのパターンを知っているので、確率的には、セラピストさんと意思疎通を測って、セラピストさんのたくさんの経験の中から自分に合うリハビリを取ってもらう方がいいとは思います。
もちろん、自分で調べたり体験談を読んで、自分にかさなるところがあるなら、そこを含めてセラピストさんに相談するのがいいと思います。
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