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【ロードレース】芋掘りについて調べてみた

今年の「超つまんないジロ」も終わった(ただし一位の某自転車星人が居なかったことにするとなかなか面白かった)ので、いわゆるロードレース用語のひとつ、「芋掘り」について調べてみた。

「芋掘り」自体は先行する選手を後方集団から追い上げようとアタックしたものの、ブリッジに失敗して追いつけず集団に戻ってしまうことを言う・・・までは何となく知っていた(正しいかどうかは確証がなかった)が、じゃあなんでそう言うようになったのか?までは知らなかった。

そこで知りたいおじさんを発動していろいろググってみる「芋掘り ロードレース 由来」など。日本語のサイトは大抵栗村さんがツールの実況でそう言ってるとか、「フランスでそう言われていたらしい」くらいしかない。

次にいつも「知恵●●●」とバカにしている(ごめんなさい)Yahoo知恵袋が引っかかった。回答がちゃんとしていてフランス語の原典のリンクを提示している。が、残念ながらリンク先が死んでいた。

そこでリンク上のキーワード「Rouler en chasse patate(るーれー・あん・しゃす・ぱたと:芋追いに乗る)」でググってみる。今度は海外のサイトがポンポン出てきた。

まずその一つをみると

「What is Chasse patate?」と題してとうとうと述べられているその内容は、なんと「先頭交代のテクニックである」と書いてある。え?ホンマかいな。さすがにこれは嘘くさいぞ。英語で書いてあったらなんでも正解というワケではない。

やはりというか、それ以外の結果ではほぼすべてが我々が理解している芋掘り、つまり「ブリッジ失敗」について書いていた。たとえばここ

Chasse Patateとは、フランス語で「芋狩り」という意味。逃げのライダーと集団の間にいるライダーが、いくら頑張っても逃げに追いつかないとき、彼らのことを「芋狩り」と言う

なるほど。ここには「chasse」は英語で「hunt」の意味だと書いてある。だからいわゆる日本語で言う芋「掘り」とはちょっとニュアンスが違うんじゃないかと言う気がしてきた。

もう少し別のサイトをみると、さらに詳しく書いてあるところがあった。

「フランスの自転車業界用語解説サイト」みたいなところだ。ここによると

「意味としては「芋追い」。古いフランスの自転車用語だが、既にイギリスでも辞書に載るほどになっている。
グランフォンドの集団で先頭を引いてるときに、自分が一番強い状況だと思いねぇ。そこでいっちょ逃げを捕まえてやろうとアタックするわけだ。ところがヤバいことに逃げがどれくらい逃げてるかわからないから、賭けみたいなもんだ。
で、結局逃げに追いつくこともできないし、かといって集団に捕まることもない。なんとも中途半端な状態ってわけだ。

French Cycling Jargon: Rouler en chasse patates

なるほど・・・自分の理解ではブリッジに失敗したあげく集団に飲まれてしまうこと、と思ってたけど、これを読むと逃げには追いつかないし、集団からは逃げたままの状態を指すようだ。

日本の用語解説サイトではどちらのニュアンスもあったけど、どうやら原典的には「中途半端な状態」が正しいようだ。

もう少し調べてみた。

wordreferenceというサイトのフォーラムである。「être en chasse patateの意味を教えて」という問いかけだ。「être」とはフランス語の「be動詞」に相当するものなので「芋追い状態になること」と言える。

回答者たちは口々に上記同様の「ブリッジ失敗してどっちつかず状態に陥ること」「散々苦労したあげく徒労におわること」などと解説しているが、その中にひとつ興味深い回答がフランス語の原典を提示していた。

1913年から1958年まで、そして1984年から1989年まで開催された「パリ六日間レース」(Six jours de Paris)で生まれた表現と言われている。

レース中には何度か補給の機会がある。あるライダーが補給している間、他のライダーはその機に乗じて先行してしまう。補給したライダーは当然、スプリントして追いつこうとする(チェイス)。

しかし、このスプリントは掛かりが悪く(食べたばかりだから)結局追いつけないことが多かった。これを「Chasse patate」と呼ぶようになった。

その延長線上で「芋追いをする(芋追いになる) 」という表現は、レースで特に逃げでもなく集団でもないポジションに一人でいることを指し、努力してもほとんど失敗する運命にあるライダーのことを言うようになった。

逃げ集団の後方で不利な状況になると、もはや先頭集団に追いつくのは非常に厳しい。彼にできることは二つだけ。
①あきらめる、つまり体力の消耗を抑えるために力を抜く(集団に戻る)。
②たとえ無駄に体力を消耗することになっても、勇敢に逃げを捕まえるために追い続ける。

※これは引用の引用(の意訳+わかりやすいように補記)

どうやら(確証があるわけではないけれど)これが最も確からしい言説ではないかと思われる。

なるほど・・・芋掘りか・・・まぁ私はトラ屋だから関係ないんだけどね(笑)言葉って面白いね。

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