見出し画像

どぉなっちゃってんだよ

 子供のころは、目に映るものすべてが輝いて見えた。

 懐古厨。そうなのかもしれない。ただ、昔を振り返る余裕があるかといわれたら、そうでもない。生きるために身も心も削って働く大人にはなりたくなかった。けど、今の時代、ただ生きるためだけに身も心も削る必要がある。

 通勤電車では、加齢臭臭いおっさんや香水まみれのおばさんに囲まれて、会社に行けば、口うるさい上司に(自分は何も出来ないのに)書類の細かい箇所まで粗さがしされ修正、ゴマすりばかりのコバンザメが出世していく様子をただただ眺める日々。SNSではくだらないことでマウントを取り合い、相手を傷つけることで自分を肯定していく哀れな電子人形。

 頭のまわりを揺蕩う黒い靄が消えない。
不安、葛藤、心を押しつぶすような圧迫感。気付けば、意味もなく無意識に溜め息ばかりついている。

 この世の中の空気は、とてつもなく重い。呼吸、肺に侵入する空気、鉛のような色形、ずしりという音が聞こえる。そう、確かに聞こえるんだ。

 人生頑張ってんだよ、みんな。馬鹿にすんなよ、社会風情が。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?