‘23 3月
Relating To A Psychopath
3/3
丈宅で音羽のバースデーを祝った。音羽は思い切り弾けたパーティー調のパーティーをしたがっていたので、バルーンでリビングを飾り、花を沢山飾り、美沙と玲奈を呼んだ。
料理は知人のケータリング業者に任せた。鮮やかな彩りの創作イタリアン。
1番の盛り上げ役の丈は仕事でどうしても帰りが遅くなると言う。音羽が淋しそうなのを感じ取ってか、直がニコニコと音羽の側に付き従っている。
美沙は子供達を親に任せ駆け付けてくれた。毎日赤ん坊の世話でストレスが溜まっている筈だ。パーティーで発散して欲しい。
玲奈はすっかり音羽と親しくなっているので喜んで参加してくれた。
音羽と美沙は主従契約式の時と同じドレスで、サンローランとバレンシアガ。玲奈はラフシモンズのドレス。3人ともブラック・コーデだがそれぞれの肌や髪の色の差が際立ち華やかだ。
「今日は無礼講だよ、おめでとう、乾杯!🥂」
俺と玲奈と直はシャンパンで、音羽と美沙はフレッシュジュースで乾杯をする。
「ダディ、パパを手懐けてくれてありがと、なんだかわたしの思い通りに行き過ぎて怖いくらい 笑」
美沙が背伸びをして俺の頬にキスをする。俺も美沙の髪にキスをして応える。
「お前も俺に似た力があるんだよ、お前は俺の腹奴だが、大吾に対しては結婚する前からドミナントだったんだよ、本物のドミナントだから何だって自分の意のままなんだよ」
「バリエグい、ダディに惹かれた時点でもうこうなるって運命だったのかも」
「ハハハ、そうかもな、大吾はすっかり俺に飲み込まれてるし、安心しろ。あとはそのうち托卵を明かした後、お前がドミナントだって自信持って大吾に接すればいいんだ。いつか彼奴の背中でSEXしてやろうぜ 笑」
「ヤバ、濡れる。待って、ワンちゃん達が可愛いんだけど😍」
美沙は床に転がって戯れ合っている直とヴィルヘルムに近付き、犬用の玩具やボールで犬達を遊ばせ始める。キュートな光景だ。
音羽と玲奈はダイニングで話し込んでいる。
「何話してんだ?」
「武士さんには内緒」玲奈が悪戯っぽく応える。
「俺王様だぞ」
「王様でもダメ、女同士の秘密」
スケルトンモチーフのブレスレットが妖しい手首が音羽の肩を抱いている。真っ赤なインナーカラーのボブヘアを揺らして玲奈はケラケラと笑う。
「音羽」と音羽の目を見詰めると、観念した音羽は口を開く。
「王様と玲奈さんの昔話」
「くだらないこと音羽に吹き込むなよ」
「玲奈さんとご結婚されたら素敵なのに」
「無理だろ。俺は結婚より王として王国築く方が向いてる」
「でも王様には王妃様がいた方が…🥹✨」
音羽はすっかり玲奈の魅力に参っている。2人とも神秘的なところがあるが、玲奈のエキセントリックさは音羽の心に良い刺激なのだろう。
「あたし達、ケンカばかりになっちゃうからね。何度も別れてくっ付いて。まああたしもなんだかんだ武士さんには逆らえないんだよなぁ」
「お似合いです、ファビュラスなカップル🥹✨」
「勿論玲奈が子供欲しくなったら俺の子以外許さんけどな」
「聞きました?、愛の告白、ラブリー…🥹✨」
「いつも言ってるよ、武士さん、ね?」
「ん、特別な意味は無い」
「でも、でもわたしのバースデープレゼントに、誓い合っちゃって下さい、ぜひぜひ🥹✨」
「じゃあ誓うよ、音羽に宣言するよ、お前にあと2人産ませる」
「はぐらかされたー、ぴえん🥺」
俺は笑いながら直と美沙の方に向かい逃げる。
玲奈と俺は確かに結婚を考えたこともある。だがこれは型に嵌るのを嫌う愛なんだ。縛られない愛だから2人らしくいられるんだ。
王妃か…、音羽の言うように王国が栄える中に妃の冠が煌めいていてもいいかも知れないな。だが未だ直の養子縁組も済んでいない状況だ。俺の結婚などややこしいことは考えたくない。と思いつつ、この日の夜を過ぎても妙に心に引っ掛かり疼かせる言葉だった。
「直、音羽と仲良くなったか?」
「は、はい!」
「これからどんどんお腹が重くなるから家事はなるべく手伝ってやるんだぞ。音羽もお前が聞き上手だから一緒にいて楽しいって言ってるよ」
「……☺️」
「執事としての心構えを持てよ。お前は俺のサブミッシブであり奴隷であると同時に、今後は王国の全てを執り仕切り、サブ達全員をケアし、ドム達さえもサポートするんだ」
「はい!」
「音羽をケアすることで、話し相手になることで、学べることも沢山ある筈だ」
「はい」
「丈はどうだ?」
「丈さんは赤ちゃんをとても楽しみにされています。悩まれたりしたら、僕が励ますつもりでしたが、ご主人様の子を育てることに迷いは無いようです。本当に心が明るくて、曇りの無い青空のような人です」
「うむ」
「か、あの、カッコ良いです」
「ん?」
「ご主人様がカッコ良いです、サブミッシブ達を心酔させて、迷わせない。から…、その、立派なご主人様だから皆安心して付いて行きたいって思えるし、普通じゃないことも、不安にならないんだと思います」
「お前生意気によく喋るじゃんか」
「申し訳ありません!、黙ります😰」
「ハハハ、今日はパーティーだよ、気にすんな」
俺はソファに座り、足元には直とヴィルヘルムが伏せている。ガラスケースのモダンな暖炉の炎越しにさんざめく女達3人を眺める。
去年音羽と美沙と出会ったことで俺の人生の軌道は大きく変化した。俺がより俺らしくあれる方向へと。Dominantとして、王国を築く王として。
彼女達から受けたインスピレーションは計り知れない。俺のsubmissiveは霊感を齎らすミューズだ。俺のビジョンをより明確に鮮明に強固にしてくれる。
また自らの身体を俺に捧げ、王国の未来を担う王子達を産む腹奴というポジションは俺の王国独特の女submissiveの在り方だが、それを当然の如く引き受けイキイキと輝いている彼女達には感謝しかない。
俺が引き寄せたのか、彼女達が引き寄せたのか、俺と彼女達の遺伝子は惹かれ合い、新しい命を創り出した。今日は改めてその命を祝福したい。
この奇妙な共同体は俺の見た夢なのか、直の見た夢なのか、女達の見た夢なのか。未来のプリンス・プリンセス達の見る夢なのか。
縁とは一体何なのだろう。重々無尽の今に在る不思議を思う。
俺達の作り出したこの強力な磁場は、今後更なる縁を呼び込み、仲間を惹き寄せる渦となるだろう。
窓を開けた時
3/5
直とヴィルヘルムの散歩に出かけた。
ヴィルの散歩に付き合うのは初めてだ。
直は常日頃俺の10歩後ろを歩くように躾けてあるが、犬の散歩では逆に俺が直とヴィルを追うように歩く。
公園に着く。木立の中を歩く直を後ろ姿に俺は感動する。ただ犬を連れて歩くその姿が、コンテンポラリーダンスのように新鮮に感じた。
犬を飼って良かった。
弟犬を躾けることで直の目に兄貴分としての凛々しさが宿った。
「丈んとこに遣ったからな…、毎日お前の風呂やトイレの世話してやれなくなってすまないな。さみしいよ。
お前を犬として扱ってる時が俺の1番の癒しなんだ…」
歌うように小さく呟く。ずっと前を行く直には聴こえなかった筈の言葉。
直とヴィルがくるくると駆けながら、俺を振り返って、ワン!と応える。
鈴次郎
I Love Youからはじめよう
3/7
宗治のマンションに遊びに寄った。
直がいない家に帰るのが寂しい、そんな訳でも無いが、主従をする前の独身貴族だった俺はもういない。情けないことに何となく人恋しくなっている。
宗治とはプライバシーを干渉しない距離感で、ただ2人で会っている時間にはイチャついている関係だ。
だがどうしても俺の悪い癖で、惚れさせるように仕向けてしまう。目で、指で、オーラで。
宗治はストレートだが、男同士の絆が好きな奴だから、俺とは恋愛ごっこのようなことをしてくれている。だがさらに本気で俺に落ちるよう、ついつい甘い言葉を囁いてしまう。
「俺去年までは男となんか想像もつかなかった」
「そうなんですねぇ」
「宗治の顔好きだなあ、見ているだけで幸せな気分になる」
「惚れてくれてもいいですよ」
「なんだよそれ、ズルいな、俺のセリフだよ」
「武士さんのセリフって何ですか?」
「こういうことだよ」
俺はキッチンに立つ宗治を後ろから抱き締める。
「熱いの当たってます」
「欲しがってるんだよ、中に入れてくれって」
「だめです」
「どうしても?」
「どっちかが女役になるのは嫌です」
「キスしよう」
「キスは好きです」
手を繋ぎ舌を絡め合うだけで、イってしまいそうなくらい気持ち良い。
男との肌の重なり合いは女とは別次元だ。男と女は重なり合い、融け合うように出来ている。男と男の場合はあくまで寄り添い合うだけだ。
プロ並みに美味いボロネーゼを食べながら、ワインを飲む。
「宗治、料理美味いんだな」
「好きな人と食べるのが好きなんです」
「好きな奴、いんの?」
「おかわり、食べますか?」
此奴はモテてきたんだろうな。俺は苦笑しながら、皿を差し出す。
ベッドで抱き合いながら、宗治の過去の話や夢や不安を聴いている。
俺のフィールドとは畑違いだから碌なアドバイスも出来ないが、前を向いていれば、希望を持っていれば道は拓ける、というような話をした。
俺の亀頭を舐めさせながら、頭を撫でる。我慢汁が止めどなく溢れ、宗治はニヤニヤしながら「しょっぱい」と言う。
射精したい訳では無いから適当なところで止めさせる。
「武士さんの、何か肉食べてる気分になりますね 笑」
「ハハハ、ぶっといからな」
腕枕で抱いてやり、宗治の乳首を優しく愛撫する。
「ヤバいです」
「何が?」
「乳首弄られると、キュンキュンします」
「じゃあもっとキュンキュンさせてやる」
「あぁ…!」
甘く淫靡な戯れの最中でも、宗治と俺の背後には爽快なトランペットが鳴っているような明るさがある。
宗治には湿度が無い。明るさやノリの良さは丈に似ているが丈の感受性はウェットだ。宗治はカラッとしている。俺は宗治と触れ合うと、明るい気分になれるんだ。
宗治とどうなりたいんだろうか。俺は何故宗治の部屋にいるんだろうか。subにしたいのか、奴隷にしたいのか。今は全くそんな気持ちは無い。
だが俺はいつも無意識で大切な未来を引き寄せる。宗治についてもきっと何か意味のある縁なのだろう。
乳首を摘んだり捻ったり、爪先や指の背で撫で回したりしながら、「好きだよ」と囁き続ける。
「好きなんだ」
「俺も…」
「俺も何?」
「好きです、ん…、気持ちいい…」
宗治のように明るい光を纏う男は、その影に孤独や傷を抱えているものだ。心の中に無数のすり傷があるだろう宗治が、愛おしい。誰にも明かさない寂しさが愛おしい。
キスをしながら、唾液を味わいながら、俺は宗治の未来の嫁を寝取ることを夢見ていた。
宗治に傷を付けたい。宗治の傷になりたいんだ。
Love’s Divine
3/11
直と音羽と丈を連れて、美沙の実家に行って来た。
美沙の両親が遠出するタイミングが出来たので、「お茶しに来て、仁士抱っこしに来て」と催促されたのだ。
先月産まれたプリンス仁士のことはビデオ通話で何度も目にしてはいたが、なかなかタイミングを掴めず実際には会えずにいた。
音羽も身重で出不精になっている。気分転換になると思い皆で出かけた。
到着すると美沙が仁士を抱いて笑っていた。優吾が美沙の脚の後ろで恥ずかしそうにしている。
畳の客間に通され、大吾が俺を上座に座らせようと恭しく接待する間も優吾は俺と目が合う度に照れている。可愛い。
「ダディ、ほらあ、早く抱っこして!」
「よしよし、おー、やっぱり噂通りデカいなあ」
「ヤバっ、写真写真、スマホ、ほらパパ、スマホ!」
仁士は俺にそっくりでふてぶてしい赤ん坊だ。
「ねえ、ダディにそっくりじゃね?笑」
美沙がケラケラ笑っているが、大吾の前でよく平然と言えるよな。托卵については俺が頃合いを見て告げると話し合っていた筈だが…。
大吾の顔を見ると、笑顔が固まっている。音羽と丈は顔を見合わせて口を噤んでいる。俺は苦笑しながらも仁士の重さを愛おしく感じていた。
「ダディ、子供好きなのに結婚しないんだもん、変だよねえ」と、美沙が仁士に話しかけ戯ける。
「なんか迫力。圧があるね、仁士ちゃん」音羽は感心して言う。
丈は優吾に懐かれて、背中におんぶさせている。
「ねえ、優吾ちゃんも武士さんに似てるね」
音羽が空気を読まずにいい加減なことを言う。大吾はますます目が泳いでいる。
「あっ、俺も思った!、フィー🥳 不思議っすねえ」
丈がはしゃいで相槌を打つ。
「ヤバ、言われてみれば似てるう。ねえ2人ともダディの子かもよ、パパ、どうする?」
美沙が意地悪く満面の笑みで大吾を揶揄う。
「ふぁ、ハハハ」
「大吾をいじめるなよ、なあ、仁士」
仁士は仏頂面で手足をバタつかせてママの懐に戻りたがっている。俺は仁士を美沙に渡すと、離れて正座していた直を呼んで、指を鳴らし犬にした。
伏せの姿勢で俺の傍に座らせ、優吾を呼んだ。
「お前いくつだ?」
「優吾、何歳?って王様に教えてあげて」と美沙。
「◯さい」と照れて体をくねらせる優吾。
「優吾は犬好きか?」
「うん」
「この犬、すなお、て言うんだ、仲良くしてくれな」
「?、お兄ちゃん、犬なの?」
「そうだよ、撫でてみろ」
優吾に撫でられると、直はクーンと鳴く。
「ふぁ、おっきなワンちゃんだね💦」
大吾は俺達に調子を合わせてくれ笑っているが、目が悲しく潤んでいる。托卵を確信したか?
「直ちゃん、今うちに住んでるんだよ。うちのヴィルってワンちゃんと兄弟なの、今度皆でドッグランに行こうね」
音羽が優吾に優しく微笑みかける。
「おいで、優吾」
俺は胡座の脚の上に優吾を座らせる。占い師に、托卵の仁士よりも血の繋がらない優吾の方が縁が深いと聞いている。俺は出来るだけスキンシップをして、優吾のバイブレーションを感じてみたかった。
顎髭で優吾の頭を撫でると、フフフと笑いながら「チクチクするぅ」と言う。
「チクチクするの、嫌いか?、ん?」俺はブルブルと股座を揺らして優吾の尻を震わせる。
フフフと笑って恥ずかしがっている優吾の様子を、美沙は悪戯な目と不敵な笑みで見守っている。将来息子を俺にsubとして献上する気なんだ。大した母親だ。
俺は後ろ手を付き腰を激しく動かして、胡座の中で優吾を弾ませて楽しませる。
キャッキャとはしゃいでバウンドする優吾を、直は優しい顔で見上げている。
俺の脳裡に、直に優吾を教育させてみてはどうかという考えが浮かんだ。美沙や俺が下手に洗脳するよりも、submissiveの長である直から自然に影響を受けて育てば、精神的にもバランスを崩さずにsubになるんじゃないか。
何しろいずれ弟の仁士はプリンスとしてDom扱いをしてゆくことは既定路線だ。優吾が王国の世界観や身分の差を喜べるように成長するには、直が鍵になるだろう。
音羽に対してもそうだが、俺は美沙に対しては一生贅沢三昧させてやるつもりだ。腹奴(はらめ)という制度は運命的に生まれた。俺の托卵と主従の美学が融合し、王国のビジョンの中でリアリティを持ったのが、腹奴だ。
主従に目覚める以前の托卵では、出産祝いもバースデープレゼントも、旦那の手前最低限の物しか渡せなかった。裕福な家庭をターゲットにしては来たが、どこかに子育てに参加出来ない罪悪感のような気持ちがあった。
音羽と美沙には遠慮無く金を費える。子供と夫婦の為に家を買い与えたり、大吾を俺の会社で世話をすることも、彼らを俺の王国に招き入れたからこそ可能になった。
俺は夫婦を支配するDomで、王だ。
俺の子では無い優吾も、必ず支配する。それは美沙の子に生まれた宿命だ。
優吾よ、己が身を憐れむ必要は無い。俺に支配されることの幸運は両親や直や丈夫婦が証明している。
今後とも宜しくな、優吾。
3/12
直と大吾と買い物に出かけた。
直の春夏のカジュアル服やスーツ、大吾のスーツのオーダーメイドの為だ。
大吾は昨日の夜、一件だけLINEを寄越して来たが、托卵についての疑惑を言葉には出来なかったようだ。面白いからもう暫くは苦しませよう。
銀座に出かけ、先ずは昼飯に特上の天麩羅を食べる。直と大吾を両脇に従えてカウンターに座る。気分が快い。
「直、どんだけ出(射精)して無かったっけ?」
「分かりません🐾」
「大吾、これが正しい奴隷の在り方なんだよ。いつ出したかなんかどうでもいいんだ。管理されてるが、数字にも拘らない、ただ単に俺の所有物なんだ。どう思う?」
「ふぁ、なんだか緊張するお話です😵💫」
「お前だってもう俺のもんなんだよ、勝手にオナるなよな」
「ふぁ、あ、はい分かりました💦」
「東京越して来たら、貞操具嵌めてやるからな」
「ふぁ」
「そうしたらお前ただの物なんだよ、男じゃない、雄とは言えない。物。俺の所有物」俺は大吾の耳元で囁きながら、奴の大きな背中をさする。
「ふぁ…」
「出張から帰って来たら大事な話がある。次に俺と会う日まで、毎日LINEでその日何回勃起したかを報告しろ」
「は、はい」
「きちんと報告出来たら褒美をやる」
食事の後は何軒もブランドをはしごし、大量の買い物をした。
ヒューゴボスでは巨漢の大吾に合わせて採寸をしオーダーをした。
その合間、俺は戯れに丈にLINEをする。丈は晶とデートをしているのだ。
俺は「貞操具ん中充血させるなよ」「プリンセスの前でまさか貞操具ん中充血させてないよな?」「勃起はセクハラだぞ」と揶揄いのメッセージを送る。
丈は俺からメッセージが届くだけで勃起する身体に改造されているので、こんなたわいも無い遣り取りだけでも十分な調教なのだ。
デパートのエスカレーターの上やエレベーター内で人目が無い隙に直の腹を殴り、尻を蹴る。
「アッ、ありがとうございまス…」
俺と離れて丈宅に居、俺とのスキンシップが減っている今、公の場での小さな加虐でも脳が痺れるような甘美な悦びになっているようだ。
俺が殴る度に直の声は上擦り、蹴る度に耳が紅く染まっていく。
その様子を眺めている大吾に向かって、不意打ちに拳を振り上げ顔を殴る素振りをする。大吾は目を閉じるが身体は動かない。
俺は「ハハハ」と笑い、「凄いなあ、そこら辺のマゾと違って天然だからいいよな、ビクともしない」と大吾の肩を叩く。
直が一瞬嫉妬するような目で俺を見るが、すぐに目を伏せた。
「直も偉いぞ、音羽の家事を手伝ってるし、料理も勉強してるし、良いサブミッシブだよ」と声を掛けて頭を小突く。
直は唇を噛んで満面の笑みになった。
3/13
直と音羽の作るケールのサラダ、ブロッコリーとささみのからしマヨ和え、アスパラとベーコン炒め、根菜のコンソメスープ、玄米ご飯、優+。
直はおそらく俺のダイエットを厳しく管理したいのだろうが、俺の前では緊張してしまって口ごもり、遠慮してしまっている。
執事になろうという者がそんな弱腰でどうする。そう叱ってやってもいいが、直が自発的に俺に対して強く出れるようになる時を待っている。
時折直はジトッとした目で「ご主人様、今週は体重は計られましたか」と訊いてくるが俺はすっとぼけてる。
主従を始めて以来、俺は毎日ケーキを食べ、アイスクリームを食べてしまう。これはDomあるあるだと思うが、人を支配する時にDomはオーラなのかフェロモンなのか何か分からないが、何かを全身から発散する。それは神経を消耗し脳を疲労させるんだ。だから甘いものが食べたくなる。
直、主人の体調管理も執事の仕事なんだよ。←subに甘えるお茶目な武士ちゃん😜。
直にはたまにハッとするような気の強さを見せる瞬間がある。ダイエットに限らず、きっといつかは俺をコントロール出来るようになるだろう。執事として大臣として、俺を支えておくれ、直。
3/18
出張中も人妻達や王国のファミリーと頻繁にLINEの遣り取りをする。マメでなければDomは務まらない。
晶は玲奈と会いお茶をしたと言う。少女にとって歳上の女友達は刺激的で、早熟な晶にとっては癒しでもあるようだ。
龍もまた玲奈宅に数回遊びに行き、SEXを楽しんでいるらしい。もうテクニックや体位のバリエーションは充分に学んだらしい。
玲奈からは「武士さんの遺伝子、アク強すぎ」と笑われている。
Blooming
3/20
俺の子を妊娠中の港区女子I、彼女を今後愛華を呼ぶ。
愛華は臨月だが、久々に会う。出産の激励に俺の部屋に呼んで食事をすることにした。
彼女は自由人だ。気が強く打算的だが少女のようにイノセントな部分もある。
彼女は他の托卵の人妻とは違う。婚約時代に婚約者と俺の精子を競わせたんだ。大胆で詩的なレースだ。
精子検査の結果俺の勝利が判明したが、彼女は婚約者が勝っていたら俺とは縁を切ったと言う。だが俺が勝ったと知ると俺とずっと関わっていく、と宣言した。女は不思議だ。
4月に出産、6月に結婚式がある。今日は難しいことは忘れて一緒に美味いものを食べようと思い、知り合いのシェフのケータリングを頼んだ。
毎日のように通話をしていたが久々に会う愛華はすっかり落ち着いて母の顔になっていた。
「大人になったな」
「もともと大人ですよぉ😉」
ノンアルコールワインで乾杯をする。
愛華の旦那は俺も知っている男だが、あまり好きでは無かった。だが精子競争に勝った今は「俺に負けた雑魚精子のオスなんだから支配してやりたいな…。奴隷に落としたい」と考えるようになった。
今年は希々果とその婚約者を落とすことを目標にしているが、愛華とその旦那も奴隷化リストに加えたい。数年掛かってもいい。旦那には俺に負けたことを思い知らせたい。
「俺達の赤ちゃんの健康を祈って」
「ありがとう、武士さん、好きよ😘」
Win
3/22
テレビでWBCを観戦中に、Jから連絡があり無事に第2子の男児が産まれた報告があった。
日本の優勝に欣喜雀躍すると同時に、金玉を熱くしてJの長男の誕生を祝った。
今年は托卵はスローペースで既に托卵している家庭を大切にしたり、新規開拓はセレブ狙い、乃至王国へ迎え入れることが出来そうなsubマゾ夫婦を探す。
まあ既に手一杯だが。苦笑
Jはピュアなお嬢様で、俺の子を育てていることで俺と日々繋がっていることを意識して幸福を感じるような可愛い女だ。今後もケアをしこの関係を大事にしていきたい。
夜は音羽の家で晩飯を食べた。直の作る鮭ソテーのサルサソースがけ、玉葱のサラダ、玄米ご飯、優。
直も犬として床で食べさせようとしたが、鮭ソテーもサラダも犬食いでは食べられないようだったのでテーブルに着かせた。
直は申し訳なさげな顔で俺の隣で小さくなって食べる。ヴィルヘルムは元気良くあっという間にドッグフードを平らげる。
平和で幸福な1日。自分自身に感謝する。
俺は俺の世界の神だから。
Sweet Escape
3/24
恵理とオフィスで密会した。
恵理とは家族の催しにも呼ばれる仲だが、距離感を間違えると旦那や恵理に長男の美貴を王国に迎える計画がバレてしまう。慎重にことを運ぶつもりだ。
今日は美貴とは無関係に、恵理の女としての欲望を満たしてやる為の逢瀬だ。人妻を五つ星ホテル以外で抱くの俺の流儀に外れるが、お互いの貴重な時間を節約する為に、またスリリングなシチュエーションをスパイスにする目的でオフィスを選んだ。
応接室に恵理を連れ込むと尻を弄りながら熱くキスをする。
10分以上かけてキスをしながら服を脱がせていく。ソファに恵理の身体を横たえストッキングを脱がす頃には部屋中に俺のフェロモンが充満している。
つまり前戯無しで巨根を受け入れる準備が完了しているのだ。
「いつも変わらない、綺麗だね」と囁きながらベトベトに濡れたマンコに極太チンポを挿入していく。
「アアアア゛」
「痛い?」
「ううん、ずっと欲しかったから、涙が出てきちゃった…」
「嬉しいこと言うね、ほら、奥感じて」と松葉崩しの体位でチンピクさせ子宮口を撫ぜる。
チンピクと腕と乳房の愛撫だけで数十分イキ狂わせた後は、立ちバックと押し車、対面立位、駅弁、吊り橋、正常位とたっぷり2時間半愛し合った。あっという間の、しかし満足するSEXだった。
直以外のアソシエイトに気付かれることを半ば期待しながら、鳴かせ放題だった。
恵理はスポーツ万能でSEXもスポーティーに楽しめる女で、そして当然俺とは身体の相性が良い。最初の托卵以来、俺以外の彼氏を作らないこと、病気のリスクがある関係は断ち切る、と約束している。旦那とはレスだ。
普段は育児や旦那の世話に忙しく、SEXの欲求はオナニーで我慢している。勿論オナニーする時は俺にLINEしてくる。ビデオ通話で一緒にすることもある。
なかなか相手をしてやれないが、可愛いくて飽きない女だ。
Human Nature
3/25
「だって、龍くんばかりズルいから…」
「俺はお前を大切にしたいだけだよ」
「意味無いそれ。そんなのわたしをバカにしてる」
「玲奈に頼んで、玩具を使って馴らして貰おうと思ってたんだよ」
「バカみたい」
「なんでだよ」
「痛くしたくないってことでしょ、バカにしてる」
「大切にしたいんだよ」
「いいからキスして」
「愛してるよ………」
「わたしは今を大切にしたいの。人を支配するには、つまんないことに気をとられてグズグズしてられない」
「分かったよ、なら痛くても我慢しろよ」
「うん」
「愛してる」
「わたしも」
「綺麗だよ…」
「ン…ッ」
「気持ちいい?」
「うん…、ッ」
「いいんだよ、声出して」
「ン…、恥ずかしいヨッ…」
「俺の前ではいいんだよ」
「アッ…」
「お前は誰よりも特別なんだよ」
「あ、アぁ…、ンンン!」
「じゃあ、ひとつになるよ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「じゃあ挿れるよ…」
「うん、ンンン…」
「入っていくよ」
「イッ、……!」
「耐えろ」
「ン、イッ……」
「ほら、半分だけだけど、繋がったよ」
「ン…、嬉しい…」
「綺麗だよ…」
「(泣いている)」
「お前は特別だ」
「わたし、みんなを夢中にさせたい…」
「なるさ、みんなお前の意のままに」
「イ…、アッ、ンッ」
「俺の熱いだろ?、硬いだろ?」
「うん、ウン…」
「全部入るようになるまでは焦らないって約束しろな、大切に、しような」
「分かった…」
「ちょっと激しく動かすぞ」
「ウン…」
「ほら、これがSEXだ…」
「ン、イッ、アッ、んんっ、イッ、アぁ…!」
BGMは、マドンナのBedtime Stories。
プリンセスは、生き急いでいるのでは無い。
早熟な彼女には、全てが焦れったく鈍間に見えるのだ。己れの速度に合わせて世界を調律する必要がある。
壊れないプライドの為に。
煌めく自己愛の為に。
Oblivion
3/26
大吾を部屋に呼んだ。
ソファに座り、目の前に正座させる。
「今日は大事な話がある」
「はい…」
「褒美話だよ」
神妙な顔で俺を見上げる大吾。
「お前はsub願望も無かったが、マゾっ気はあった。まあ特殊なマゾっ気だが。笑」
「ふぁ、すみません💦」
「いや、だからこそ俺の王国に居場所を確保できたんだ。お前と俺は、縁があった。分かってるよな?」
「はい、おかげさまで、美沙ちゃんと離婚しなくて済みました💦」
「そうだ。俺がお前を救った。そしてお前はこうして自然に素直に正座して俺を敬うことが出来ている」
「ふぁ、はい」
「お前は俺の物だ」
「はい…」
「同時に美沙の物だ。今後一生、俺と美沙の言うことを聞くな?」
「ふぁ、はい」
「絶対命令だぞ」
「はい」
「幸せなんだよ。命令される身分ってことは。何も悩まなくていいんだ、お前の全ては俺が決める」
「ふぁ…」
「足辛いだろ、こっちに四つん這いになってオットマンになれ」
「ありがとうございます💦」
大吾の背に足を乗せ、戯れにトントンと叩く。
「ありがとうございます…」
「お前こないだ気付いたろ」
「ふぁ、何をでしょうか💦」
「仁士だよ」
「……💦」
「何黙ってんだよ」
「えっと、エット💦」
「俺の子だ。美沙と俺は初めて会ったその日に子作りしたんだよ」
「……💦」
「お前が2年間も妊娠させられないでいたから俺が孕ませてやったんだよ。ここ数ヶ月の間にお前達にしてやったことなんか大したことじゃない。家を買ってやったことも、仕事を世話してやったことも、些末な事だ。俺はお前ら夫婦に王の子を授けてやったんだ。」
「ふぁ、うっ、うっ…」
「喜べ。感謝しろ。王の子を育てる栄誉を噛み締めろ」
「うっ、うっ…」
「何故泣く必要があるんだよ、さっき言ったばかりだろ。俺に全て委ねろよ、全て忘れるんだよ、お前の自意識も、自我も、俺の物なんだから」
「ふぇ、えっ、あの、辛くて泣いてるんじゃないです、恨んだり、悲しんだりしてないです😭」
「じゃあ、どうした」
「美沙ちゃんが武士様の世界に生きるなら、俺なんか見捨てられても仕方ないのに、優吾のことも、……、あの、家まで、ちゃんと俺と優吾のこと、見捨てないで守ってくれて、申し訳ないです、嬉しいです、感謝します、ごめんなさい、ごめんなさいッ😭」
丈もそうだが俺は純情な男に弱い。俺は胸が温かく切なくなる自分に対して苦笑する。
そして号泣している大吾を優しく呼び寄せる。
「立て、こっちにおいで。ソファに座っていい」
大吾は俺の隣に座るや否や俺に抱き付き、おいおいと泣いた。
「ふぁ、さ、最初から、気付いてましたぁ、ごめんなさいぃぃぃ」
「いいよ、分かったよ。困らせたな、苦しませたな、俺を赦してくれな」
「た、武士様、ぁぁああああッ」
俺は暖炉の炎を眺めながら、タンゴの音色に酔いながら、大吾の涙を受け止め続けた。
BGMはアストル・ピアソラの Piazzolla en Suite。
夜は直が夕飯を作りに来た。
直の作る鮭とブロッコリーとじゃがいものバター醤油炒め、豆腐とアボカドのサラダ、玄米サラダ、優。
「大吾、托卵知って大泣きしてたよ」
「そうですか」
「奴隷のLINEグループに入れとけ、メンタルケアはお前の仕事だからな」
「かしこまりました。ご主人様の王子様を育てられることは、何よりも幸福なことです」
「うむ。そうだな」
直は透き通る瞳で俺を見つめていた。俺の王国を。
Unbreakable
3/27
音羽が産気付き、朝から緊張と興奮が走った。
数時間後、産まれたらすぐ連絡すると丈から連絡があった。
腹奴の出産。初めて手に入れたsub夫婦、奴隷夫婦に育てさせる俺のプリンス…。俺の丈と音羽への想いは、喩えようが無い。
先月の美沙の出産の時にも俺は感傷的になったが、今回は同じ腹奴でも音羽は第1子から俺の子を産む最上位の腹奴だ。
この世に他には存在しない身分を、自らの運命としてしなやかに受け容れ、透明な微笑で俺を安心させてくれた音羽。
丈と音羽が現れなければ王国のビジョンは現実化しなかった。2人はある意味俺の家族なんだ。
ずっとソワソワして報告を待った。
やがて丈からビデオ通話があり、産まれたばかりの赤ん坊を抱いた音羽の映像を目にした瞬間、俺は言葉を失ってしまった。
「武士さん、武士様、おめでとうございます!🤣」
丈は笑顔で泣いている。
「音羽頑張りました!🤣」
音羽は美しく、神々しかった。俺は放心する他はなかった。
音羽が入院中、直は俺の家に戻る。
ヴィルの散歩から帰って来ると、ただならぬ俺の様子に気付いた直が近くに駆け寄り、「大丈夫ですか?」と顔を窺う。
「うむ、音羽が、…産まれたんだ。母子共に健康だ」
「良かったです!、おめでとうございます👏」
「……」
「お、おめでとうございます、僕も本当に嬉しいです」
涙ぐむ直の顔を見たら、俺も鼻の奥がツンとする予感がした。
「ヴィルをケージに入れて来い」
「はい」
戻って来た直をギュッと抱き締め、「打ちたい」と囁く。
「はい、ありがとうございます」
俺は一本鞭のグリップを握り締め、気持ちが上擦るのを感じる。
「脱げ」
全裸になった直を再び抱き締め、耳を噛む。
「……ッ!、あ、あっ」
「壁に手を付け」
「はい、ありがとうございますッ」
俺は昂まる熱情を、冷静に抑えるべく、丁寧に鞭を振るい、直の背を打った。
ケインやパドルばかり使っているので、一本鞭の扱いは未だ不慣れだ。
俺は冷静に、冷静に、暴れる感情を制御するように直を打ち続けた。
空気を切り裂く鞭の音と直の痛みに耐える呻き声だけが響く。俺達の宇宙は鞭の音と呻き声の数だけ生まれては消滅する。
無数の鞭の痕が直の背中を彩ってゆく。俺と直は痛みを以って新しい命の誕生を祝福した。
永劫。
…………。
直を部屋に帰そうとすると、「あ、あの、丈さんから預かって来たものをダイニングに置いてますから…。あの、ありがとうございました!」と言う。
「うむ」と応え、見送り、暫く鞭打ちの興奮が醒めるまで呆然とベッドに倒れ込んだ。
それからダイニングに向かい、テーブルの上に丈からの手紙を見つけた。
『武士様
もうすぐ音羽が出産します。
俺は産まれて来る子の父親として、精一杯愛情を注ぎます。
以前武士様に誓った言葉と気持ちに、一点の曇りもありません。
俺は武士様が好きすぎて怖いくらい大好きです。
音羽も俺にはもったいない最高の嫁です。
この幸せを守り抜きます。
安心して下さい。
そして武士様の王国を俺に守らせて下さい。
直さんと一緒に、守りたいです。
武士様が良い気分で過ごせるように、少しでもお役に立てることが出来たら、最高です。
丈』
読み終えると俺は、泣いた。
誰かの願いが叶うころ
3/29
去年から面倒を見ていた或るsubmissiveの者と話をした。
其奴は自分の主従関係に悩み、迷い、挫けているところだった。
全くsubという生き物は自己肯定感が低い。だからこそ主人に依存し、服従しやすいのだが、同時に思考が病みやすくもある。
自分がsubとして劣っている、間違っている、主人に迷惑をかけている、と思い込み、悩む。
俺は迷えるsub達に言いたい。お前はそもそも劣っているからsubなのだ。弱く迷いやすいから、Domに導かれるべきなのだ。首輪を着けられて、リードを引かれ、主人の足元にいられる幸せだけを感じていれば良いんだよ。
だがsubにもくだらぬ自意識がある。それ故に悩む。
自分はエゴマゾなんじゃないか、ご主人様に要求をするのはワガママなんじゃないか、自分は本当に必要とされているのか、云々。
BDSM界隈に主従という概念が成立した過程については何も知らない。俺にとっての主従とは歴史的に存在した主従関係をベースにした、一生を誓う絶対的な契りだ。
人それぞれの主従観があり、何も正解は無い。ペットと飼い主、奴隷と主人、束縛と管理の強い依存的な恋愛、多頭飼い、在り方は多様だ。
ただの恋愛では無く、SMパートナーでも無い以上、主従ならではの共通点があるとしたら、やはり〝身分の差を前提とした主人と従者の信頼関係〟ではなかろうか。
身分の差があるのであれば、余計なことを心配する必要が無いのだ。それをsub達に諭したい。
勿論身分の差を信じさせてくれる主人でなければ、従者も正しく依存することは出来ない。カリスマ、威厳、包容力、経済力、知性、読心術、ルックス、何でもいいが、従者を夢中にさせ、そのDom特有の魅力で心酔させる必要がある。
主人の力の前に従者が〝盲目であれる〟のが主従の良さなのだ。
何も見なくていい。自分の弱さも。何も不安に思わなくていい。自分を卑下する必要も、自己肯定感の低さに苦しむ必要も無いのだ。
だからこそ、subを抱えるDomには責任がある。対等な恋愛では無いからこそ、重大な責務があるのだ。
従者が自分自身を責めて悩み苦しむ時、主人は慰めるでもなく、寄り添うでもなく、導かなければならない。上の立場にあるのだから、教え諭し、導く。
それを従者は求めている。
自分の存在価値に悩みやすいsubmissiveという生き物を飼うということは、そういうことだ。恋愛より遥かに面倒で、結婚よりも更に気遣いが要るのだ。
Dom側に相当な自信が無ければ、成り立たない。主人は堂々とし、さらに繊細な配慮が出来なければならない。
身分の差などという、現代においてはファンタジーに堕ちた価値観を本物の生き甲斐にする以上、生半可な気持ちでいてはただの〝主従ごっこ遊び〟になってしまう。
俺は強いsubが好きだ。直も強い。だが機械では無い。不安定な時期もあった。
この1年弱の間、直は常に揺らぎ惑いながら、俺に仕えて来た。つい最近も、別居のせいか情緒がネガティブなようだ。
そして俺もまた、主人として試され続け、時に迷い、過ちを犯しながら、学びながら、試行錯誤して直を従えて来た。
人に偉そうに主従とは、などと講釈を垂れる資格は無いかもな。だが言わせてくれ。
悩めるsubよ、いいかい?、お前はひとりじゃない、お前にはお前が求めた主人がいるんだ。
主人は従者がいなければ裸の王様だ、従者のおかげで主人は心が落ち着くんだぞ。
勇気を持て。お前は誰かに仕えたかったんだろ?、仕えることで安らぐんだろ?
感じやすい心が。自信の無さが。
だから勇気を奮い起こして、自分を許せ。悩んでしまう自分、迷ってしまう自分、求めてしまう心、恋している想い、全てを許せ。
お前の主人なら、きっと全てを受け止めてくれるよ。
お前が選んだ主人を、ただ全力で信頼するんだ。
その必死さは主人の力になる。お前へと必ず返って来る。
必ず報われるんだ。
それが、主従だ。
簡単に解消出来ないから主従なんだ。
簡単に絆を築けないから主従なんだ。
命を懸けろ。
恋愛との違いはそこだ。身分の差がある以上、必ず報われるのが主従なんだ。
恋愛のように対等な夢は見れない。愛し合うことは出来ない。片想いかも知れない。
だが純粋に主人に仕えさえすれば、必ず報われる。
主人は、従者が主人を求める以上に従者を必要としているのだから。
3/30
Aと密会した。一昨日にも会い、子作りをする約束を果たした。
一昨日は排卵日の前日だった。今日は確実に妊娠する為、ダメ押しの種付けSEXだ。
眺めの良い高層ホテルの一室で、スタイルの良いAと絡み合う。
「武士さんダイエットしないとダメだよぉ 笑」
「皆に言われる。分かったよ、ちゃんとするからな」
正常位と側位、寝バックでしっかりと3回種付けした。
本当は年末か年明け早々に子作りして年子の兄弟を作りたかった。今回孕めば、ギリギリ年子になるかならないかだ。
「今度息子と3人で会いたいな」
「いいよ、ランチでもしよう。それにスタジオで3人で写真も撮ろう」
「わぁ、嬉しい!🥰 主人とは幸せだけど、武士さんのおかげなんだよね。夫婦円満なのは、子供の父親が武士さんだからだよ😘」
「ハハハ、お前は悪い女だ!」
ギュッと抱き締め揶揄う。
「ほんとに息子がね、武士さんに似てきて可愛いの。ご飯行こうね💓」
「うん、そういう気持ちが嬉しいよ、ありがとうな」
窓辺に立ち、街を見渡す。今俺達のように子作りをしているカップルは何組いるのだろうか。
世界情勢がどうあろうと、日本の景気がどうあろうと関係無い。俺は俺の愛する人妻達を孕ませていく。繁殖する。それが俺の原動力だ。
オフィスに戻ると、直を呼び付け、「お前の好物やるよ。デスクの下に来いよ」と指を鳴らし告げる。
俺はパンツを下ろすと直に子作りしたばかりの金玉の匂いを嗅がせる。跪き、ビキニの前袋に顔を埋め、恍惚とする犬。直は俺が女とした後の匂いを吸うのが好きなのだ。
「一昨日と今日でバッチリ妊娠してる筈だよ」
「クーン、クーン」
「美味いか?」
「ワン!」
王国に憧れ王国を讃美する者達を祝福する。 王国の栄えを祈る者達に幸いあれ。