短編小説 俺は(私は)何がなんでも大賞受賞したいんだぁ! 第七話
「ビジネスの一歩は真似からだ。他人の小説を真似して学ぼう」
「……まあ、それもアリですね」
「まて、どうせ真似するなら、それをそのまま投稿しちゃえば楽じゃね?」
「ちょ……それは著作権違反です」
「まじか」俺って天才かと思ったけど惜しかった。
「じゃあ、ライティング代行に頼むとかどう?」
「結構高いですよ。小説一冊100万円以上するとか……」
「まじか……じゃあ、俺の勤めている会社にお願いしてライティング代行会社を買収しよう。そしたら業務命令で代行させられるぞ」
「……買収理由あるんですか?」いい加減、表情も声色も固くなり、やがて冷たく言い放たれた。
「そもそも、他人に書いてもらった小説で受賞したいんでしたっけ?」
それを聞いて、俺はしょんぼりと俯いた。どんな手を尽くしてでもとは言ったが、本質を見失っていたんだ。
「……そうだよな。やっぱり、違うやり方を考えるよ」
すると、愛さんが優しく笑う。
「プロ小説家のライティング教室なんてどうですか? 10万円くらいの講座もありそうですよ」
「おお、それだ!」
プロの指導を受ければいいんだ。なんて簡単なことに気が付かなかったんだろう。これで俺も文章力を手に入れるぞ!
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